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  • Apr 1, 2017
【指令】「メタル・ヨガ」でモクシャ(解脱)せよ。ヘヴィメタ爆音・デスヴォイス絶叫・ヘドバンで、カラダとココロを整えてきた
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ローカルが足繁く通うブルックリンの老舗ライブハウスにて。日曜真っ昼間から響きわたるはヘヴィメタルとデスヴォイス。

「ぐあああああぁぁぁぁぁ!! FUCK YOU NEIGHBOR(失せろ、近隣住民めっ)!!」

サタン顔負けの雄叫びをあげるのは、サスキア・トーデ(Saskia Thode)。我々に「あんたのムカつく奴はーっ?」と問い、隣の女性が答えた「近隣住民ですっ!」。そこにさっきの雄叫びだ。
彼女はその道14年のヨガ講師。そう、筆者はいまビール片手にライブを堪能中、ではなく、マットの上で「メタル・ヨガ」受講中だ。

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デスヴォイスでFワード連呼。かなりカオスな「メタルヨガ」

 近年、ヨガのムーブメントがおもしろい。身ぐるみすべてはぎとって行うことで自分と他人を深く受け入れる「全裸ヨガ(Naked Yoga)」や、外見ではなく内面と向かい合うことの大切さを体現した「体重100キロのぽっちゃり講師」だったり。ヨガの「あるべきイメージ」を気持ちよく裏切ってくれる。
 今回、ネットサーフィン中の私の人差し指を止めたのは「メタルヨガ」。「汗をかく準備、そして雄叫びをあげる準備を忘れずに」の、“ぽくない”うたい文句にそそられた。

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 サスキアが講師を務めるメタルヨガクラス、メタル・ヨガ・ボーンズ(Metal Yoga Bones)では、その名の通りヘヴィなメタルを爆音で聞きながらヨガをする。それでもって手は常に人差し指と小指を立て(たまに中指も)、不気味ながなり声でFワードを連呼し(たまに高音シャウトも)、荒々しくヘドバン。かなりカオスな光景だ。

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 これだけ聞くと「それヨガじゃないし! ただのメタラーの趣味の延長だし!」と勘ぐってしまうが、彼女はヨガ歴14年。疾病・疾患に対する症状を緩和させる「ヨガセラピー」と、氣の流れを取りいれた「レイキ」の開業医資格、さらに椅子を使用した「チェアヨガ」の指導資格を持つれっきとしたプロフェッショナル。つまりこれ、正真正銘のヨガなのだ。

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悪夢。ヨガ講師にジャイアントスイングをかまされる

 10代からライブに通いつづける生粋のメタラーが、ヨガ講師を目指しトレーニングに励んでいたのは3年前。クラス用の音楽にメタルをチョイスしたのを機にメタルヨガが生まれた。

「それまで“メタルを流すヨガ”はあったけど、“メタル独特のムーブも取り入れたヨガ”はこれがはじめてだったと思うわ」。メタラーをはじめヨギや好奇心から参加する初心者などに、口コミでじわじわと人気が広がった。現在は週に4、5回開催し、5〜20人の生徒が荒々しく雄叫びをあげに集まる。

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 普通のヨガクラスも掛けもつ彼女は、メタルヨガの利点を「叫べるところ」と豪語。1時間15分のクラスの大まかな流れはこうだ。

 まず、全員でデスヴォイスの発声練習(!?)。次に「サタンが降臨したわ!」の声を合図に、飛んだり跳ねたりのエクササイズでウォーミングアップ。そしてファンキーな解説つきでヨガのポーズをこなしていく。序盤、モジモジしていた私を見るなりサスキア、「ぐあああああぁぁぁぁぁ!!」と勢いよくこちらに突進、ジャイアントスイングをかましてきた。もう、なんのこっちゃわからなかったが、変に吹っ切れた。

 みんなのモチベーションが最高潮に達した後半、「音楽に合わせ1人ずつ前に出てアドリブ」という無茶ぶりタイムに。どうか回ってきませんように..というサタンへの祈りは通じず。場の雰囲気は壊せない、メタルに無知でテンパッた筆者は腕を大きく振り回し、無様なエアギターを披露。恥ずかしかったが、気持ちよかった。なんかこう、モヤモヤを吐き出した気分で、清々しかった。

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「ヨガにとっつきにくいイメージを持ってる人に、楽しんでやってもらえるキッカケになればいいの。だからメタルを聴かない人にもオススメよ」

ヨガの基本的理念からは脱線していない件

「ディープでヘヴィなデスメタルはスタンディングポーズにもってこい。アップテンポな動きにはブラックメタル。最後はインストゥルメンタルで瞑想」

 一般的にヨガには、リラクゼーション効果のあるゆったりとした音楽やインドの伝統音楽がふさわしいだろう。が、重量感のある過激で攻撃的な音楽でも、怒りやストレスを思いっきり吐き出し解放できる。ヨガが示す人生の目的、モクシャ(解脱)に沿っているのだ。

 一見テキトーに思えるレッスン内容だが、雰囲気を出すため常にデスヴォイス、ユーモアのセンスをくすぐるギャグセン高い指導、プレイリストへのこだわりだったりと、実はちゃんと考慮されていて、「楽しんでもらいたい」という彼女の気持ちが汲みとれた。

 翌日襲ってきた筋肉痛に、カラダもココロも整ってたんだと実感、やはりヨガの理念通りと再確認した。
 開講から3年、「当時より生徒が大幅に増えたし、喉も強くなった」と目を細めるサスキア。最近はイングランドのメタルバンドからコラボのオファーがあったり、春にはスコットランドとスペインで、夏にはフェスでのワークショップも開催予定。今年も、世界各地で彼女のデスヴォイスが響き渡ることになりそうだ。

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Saskia Thode

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Photos by Kohei Kawashima
Text by Yu Takamichi
Edited by HEAPS Magazine

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