いつものスーパーマーケットではなかなか見つからないものが見つかる。オーガニックの大型スーパーでも見つからない、無名のオーガニックやサステナブルブランドの良いプロダクトが見つかる。ヘルスコンシャスや環境志向の人のために厳選したものだけを置き、若い世代から支持を集めている小さなスーパーマーケットが「Pop Up Grocer(ポップアップ・グローサー)」。“旅するグローサリーストア(スーパーマーケット)”をうたい、不定期で都市を転々とするポップアップ・スーパーマーケットだ。
厳選したプロダクトに店内の内装、セレクトショップみたい
昨年に始動したこのPop Up Grocer(ポップアップ・グローサー)、「ミレニアルズの夢のマーケット」と呼ばれている。なんでも、取り揃えているプロダクトが、ヘルスやウェルネスなどのセルフケアや、サステナブルなどの環境志向が強い世代にとっての「こんなの欲しかった」という期待に応え、さらに「こんなのあったんだ」という期待以上の発見をあたえるラインナップだから、らしい。また、陳列棚から店の内装までデザインはこだわっていて、おしゃれなカフェやセレクトショップっぽい。
確かに、取り扱う商品は従来のスーパーマーケットと似て非なり。陳列棚に並ぶのは食料品に日用品、ペット用品にウェルネス商品、とカテゴリ自体は同様なのだが、その90パーセントがベジタリアン、半数がビーガンのものであること(そして、その99パーセントが女性の創業者によって作られたものとのこと)。
「大型スーパーには陳列されていないような、“いま”の商品を提供します」というように、その多くが一般のスーパーはもちろんのこと、ホールフーズ・マーケットなどのオーガニックやヴィーガンブランドを取り扱う大型スーパーにも並ばないレアな商品や新しいブランドを厳選。お決まりブランドだけでなく、無名スタートアップの良質なプロダクトも積極的に販売している。
従来のスーパーマーケットが幅広く老若男女のためだったのに対し、若者にターゲットを絞ったスーパーマーケットのスタートアップだ。
前回の開催地(LA)での店舗は28坪とかなり小さく(日本のコンビニの半分くらい)、一般的なスーパーマーケットに比べると商品点数自体はだいぶ少ない。が、ひとたびヘルス、ウェルネスやサステナブルを軸にしてみれば充実した品揃えとなる。また、環境に良いものを自分で探すストレスもなく、効率的な買い物を好む傾向にある世代からの評判はいい(現在は次回のテキサス開催に向けて準備中とのこと)。店のラインナップの一部を見てみよう。
・獣医認証、パーソナライズされた犬用ビタミンフード「DANDY」
・食品廃棄物由来の成分で作られた除菌スプレー「ベレス」
・タンパク質を2倍、繊維を3倍に増やし、炭水化物を30パーセント減らしたひよこ豆のパスタ「バンザ」(麺の形は15種類以上)
・タンパク質を2倍増やし、カロリーを20パーセント減らし、コレステロールがゼロ。鶏肉を使っていないナゲット「ナグス」
なんだか、ヴィーガン、ベジタリアンの菜食主義を含めた「ヘルス&ウェルネス・環境志向の人向けのセレクト・スーパーマーケット」という感じ。また、ポップアップ・グローサーのインスタグラムを覗けば、彼らが新たに厳選したプロダクトも随時チェックできる。毎度の投稿では一つひとつに丁寧な説明が添えられ、当該ブランドのアカウントもタグ付けされているため、詳細が気になればすぐに飛べる。常に新たな選択肢を探している人にとって、自分で延々とネットサーフィンせずともショッピングリストを更新できるのも、さまざまな都市のユーザーから好評を得ている理由だろう。中には、「普通のスーパーマーケットは好きじゃないけど、このスーパーマーケットだけは大好き。品揃えだけでなく店の内装も大好き」「この店の陳列棚なら、一生行ったり来たりしたい」などの熱いコメントもちらほら。
ところで、食料品店には必ず置いてある、卵や新鮮な野菜や肉は置いていない(インスタグラムにブロッコリーの写真があったが、Tシャツについてのポストだった)。必要なものを買いにいくというよりは、「なにがあるかな」と胸をときめかせて向かうスーパーマーケット、ということらしい。
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Eyecatch Image by Midori Hongo
Text by Ayano Mori, edited by HEAPS
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine