「メンズ、レディースという概念が色濃く残るスーツのオーダーメイド。私たちは、メンズパターンで女性のスーツを作ります」
「採寸とコミュニケーション」に特化し、在庫・レジを持たない店舗として2015年の創立から急成長中のオーダーメイドスーツブランド「FABRIC TOKYO」。コンセプトは「Fit Your Life」で、20代・30代の忙しく働くビジネスパーソンからの支持は厚い。数々のメンズオーダースーツを仕立ててきた彼らだが、今回新しい試みに踏み切る。それは「スーツから性別をなくします」。
あえて“メンズパターン”。メンズライクな、かっこいい女性スーツ
近年、職場のカジュアル化の煽りを受けビジネスマンのスーツ離れが拡大する一方で、女性の社会進出が進み、レディーススーツの売上は好調。さらに、もっぱら時代の流れは、良質でこだわりのあるカスタマイズやオーダーメイド、ビスポーク。スーツ業界もその流れに添い、スーツが上下あわせて諭吉1枚で購入できるこのご時世にこそ、オーダーメイドスーツブランドには高い需要がある。なかでも頭角を現すブランドが、FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)だ。中間業者を挟まないD2C(直接販売)により、価格をおさえてオーダーメイドスーツを提供。さらに、店舗で採寸された体のデータはクラウド上に保存され、以降オンラインでも購入できるというテクノロジーを活用したサービスで注目を集める。
「オーダースーツ市場全体は伸びている傾向にあります。これまでの大量生産大量消費の流れを経て、“とりあえず買う”のではなく、“良いものを自分に合ったサイズで買いたい”というニーズの高まりを感じます」。そう話すのは、FABRIC TOKYOマーケティング部の森本萌乃(もえの)さん。「『いいものを長く大切に着たい』『自分にぴったりあった1着を着たい』。トレンドではなくパーソナライズ、というライフスタイルの変化からだと思います」。
最近増えているのが、「メンズパターンでオーダースーツを作りたい」という女性からの声。「理由はどうであれ、ファッションの性別が曖昧になり、自分らしい表現の仕方を求めている方がいるということ。これまで培ってきたメンズスーツの知見を活かし、メンズパターンでかっこいい〈女性のスーツ〉が作れそうだと感じて」。今月の25日から31日、7日間限定で「女性のためのメンズオーダースーツイベント」を実施する。メンズライクなファッションが好きな女性が、メンズのパターンでスーツを作ることができるイベントだ(記事の最後に、HEAPS読者へプレゼントのお知らせがあります)。
今回イベントがおこなわれる店舗について。「採寸イベントが行われるのは、FABRIC TOKYO表参道の店舗。好立地だけど大通りからは少し外れていて、入り口が半地下になっているんです。女性が外からの視線を気にせずに採寸ができるなと思い、ここにしました」。
「オーダーの世界は、まだまだ現代のダイバーシティに対応できていない」
「FABRIC TOKYOで、初めてメンズパターンで自分のオーダースーツを作ったとき、大きな衝撃を受けたんです。ぴったりと肩にあう分厚めの肩パッド、思い通りのジャケットの着丈とパンツ丈。鏡に映る自分をかっこいいと思えたんです」。同イベントの下敷きには、企画者の森本さん自身の原体験がある。
ところで、スーツの“男性用”、“女性用”のパターンにはどんな違いがあるのか。胸とウエスト部分の切り込みである“ダーツ”に大きな差がある。曲線的なラインを作り出すようダーツを大きくすると、女性用のくびれのあるスーツができる。女性らしいタイトなラインの出るファッションを好まないという森本さんが、「メンズスーツのおかげで、なりたい自分の幅が広がったように感じた」瞬間だった。
メンズパターンで女性のスーツを作るブランドが存在していなかったわけではない。だが、「それをブランドがわざわざ発信して、女性のために扉を開く、ということがあまりないんです」。となると、「どのブランドなら作ってくれるのか」「女性への仕立てを頼んでもいいのか」は、直接ブランドに聞いてみなければわからず、それこそが一つの壁だ。「私も、他社のオーダースーツ屋さんに足を運んで、実際に『メンズのパターンでスーツを作りたい』という旨で採寸体験をしました。そこで、向けられたのは店員さんからの困惑と戸惑いの目線です」。女性がメンズスーツのブランドでオーダーすることは、すんなりとはいかないことを指摘する。「ファッションの世界は、パターンがメンズとレディースできれいに2種類にわかれていて。オーダーの世界は、まだまだ現代のダイバーシティに対応できていないんです」。
メンズのパターンで作る女性用スーツの魅力は、なんといっても肩幅の広さとくびれないストレートなウエストライン。さらに、FABRIC TOKYOはスラックスのサイズを5つまで登録できるため、タイトやルーズなど好みや用途によってボトムスを楽しめるのもうれしい。
メンズスーツは、肩パッドが分厚いので肩に乗りやすく、ジャケットをポンと乗せて袖を通さずに羽織るのもお薦めだそう。包まれている感覚が心地いいのだとか。
実は、FABRIC TOKYOにも「メンズのオーダースーツを作りたい」と希望する女性たちの声は過去にもあった。が、当時は女性向けのオーダースーツを企画するための体制が整っていなかったこと、また男性スタッフが女性のボディに触れて採寸することへの懸念から、来店を断ってきたという。今回のイベントでは、「普通に『いらっしゃいませ』とお伝えして、お作りしたいスーツをお聞きする。『女性だけど、メンズのパターンで作れますか…?』と尋ねる恥ずかしさを取っ払うのが目的です」
同イベントで採寸と接客にあたるのは、20代から30代の客層と同年代の女性スタッフ。採寸時に体の悩みや着用シーンなど細かくヒアリングしてくれるため、オーダーメイド初心者でも安心だ。「商品のお届けから2ヶ月間であれば、何度でもお直し・お作り直しが無料。お気に入りの1着ができるまで、とことんおつき合いする覚悟です」
「自分だけのサイズ感で着たい」「あえて、メンズを着たい日がある」「あなたの『着たい』に、メンズという答えも」。
「パーソナライズは、圧倒的に自分」。スーツから性別をなくしたい
近年、性の多様化からファッションや美容業界でもジェンダーレスやユニセックスが声高に叫ばれるなか、「でも、結局はそれらはジェンダーやセックスという“性別”あっての言葉であり考え。対して、“パーソナライズ”は圧倒的に『自分』なんです」。たんなるジェンダーレスやユニセックスではくくれない、“自分(パーソン)に似合う服”があるはず。だからこそ、オーダーメイドに可能性を感じていると、森本さんは強調する。
メンズのパターンで“(女性の)私”へスーツを作ることは、メンズとレディースの境界を曖昧にして、「私に似合うスーツ」を仕上げること。男性・女性という概念がまだまだ根強く残るスーツから、性別がなくなったら。好きなサイズ・デザインだけで、“私の服”を選ぶことができたら。
「私自身、女性ってたのしいなと毎日思いながら、時には男性の生き方に憧れたり、嫉妬したりして。ファッションで性を行き来したり、ファッションで性があいまいになっていくことは、自分を知り、自分を好きになるきっかけにもなる。ファッションくらいは、メンズ・レディースで悩まなくていい。そんなパーソナライズが定着すれば素敵ですよね」
HEAPS読者限定!オーダーメイドスーツ、プレゼント
この度、HEAPSの読者限定1名さまに、FABRIC TOKYOのスーツオーダーを無料でご案内いたします。メンズパターンで作る女性のための格好いいオーダースーツを、作ってみませんか。
【場所】FABRIC TOKYO 表参道
【日時】2019年8月25日(日)〜31日(土)11:00〜20:00の7日間(要ご予約)
【応募締め切り】8月16日(金)
【応募方法】以下の応募フォームに必要情報のご記入をお願いいたします。当選者さまのみ詳細情報などを直接ご連絡させていただきますのでご了承ください。
▶︎応募フォーム
【注意事項】当選者さまには、HEAPS編集部よりメールにて、8月20日(火)にご連絡させていただきます。その後、ご自身でFABRIC TOKYO表参道にお電話の上、採寸予約に進んでください。店舗での決済時に当選者さま専用のクーポンを発行し、スーツを1着(2ピース)プレゼントさせていただきます。
女性のためのメンズオーダースーツ採寸イベント
at FABRIC TOKYO 表参道
【場所】FABRIC TOKYO 表参道
【日時】2019年8月25日(日)〜31日(土)11:00〜20:00の7日間
【住所】〒107-0062 東京都港区南青山3丁目14-1 南青山安岡ビル 地階(半地下)
【ご来店について】完全電話予約制。2019年8月13日(火)10:00より予約受付開始。
【対象商品について】FABRIC TOKYOで現在販売中の全商品。
【受け取りについて】完成まで約30〜50日(商品による)かかります。店舗お受け取りを指定した場合、再度女性スタッフがご対応できるような期間を設けます。
【予約電話番号】03-6459-2249(11:00〜20:00)
詳しい情報はこちらをご覧ください。▶︎https://ad.fabric-tokyo.com/lp/mens_for_womens/
本イベントでの採寸・購入をご希望される方は、ご予約前に【注意事項】をご一読ください。
【注意事項】
・男性パターンで女性のオーダースーツをお作りするイベントで、通常のFABRIC TOKYOと同様のサービスをご提供します。女性向けの新商品などはご用意がありませんのでご注意ください。
・予約枠が埋まり次第終了となります。ご対応可能なお客様の人数には限りがございますので、ご希望の方は早めの予約をおすすめします。
・イージーオーダーではお仕立てする数値に限界があるため、すべての女性の体型にフィットし、ご満足頂けるメンズスーツをお作りできるとは限りません。お客様の身体の数値によっては、製作をお勧めできない場合もございます。詳しくは採寸時に店舗スタッフにご相談ください。
・ご自身の予約を悩まれている方は、別途お問い合わせにてご相談ください。support@fabric-tokyo.com
・イベント期間中の男性のお客さまのFABRIC TOKYO表参道でのご対応は、商品受け取りのみとなります。その場でのご試着などもお受けできませんので、この期間のみ何卒ご理解くださいませ。ご不便おかけして大変失礼いたします。
・イベント期間中に新規採寸をご希望される方は、近隣店舗(渋谷modi/銀座など)へのご予約・ご来店をお願いいたします。
All Images via FABRIC TOKYO、モデル:大竹真美(FABRIC TOKYO)
Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine