今回紹介する展覧会は、ドイツの美術館・クンストフェライン・ハンブルクで開催中の『Peaches: Whose Jizz is this?』。カナダ人ミュージシャン、そしてフェミニストであるピーチズによる初の個展だ。
本名メリル・ニスカー。決まりきった女性らしさやセクシュアリティ、女性に求められる行儀のよさなどの社会定義に疑問を持ち、“Peaches(ピーチズ)”としてステージ上で生まれ変わった彼女。2000年のデビューから、次々と挑発的で過激なパフォーマンスを作り出してきた。ビジュアルアートとパフォーマンスを混ぜ合わせた、ピーチズにしか作り出せない横断的な作品によって驚くべき芸術の形を示す。
音楽からライブパフォーマンス、パフォーマンスアート、ビデオ作品、ライトデザインにいたるまで、さまざまな媒体で構成されている展示の目玉作品は『Fleshes(新鮮な肉の塊)』と名づけられたセックストイたちだ。「生身の女性より扱いやすいもの」とたとえられ、ただ受動的に扱われるだけのセックストイたち。人間の性的欲望のためにしか使用されない彼らを解放し、人間と平等にするために、新たな名前と文脈で語られる。一見すると抽象的すぎるかもしれないこのコンセプトだが、ピーチズはこう話す。
「私が持っている視点、むしろこんな風に世界を見れたらいいのにという視点。それと、人々がどうやって平等になればいいか、そして自分の体にどうやってポジティブになればいいかという視点。それらを展示しているだけ」。演劇的でユーモラスな方法で、新たなフェミニズムの視点を示していることは明らかだ。性、クィア、そして新しい世代のための政治的な概念を、歴史的な考察も交えながら誰もが予期しないようなアプローチで描き出す。そんなピーチズの個展を体験できるのは、10月20日まで。
Peaches, Whose Jizz Is This?, installation view, Kunstverein in Hamburg, 2019, Photo: Fred Dott
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Peaches, Whose Jizz Is This?, installation view, Kunstverein in Hamburg, 2019, Photo: Fred Dott
Peaches, Whose Jizz Is This?, installation view, Kunstverein in Hamburg, 2019, Photo: Fred Dott
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Peaches, Whose Jizz Is This?, installation view, Kunstverein in Hamburg, 2019, Photo: Fred Dott
Peaches, Whose Jizz Is This?, installation view, Kunstverein in Hamburg, 2019, Photo: Fred Dott
Peaches, Whose Jizz Is This?, installation view, Kunstverein in Hamburg, 2019, Photo: Fred Dott
Peaches, Whose Jizz Is This?, installation view, Kunstverein in Hamburg, 2019, Photo: Fred Dott
Text by Haruka Shibata
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine