体が子どもから大人へと変わる一方で、急速な身体の移ろいとは足並み揃わない心の成長に気鬱になったりする。そう、誰もが通過するあの「思春期」だ。
皆さんはどんな思春期を過ごしただろう。それから思春期を語るうえで欠かせない時間、「放課後」を。全国大会出場を掲げ部活動に精魂尽くす者や、難関大学入学に向かい勉学に勤しんだ者。うっかりドロップアウトした人もいれば、卒業ギリギリまで何もしなかったプー太郎も。ちなみに筆者の思春期は、後者側だ。
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時は変わって、2017年。現在、思春期真っ只中の17歳、とあるティーン女子Remi Riordan(レミ・ライアダン)の放課後も充実している。でも、勉強でも部活動でもない。「雑誌編集長業」だ。
「ティーンが作る、ティーンのためのマガジン」と謳う『Crybaby Zine(クライベイビー・ジン)』。2015年、なんと彼女が若干15歳だったよって立ち上げた。
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末恐ろしいティーンが作るジンだが、立ち上げのきっかけはシンプル。レミが自身の作品をいろいろな出版社に持ち込んだものの、どこも門前払い。それなら「自分と友だちの作品を発信できる場を自分で作ればいいじゃん」。
そうして足掛け2年、現在では年2回のジン発行に加え、毎日更新のウェブマガジンを配信するまで成長を遂げた。
Image via Megan Schaller
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特筆すべきはそのクオリティ。彼女たちが関心のあるトピックを写真やイラスト、エッセイ、インタビューで発信するのだが、想像をはるかに超える大人顔負けの完成度。
「どうせ、大人の助太刀(すけだち)があるんでしょ」なんて侮るなかれ。編集長レミを含む4人の編集チームだけでなく、世界各国から写真家、フィルムメイカー、ライター、イラストレーターなど、総勢およそ20人のティーン・コントリビューターが集まる。その中には14歳のイラストレーターなんていう“ツワモノティーン”も。
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ミレニアル世代の一つ下の世代。彼女たちが思い思いに過ごす“現在進行形の青春時代”は、我々世代の物差しで持ってしても測ることはできない。
物心のつく頃にはスマホが手元にあり、SNSは小学生にもなれば完璧に使いこなしセルフプロデュースなんてのは当たり前。そんな予測不能に勢いづく彼女たちを象徴する『クライ・ベイビー』で、新たな世代の序章を感じて欲しい。
ちなみに、編集長のレミにインタビューも近日予定。待て次回!
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Text by Shimpei Nakagawa