来日直前インタビュー!レジェンドラッパーが太鼓判を押す 若干10歳の“Hip Hop”イラストレーター

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筆者は小学生の頃、絵を描くのが好きだった。おうちやお花、友達を描いては、母に「上手だね〜」なんて褒められて育った。ある少年もまた、絵を描くことに没頭している。ただ筆者と大きく違う点は、モデルが「ビギーとか、キャムロン!1番好きなのはリル・ブージー!」といったレジェンドラッパーだということ。しかも、彼を褒める(というか、リスペクトする)のも、そのラッパー張本人だ。

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若干10歳。世界のヘッズを魅了するイラストレーター

 いま、ヘッズを夢中にさせているのは、シアトルに住むYung Lenox(ヤング・レノックス)君。若干10歳ながら、ビギー、2パック、O.D.Bなどレジェンドラッパーのポートレイトや、90年代ヒップホップ黄金期のアルバムジャケットを描き上げる、大注目のイラストレーターだ。シュールでヘタウマ、10歳ならではの感性と才能を感じられる作品が、なんといっても最大の魅力。

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 魅了されたのはヘッズだけじゃあない。某フィルムディレクターは直接電話でラブコールを送り、彼のドキュメンタリー・ムービー『Live Fast Draw Yung(リブ・ファスト・ドロウ・ヤング)』まで撮影。作品はトライベッカ映画祭にてプレミア上映された。

 実際に描かれたラッパーたちだって、もうすっかり彼の大ファン。ウータン・クランのレイクウォンは何度かハングアウトしたし、キャムロンはアイスクリームで乾杯、アクション・ブロンソンは楽屋でTic-Tacs(お菓子)を食べたりと、多忙にも関わらず、レノックス君には時間を惜しまない。

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ウータン・クランのレイクウォンと

「だって寝る時間だったんだもん!」

 当時6歳、「だって寝る時間だったんだもん!」との理由で参加できなかったニューヨーク展。レイクウォンと一緒に、飛行気で向かったロサンゼルス展。そして今回、世の中の才能をつなぐアートコレクティブ「CULTCLUB」主催のもと、3回目の個展が今週末から東京と福岡で開催される。(今回はレイクウォンとではなくママと共に来日)。

 早速直前インタビュー!と意気込んでみたものの、10歳だもん、そりゃあ集中力続かないよね。「どうしたもんか…」ということで、同じくイラストレーターであり一番の理解者、パパのSkip Class(スキップ・クラス)にも協力してもらうことに。レノックス・ワールド全開の、ゆる〜いインタビューをご堪能あれ。

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HEAPS(以下、H):自己紹介してくれるかな?

Yung Lenox(以下、Y):うん!ヤング・レノックス、10歳!初めて描いたラッパーはグッチ・メイン。6歳と半分くらいのときだったと思う。最初はラッパーじゃなくてスーパーヒーローばっかり描いてたんだ。

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写真右中がグッチ・メイン

H:そうなの?何でラッパーを描き始めたの?

Y:ダディが「パパのお気に入りのヒーローはグッチ・メインだ!」って教えてくれてたんだ。

H:おぉ!お絵描きは誰に教わったの?パパ?

Y:うん!ダディが教えてくれた。でも、ほとんど自己流だよ。だって絵を描くの好きだもん!楽しいし、描いてるラッパーのことを知るのも好き!昔より、すっごく上手になったと思う!

H:上手に描くコツとかはあるの?

Y:特にないよ。ただ一生懸命描くんだ!

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H:ちなみにヒップホップ、好き?

Y:好きー!初めて聞いた曲とかは覚えてないけど、ラップってなんだか面白いし、なんとなくカッコイイ。

H:お絵描き以外だと、何して遊ぶのが好き?

Y:ビデオゲーム!外で遊ぶのも好きだよ。スケボーでしょ、スポーツ、友達とハングアウトも!あとね、僕ステーキが大好きなんだ。キャムロンと一緒に食べてみたいなぁ。

H:学校のお友達って、レノックス君がイラストレーターってこと、知ってるの?

Y:何人かは知ってるよ。でもみんな全然興味なさそう。

H:描きたいラッパーはいつもどうやって決めるの?

Y:いつもダディが、ラッパーとアルバムジャケットの写真を何枚か見せてくれるんだ。で、僕が一番描きたいなって思ったのを描くの。次に描くラッパーはね、まだ決めてない。

H:おばちゃん、チャンス・ザ・ラッパーって人が好きなの。次、描いてくれるかな?(ワクワク)

Y:へー!僕もチャンス好きだよ!一曲しか聞いたことないけどね。うーんと、いつか描くね。

H:いつか…オッケー。えっと、今までの作品で特にお気に入りなのは?

Y:「パープルへイズ」のキャムロン。だってこのジャケットすっごくCOOLなんだもん!

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H:確か、ピンクのファーを着たキャムロンも描いてたよね?

Y:うん!キャムロンとは一緒にアイスクリームを食べたことがあるんだけど、そのときはこの絵みたいなピンクの服を着てなかったんだ。

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Skip Class(以下、S):いつもあんなピンクの服を着てると思ってたのかい?

Y:うん!だってそれ以外に考えられなかったんだもん。

H:キャムロンのラップは好き?

Y:いいと思う!「Sideways thumb(サイドウェイズ・サム)」!

S:あ、これはね、彼のオリジナルランキングシステムで、Cプラスって意味なんだ。本当かい?その評価でいいの?

Y:うん!10点中7点!

H:ロックスターとかポップシンガーには興味ないの?

Y:そんなことないよ!ビヨンセとかマーショーン・リンチ(アメリカンフットボール選手)、マイケル・ジョーダンにビーバス・アンド・バットヘッド(テレビアニメ)。あとはマイク・タイソンにシズラ(レゲエ・ディージェイ)とか、色んな人を描いたことあるもん!

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H:おばちゃんのリサーチ不足だったね。じゃあ気を取り直して。もしも、レノックス君がフェス主催者だったら、誰をクレジットする?

Y:えーっとね…(しばし沈黙)分かんない!だって好きな人いっぱいいるんだもん!でも多分、シズラ、イーク・ア・マウス、キャムロン、アクションブロンソン、あとはドクター・オクタゴン!

H:入場料、ものすごい金額になりそうだね。大人になったら、何になりたい?

Y:うーんとね…(しばし沈黙)ビデオゲームのアートデザイナーか、スケボーで有名になりたい!

H:あっ、イラストレーターじゃないのね。えっと…日本での個展、もうすぐだね!楽しみ?

Y:YES!すごく楽しみ!クーーール!(巻き舌で。そしてそのあと炭酸水をそっと飲む)

H:最後にパパに質問です。レノックス君がこうやって世界で注目されること、パパ視点から見てどんな気持ちですか?

S:僕も妻も、彼を誇りに思うよ。イラストレーターとしても、ひとりの息子としてもね。家族みんなで彼のやってることを全力で応援できるって、素晴らしいことだと思う。

H:なかなかできないような経験、いっぱいしてますもんね!

S:その通り!まさか自分の息子がわずか10歳で個展のために日本を訪れたり、僕が大好きだった世代のラッパーたちと会えたりするなんて考えてもみなかったよ。CULTCLUBと日本のファンのみんなには感謝でいっぱい。是非個展に足を運んで、彼の作品を見てほしいよ!

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パパと一緒に、オリジナルステッカーをペタリ

YUNG LENOX

【a CULTCLUB presentation YUNG LENOX “ART OF DRAW YUNG”】

会場/CULTCLUB STUDIO
   〒151-0053 東京都渋谷区代々木5-67-1 B1F
電話/03-6804-9339
日時/7月16日(土) ~ 7月21日(木)
時間/13:00~21:00
サイン会/7月16日(土) 15:00 ~17:00

会場/Dice&Dice tokyo
   〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-18-14 TODD SNYDER TOWNHOUSE内B1
電話/03-5485-8280
日時/7月17日(日) ~ 7月24日(日)
時間/11:00 ~ 20:00
サイン会/7月17日(日) 14:00~15:00

会場/Dice&Dice Fukuoka
   〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉2-1-43 DXD bldg 2F
電話/092-722-4877
日時/7月18日(月) ~7月24日(日)
時間/11:00 ~ 20:00
サイン会/7月18日(月) 15:00~17:00

■詳しくは
CULTCLUB

[nlink url=”https://heapsmag.com/?p=10308″ title=”何かがオカシイ。3歳から88歳のみんなが描いた“私の頭の中の自転車”を再現”]

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All images via Yung Lenox and Skip Class
Text by Yu Takamichi

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