わずか17の音で、人間の心情や場景を表現する「俳句」。有季定型(季語があり、五七五)という基本ルールにもあるように、日本人は古くから四季の移り変わりに心を寄せ、あるものをあるがままに愛で、生きてきた。
そんな俳句を生んだ日本から遠く離れたニューヨークで、大都会の日常にある些細な一瞬を俳句で詠む1人の女性がいる。
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ジン『Haiku & Holga(ハイク&ホルガ)』を作るのはMichelle Spadafore(ミシェル・スパダフォー)。タイトルにあるHolgaとは、香港生まれのフィルムカメラのこと。ジンは、このHolga135BCに収めたニューヨークの風景写真と、側に静かに添えられた三文からなるHaiku(俳句)により構成される。
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大都会ニューヨークの忙しい日常の中に存在する、四季が織り成す一瞬の美や静寂の瞬間が好きで好きでたまらないと彼女。彼女が愛してやまない、日常の美の瞬間を「Haiku」と「Holga」で表現する。
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写真の現像からタイプライターにて打ち出されるHaikuまで、すべてアナログにこだわったジン。余白の多さには、俳句が重んじる“余白美(言葉以外の余白に漂う余剰、余韻、気配や匂いの美しさ)を思わせる。
俳句を生んだ日本人の心にもう一度“侘び寂びの精神”を教えてくれる、美しいジンだ。
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All images via Michelle Spadafore
Text by Shimpei Nakagawa