「ロボットが人間から仕事を奪う」にはもう耳ダコだ。「SF映画の見過ぎじゃない?」なんて思ったりしていたが、実のところそれはもうすぐそこまできている。事実、ロボット化によって2030年までに日本の労働人口の約半数が失業するとまで言われているし…。
ロボットがピザを配達するまでになった現代において、新たなロボットくんのお仕事がある。それは人肌にインクを彫る「タトゥーアーティスト」だ。
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「tatoué(タトゥイ)」という名のこのロボット。
フランス人エンジニアのPierre Emm(ピエール・エム)とJohan Silveira(ジョアン・シルベイラ)のデザインスタジオ「「Appripriate Audiences(アプロプリエイト・オーディエンセズ)」が開発に成功した世界初のタトゥーロボットで、3Dプリント技術とタトゥーマシンが合体したハイブリッドだ。
「タトゥー産業には長い歴史がある。しかしこれだけタトゥーの民主化が進んだいまでもなお、この100年で技術的に進化はしていない。そんな伝統的な産業にテクノロジーを持ち込んでみたら面白いと思ったんだよね」
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仕組みはこうだ。
1、タトゥーをしたい体の部分をスキャン
2、スキャンしたデータがロボットが認識できるコードに変換される
3、デザインソフトウェアにインプット、ロボットが彫る
見ているだけでちょっと怖くなってしまうが、世界初のタトゥーロボット実験台になりたい人を募集したところ、沢山の人からの応募があったとか。
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人工皮膚でのテストを終え、初めて人肌に施したタトゥーのデザインは「円」だった。「tatouéの精密性を調べるにはとっておきのデザインだったよ」
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現在は腕や脚のみに施術可能とのことだが、今後すべての身体の部位に対応すべく開発に尽力している。
一見すると、実用性に欠けており現実味のない話に思えてしまうtatoué。しかし、これは単なる“人肌にタトゥーを施す驚きのロボット話”ではない。人間の感覚が必要不可欠と思われていた多くの仕事でさえ、ロボットができるようになるという事実を示すものなのだ。
まあそんなロボット征服論さておき、世界初のロボットタトゥーアーティストの仕事ぶりがとりあえずは楽しみである。
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All images via Appripriate Audiences
Text by Shimpei Nakagawa