ポートランド農家が提供。「理想の休日」は、ファーム・トゥ・テーブルの食卓・有機マリファナ付き?

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ポートランド、というここ近年ずっとホットなワードにのっかるようだが仕方がない。やっぱり、面白いことが多いのだ。

ポートランド近郊の海岸沿いの宿「North Fork 53(ノース・フォーク 53)」も変わっている。最近ウェルネスセンターとなり、食材を育て、調理し食べる、休む、遊ぶと言った昔ながらの自然生活を提供するのだが、テーブルに地元農家が栽培するマリファナが普通に提供される。有機野菜やハーブと同じ扱いで、もてなしに含まれているという。

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実際の食事の写真

若者の理想郷?「ノース・フォーク53」

「ノース・フォーク53」は、 ネハーレム川のノースフォーク(北の分岐点)沿いにある1930年代建造のファームハウス。オレゴン州でのマリファナ合法化とほぼ同時期にオープンした。

 海岸までは15分程度。周囲を4エーカー(約4800坪)の農地に囲まれている。経営者のジンジャー&ブリガムさん夫婦は、隣接する5エーカー(約6000坪)の農地で、10年ほど前から有機農園を営んでいる。

Argentinian style roast  at North Fork 53 farm stay in the Nehalem River Valley on the Oregon Coast.

 これまではベッド&ブレックファーストスタイルで部屋を貸していたが、今年(2017年1月1日)に入って、顧客の要望もあり家を丸ごと貸すことにし、また既存イベントに参加するスタイルのウェルネス・センターとして始動したばかり。

 自らの農地で取れた有機野菜を提供するファーム・トゥー・テーブルの食事に加えて、マリファナを食事のペアリングに取り入れたり、ベポライザーを貸す「カンナビス・パッケージ」なるパッケージを提供したり、と、ポートランドっ子の注目を集めたこの宿。今年からウェルネス・センターになったということで、経営者のジンジャーさんに話を聞いてみた。

Argentinian style roast  at North Fork 53 farm stay in the Nehalem River Valley on the Oregon Coast.

H(HEAPS、以下H):今年から、宿から「ウェルネスセンター」に変更したそうですね。

G(Ginger ジンジャー、以下G):そうなの。年末年始、すごい頑張って働いちゃった。ようやく新しいホームページもオープンしたの。
これからは、部屋じゃなくて、家として丸ごと借すことにしたのよ。

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H:「ファーム・トゥ・テーブル朝食」は引き続きやられているんですか?

G:希望があれば、有機野菜を使った食事も出すわ。それから、台所も開放するから、たとえばうちの農家や近隣で食材を買って自分たちで調理する、みたいなこともできるようになったのよ。
パッケージでの提供はいまはストップしているけど、相変わらずマリファナ・フレンドリーな宿よ。家の中でベポライザーを使ってもいいし、ヨガとカンナビスの薬効を学ぶ「カンナ・ヴェーダ・リトリート」みたいなイベントも予定しているの。

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H:マリファナが合法になってから何か変わりましたか?

G:そうね、マリファナが悪者扱いされなくなったことが一番大きいと思う。リラックスできて、心身のウェルネスに役立つ、自然のハーブだっていう認識が広まってきているから。庭の一角にあっても普通な感じに、ね。

H:ジンジャーさんや宿を訪れる人にとって、マリファナは欠かせないものなんでしょうか。

G:欠かせない、っていう言い方は違うかな。でも、気の合う仲間と、すぐ側で知っている人が作った食材を一緒に調理して食べて、海を見て、焚き火を囲んで、お酒を飲んで…、っていうリラックスタイムの中に、マリファナは自然と入っていると思うの。

Cannabis pairing dinner party at North Fork 53 near Nehalem, Oregon.

H:なるほど。お客さんってどんな人が多いですか?やっぱりリラックスを求めて?

G:20代、30代を中心に40代くらいまでのカップルが多いかな。
みんな、現代のスピーディーで実体のないデジタル世界に疲れて、 自然と触れたいと思っているみたい。
それに、私とただ話をしたいって人も意外と多いのよ(笑)。農家の生活に興味があるみたい。農場見学希望者も多いし。

Argentinian style roast  at North Fork 53 farm stay in the Nehalem River Valley on the Oregon Coast.

H:農家志望の若者が増えているということ?

G:10年以上ここで農業をしているけれど、この間ですごく増えたと感じている。みんな、バーチャルなことや偽物に嫌気がさして、手に触って確かめられる「本物」を求めているのかも。大学を出て、ハイテク産業なんかに就職したのに、農家を志したりする人もいたわ。
もちろん、みんなが実際に農家になるわけじゃないけれど、自分たちの食べるものが、どれくらいの手間と愛情をかけて作られていることを知って、食材を選ぶようになったり、アパートで自家菜園してみたりと何かを学んで帰るみたい。

H:これから、このようないわゆる「避難所」的な宿の需要は増えそうですね。

G:そうね。物心ついた時から、ネット環境にある世代は、お休みの日ぐらい、手で触れられる確かなものに囲まれて、ゆっくりリラックスしたいって思っているみたいだから。ビデオゲームやネットがない自然環境で過ごすことが「デトックス」で「セラピー」なんだって。

 都会のハイテク生活から、ペースダウンするための拠り所への需要は高まっている。そして、マリファナという存在はといえば、より目の前のリラックスに集中できる一つのアイテムとして、かもしれない。自然豊かな旅先でもすぐにスマホで写真を撮ってSNSにアップ…というデジタル世界から離れ、その場の旅の仲間や自然とだけ向き合ってこそ、真のリトリートがかなう。マリファナは、切り替え下手な現代人を憩いの場に“ちゃんと”没頭させる、一つのリラクゼーションなのだろう。

Cannabis pairing dinner party at North Fork 53 near Nehalem, Oregon.


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North Fork 53

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All images Via North Fork 53
Text by Rika Higashi

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