9:00AM。D.I.Y.倉庫にマニアックな奴らが大集合。 朝っぱらからはじまったのは「ポルノ映画祭」

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この季節、ニューヨークといえばイベント目白押しシーズン。その日も、ブシュウィック地区では無料の路上パーティーがあり、子どもたちからカップル、家族連れ、観光客でワイワイ賑わい、終始ピースフルな雰囲気。

しかし。一部の人々はそんなのには目もくれず、早朝から高いお金を払ってその近くの薄暗い倉庫に集まっていた。

※このコンテンツは、過激な内容を含みます。

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光が遮断された真っ暗な倉庫で行われていたのは、「NYC Porn Film Festival(ニューヨークシティ・ポルノ・フィルム・フェスティバル)」。
昨年マイリー・サイラスが自身のSM映像をエントリー、直前で取り止め散々話題(炎上)になった、その第2回が先日、ウィリアムバーグ地区の巨大倉庫にて開催されたのだ。

ま、この流れ、行くことになりますよね。なんでも経験!とありきたりの説得文句で、自分を言い聞かせて行ってきましたよ。

え、フリーメイソン?

 イベント入り口で早くもやっぱちょっとやめたくなった。ポスター、フリーメイソンっぽくない?

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「これやっぱアブナいやつなんじゃ…」なんてもじもじしていると、前日からアポを取ってた甲斐あって、主催チームのリーダーと落ち合えた。(入る前に会えてよかったー!)

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 眠そうな彼をカフェに連れ、まずいろいろ聞いてみました。

HEAPS(以下、H):単刀直入に聞きます。ズバリ「NYCポルノ映画祭」の目的を教えてください。

Robert J Choi(ロバート・ジェイ・チョイ、以下、R):「ポルノへのさらなる探求」だね。その過激な性愛描写のせいで、まだまだ社会的にタブー扱いされているポルノ。でも同時にビジュアルアートとしての側面も持ち合わせている。

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H:ポルノがアート。

R:いかにも。これにテクノロジーやトークショーを交えて発信し、「エロだけじゃないポルノ映画祭」のニューモデルになれたらいいなと思ってる。お客さんにはそこで何かを感じてもらえたらいいな。ポルノそのものだけだと面白味がないじゃない?

H:ポルノ自体は面白くないかもってこと? あのぅ、ポルノ、好きですか?

R:はは、当たり前さ。大好き。嫌いな人がいたら教えてほしいよ。僕にとってポルノは「Part of life(人生の一部)」さ。

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H:ホッ。それを聞いて安心しました。

R:僕がいいたいのは、ポルノそのものだけだと他の映画祭と似たり寄ったりになってしまうって意味ね。

H:納得です。ところで今回上映される作品は一般募集だったんですよね。

R:イエス!プロアマ問わずの応募に、約1,000本の作品が集まったんだ。今年はリベンジポルノに関する内容のものが目立ってたね。

H:1,000本も!その中から上映する約20本を選んだんですか? 全部見たんですか?1,000本?

R:そうさ。エッジーかつ昨年にはなかった新しいアイデアのものを基準に、ジャンル問わず幅広く選りすぐった。たとえば5分程度で気楽に見れる「ポルノ・ミュージックビデオ」もあれば、1時間以上ある「性に狂わされた人間描写」のドキュメンタリーがあったり。

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H:ほうほう。なんだか気軽感は湧いてきました。が、やっぱりジャンル問わず「ポルノ映画は男性のためのもの」という印象が強いです。私もそうですが、女性にはまだちょーっと抵抗があるような。

R:そのイメージはまだまだあるね。アメリカでは、ポルノ閲覧者は7:3で男性比が圧倒的に多い。でも10年前の女性比はもっと少なかった。ここまで増加したのはインターネットだね。
僕が思うに、1人でこっそり楽しめるバーチャル・リアリティ・テクノロジーがより発達すれば、女性比はさらに増える気がするんだ。だから今回の映画祭は女性にもいい機会だと思ってる。

H:ほうほう。ちなみにこれまで見た中でのベスト・ポルノ映画って何ですか?

R:ごめん選べない。だって名作がありすぎるんだもん。しいていうならロマンス系が好きかな。

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H:意外と王道ですね。では、男女問わず来場者にはどう楽しんでほしいですか?

R:お金を払って来てくれるお客さんの目的はそれぞれ。普段なかなか聞けない性トークに興味がある人、最新バーチャル・リアリティを体験したい人、単純にポルノを堪能したいだけって人もいる。21歳以上なら誰でもウェルカム。実際に足を運んで、楽しんでくれれば本望さ。さっ、君も早く入りなよ。

「上映中に吐いた人もいた」過激な映画祭(朝から)

 ちょっと強引に誘われいざ会場へ。受付にいたのが可愛い感じのボーイズでちょっと安心。

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 まだ人もまばらだった初日の朝9時30分。巨大スクリーンに映し出されていたのは、ゴリゴリのポルノ。のっけから大分ハードだった。
 “NOコンドーム”がポリシーのゲイポルノスタジオの男優が、HIVに感染してしまうという悲しいドキュメンタリーだったのだが、内容の大半はモザイク一切なしのセックス描写。口から血が出るまでしゃぶらせる映像には思わず「オエッ」。そんな筆者を察してかロバート、「去年、上映中に席を立って、外で吐いちゃったお客さんがいたよ」とボソリ。ちょ、入る前に言ってくれ。

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繰り返しますが、朝です。

 ベルリン、サンフランシスコ、韓国など世界各地で開催されているポルノ映画祭。前述の通り、他の映画祭との差別化を視野に入れるニューヨークのそれは、ただ映画を延々と上映するわけではない。

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カップルで連れ立ってる参加者、多かったなあ。

バーチャルリアリティ? 覗けば服を脱がされる

 スポンサーの「Porn hub」が開発した、覗くとセクシーな女性が自分の身体をいやらしく触り出すバーチャル・リアリティや、

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 乳首にバッテンシールを貼った女性(下はモロ出し)の身体に映される、3Dボディマッピングという最新テクノロジーを実際に体験。

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 その他にもHIV感染者専門のセラピストによる真面目なパネルディスカッションもあれば、ポルノをテーマにしたコメディアンのトークもある。さらに喉が渇けば特設バーでビールを一杯、ムラムラしたなら同じくスポンサーの「Adult-Empire.com」のショッピングコーナーでおもちゃだって買える。我々を飽きさせない工夫と居心地のいいD.I.Y.会場、最新ラインナップが特徴だ。

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質問タイムもあります。
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昨年同様、抗議者、現わる

 盛り上がりを見せていた中盤、「今年も来たよ。いまは休憩中っぽいけど」とザワザワ。外に出てみるとこんなものが置いてあった。

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 Protesters(抗議者)たちだ。センシティブなトピックだからこそ、こういう人たちがいるのは当然なわけで…。
「去年もいたんだ。でも個人的にはウェルカム。抗議者もサポーターの一員だと思ってるからね。だって、ポルノについて真剣に考えているからこそ、講義するわけでしょう?」。ロバート、ポジティブだ。

「貢ぎマゾ」「伝説のポルノ男優」登場。会場はカオス状態に

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 夜も更けてきたところで、自らをGoddess(女神)と名乗る女性が、首に鎖を付けられ四つん這いになった男性と共にステージに登場。「Financial Domination(財布奴隷とでも訳そう)」のデモンストレーションのはじまりだ!

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「豚野郎っ!」と罵られるその男性は、中年小太りうすらハゲのおっさん。どうやら彼、毎月女神の口座に大金を注ぎ込み、かつ身体的に痛めつけられることに快感を感じる“貢ぎマゾ”。女神が「奴隷は車に無駄金を使うんじゃなくて、この私に有意義に使うべき!」と熱弁をふるう中、おっさんは脱ぎ捨てられたハイヒールにしゃぶりついたり、叩いていた棒が折れるまで、お尻をペンペン(ぺんぺんどころじゃないか)。

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折れたー!
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素手でまだ叩く!

 その光景をパシャパシャ、その場でSNSに即ポストしている観客たち。大沸き。

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クロークにコートではなく「ズボンを預ける」

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 深夜を過ぎたころ。アメリカにて伝説のポルノ男優と称されるロン・ジェレミー(日本でいう加藤鷹か)がホストを勤めるアフターパーティーがはじまった。間違いなくその日で一番カオス。 DJが盛り上げる中ダンスフロアと化した会場には、露出度高めのコス、下着姿、裸(!?)の人で満員御礼。至る所で男女、男同士、女同士が絡み合う。

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 たまたま隣にいた女性から「去年も来たんだけどさ、今年の内容は格段にヤバかったわ」と聞き、興奮を抑えきれずシャッターを切りまくっていた取材陣。承認を得ての撮影だったが、これ以上盛り上がったあとは流石に見せられないと、「No more photo」とキックアウトされた。

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 “非日常的な光景”が繰り広げられていた熱気ムンムンの会場から、まだ少し肌寒い外に放り出されたとき、一気に我に返った。性的視点以外でポルノを割と楽しんでいた私は、ロバートの言う「エロだけじゃないポルノ映画祭で、感じてもらいたい何か」を自然とキャッチしていた。
 入る前はイヤイヤだったのに、結果はポルノ映画に見入って、バーチャルリアリティでキャーキャー言って、公開SMも前の方でがっつり見てましたからね。ただの映画祭じゃなかった、うん。

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Interview Photos by Saori Ichikawa
Event Phos by Tetora・Poe
Text by Yu Takamichi

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