いま絶対に売れる「ミレニアル・ピンク」について。店内がピンク一色のレストランもオープン、雑誌の表紙もピンク、ピンク、ピンク。

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気がつけば、どこもかしもピンクになっていた。街のギャルもスケーターも、セレブもランウェイのモデルも…。広告も、店の壁もテーブルもお皿も…。ネオンサインも、もちろんピンク。一体どうした?

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「ミレニアル・ピンク」っていうんだ?

 薄ピンク、パステル調のピンク、ベージュ(みたいな)ピンク、サーモンピンク…。ちょっと前は、タンブラーピンクだ、スカンジ(ナビアン)ピンクだとか呼ばれていたらしいが、要は、ざっくり薄ピンクのこと。それが昨年くらいから「ミレニアル・ピンク」と呼ばれるようになっていた
 この現象は、ミレニアル世代をコアターゲットとするブランドが、商品やパッケージ、広告にこぞって「ピンク」を使ったからだ(と言われている)。「なぜ、ピンクなのか」の理由はただ一つ。「売れるから」

「2017年はさすがに、エメラルドグリーンにシフトしようとしましたが、売れ行きはイマイチ」とニューヨークのローワーイーストサイドにある某人気セレクトショップのオーナー。「この商品、ピンクもありますよ」とみせると「ピンクは売れる」のだそう。
 
 特筆すべきは、この現象は女子の世界に限った話ではないということ。ラッパーのドレイクが着ていた、ストーンアイランド〈STONE ISLAND〉のピンクのロングのダウンコートは、インスタグラムをきっかけに世界中で即完売となったり、ピンクのロングTシャツ、キャップを着用したスケーターをよく見かけたり。

 そして、このピンクは「ジェンダー・ニュートラル・カラー」と言われている。かつてガーリーの象徴だったピンクが「男の子も女の子も着れていいよね!」な昔でいうイエロー、つまり中立的ポジションになっている。もはや、男がピンクを身につけることに意外性はない、という感覚らしい。

ここ数年の「ピンク」のこと、ちょっと振り返ってみよう。

 
 現在に続く「ミレニアル・ピンク」の夜明けがいつなのかを明確に定義するのは難しいが、2014年に注目したい。まず、14年のピンクといえば、ウェス・アンダーソン監督作品『グランド・ブダペスト・ホテル』。また、スカンジナビア(ヨーロッパ北部の半島)のデザイナーたちがこぞってピンクを使っていたことから「スカンジ・ピンク」という造語の検索数が急増。SNS上でのピンクの存在感が増す。 
 
ーフェミニズム・ムーブメントを牽引するブランドの一つ、下着ブランドの「シンクス(Thinx)」のピンクグレープフルーツをモチーフにした広告が話題に。

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ー「Acne Studios(アクネ ストゥディオズ)」のショッピングバッグは、2007年頃から「ミレニアルピンク」色に。創始者兼クリエイティブディレクターであるジョニー・ヨハンソンは、デスクの上にあった、ピンク色のサンドイッチの包み紙がインスピレーションだと話している。

 その他、ミレニアルズからカルト的に人気を誇るコスメブランド「Glossier(グロッシアー)」のブランド・カラーがピンク、雑誌「Kinfolk(キンフォーク)」の表紙もピンクに

 翌15年4月、ニューヨークのお洒落ピープル御用達レストラン「Dimes(ダイムス)」が移転。そこにはミニマル&カラフルなお洒落テーブルが並んだのだが…、青でも白でもなく「ピンクのテーブルに座りたい!」というお客が激増。そのココロは「ピンクのテーブルので、お洒落なボールディッシュを撮ってインスタグラムにアップしたい」だ。お客の要望がもはや営業妨害の域に達したのか、16年にはピンクのテーブルが撤去されていたという事件も。

 ちなみに、ラッパーのドレイクが「 Hotline Bling (ホットライン・ブリング、ドレイクがピンクのダウンを着用)」をリリースしたのも15年(7月)。ピンクゴールドのiPhoneが話題になったのは9月。16年にはル・クルーゼが「オアシス・コレクション」を開始。ミレニアルピンクのキッチン用品がバカ売れ…、と続く。

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ピンク一色レストラン、Pietro Nolita(ピエトロ・ノリータ)。

 9月には店内がピンク一色のイタリアンレストラン「Pietro Nolita(ピエトロ・ノリータ)」がオープン。「いま、最もインスタ映えするレストラン」として注目を集めた。翌10月には、著名人が顔を揃える女性専用のこワーキングスペース「The Wing(ザ・ウィング)」が話題に。壁、ソファー、椅子など、インテリアはもちろんミレニアル・ピンクが基調だ。フェミニズムの第一線を走る都会の女たちが「一周回って、薄ピンク」。壁がピンクというだけでそこに人が集まる昨今。当面、迷ったら「ピンク」を選んでおけば、間違いないのかもしれない?

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Text by Chiyo Yamauchi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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