雑誌不況、こぞって力を入れているものといったら「付録」。「付録競争」なんて言葉も聞こえそのハイクオリティ化が進むいま、お目当は付録で、誌面には目を通さないなんてこともあったり。なんだか雑誌のメインが、誌面から付録に逆転してしまっている気もする。
少々ひとり歩き気味の最近の付録だが、情報誌『大槌食べる通信』の付録は誌面の内容と切っても切り離せない。ラインナップは、ウニ、アワビ、ホタテ、牡蠣、わかめ、鮭、マンボウ、メカジキ、はちみつ、原木椎茸、松茸など。新鮮な「食材」なのだ。
『大槌食べる通信』は、食のつくり手を特集した情報誌と、食のつくり手が収穫した食べものがセットで定期的に届く“食べもの付き情報誌”。
2011年東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県大槌町の人や地域の魅力を発信したい、つくり手の思いやライフストーリーと共に食べものを食すことで食を通じた感動や食に対するありがたさを届けたい、との思いから生まれた季刊誌だ。
誌面では、大槌町の食生産者や、食べ物の話や調理法、町民も知らなかったりする大槌町のツウな情報を掲載。
創刊号の食材は「ホタテ」。漁師の堀合俊治さんを特集し、震災体験後のライフストーリーや仕事を紹介する。
編集長の吉野和也さんは、震災ボランティアをきっかけに大槌町の魅力を発見、2011年に移住した大槌町ファン。『大槌食べる通信』を通して、大槌町を「新たなふるさと」だと思う人を増やしたいと語る。
また、隔月で大槌と町外(主に東京)で交互に交流会を開催予定。大槌町では生産者を訪ね、食材の生産現場体験を、町外では大槌で採れた食材を使ったお食事会や虎舞などの郷土芸能披露も検討中だとか。
食べ物付き情報誌『大槌食べる通信』はまさに体験型メディア。「付録」という名の新鮮な食材を堪能し、目の前の食材があなたの手元に届くまでのストーリーを読めば、きっと自然と味わいにも深みが増すはず。これこそまさに付録と誌面が「付録付き雑誌」の醍醐味なのだ。
詳しくは、コチラから。
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Text by Shimpei Nakagawa and HEAPS