「乳首の上に目玉焼き」。絵文字とヌードをコラボさせたらこうなった。

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乳首の上に目玉焼き。女性のアソコに子猫、はたまた男性のアソコにはおナス。
インスタグラムで発見した、絵文字をもじったちょっぴり過激な写真(毛、見えちゃってるし)。
エロくてシュールなこの作品。どうやらただのおバカなプロジェクトではないらしい。

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ネット検閲の定義は古い?

「グロ系ホラー」や「キワドいポーズの女性」など、たとえ人を不愉快にさせる内容だったとしても、誰でも簡単に写真がアップできちゃうソーシャルメディア。だからこそ不適切なコンテンツかどうかを見極める検閲が存在するわけで…個人的には必要かなと思う。が、その定義はもはや古い!と訴える女性がいる。

「何で乳首とかお尻とか性器って、そんなに恐れられてるのかしら?」
 そう真面目に話すのは、ロンドンを拠点に活動するフォトグラファー。このおバカな作品を撮った張本人だ。

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 SNSと共に普及してきた絵文字。日本発のそれは「Emoji」として海外でも広く認知され、昨年、世界で最も権威があるとされる英語辞典、オックスフォード英語辞典が毎年選出する「ワード・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれたくらいだ。

 そんな絵文字をセミヌードとコラボさせ、ネット検閲の定義にシュールに問題提起したのが、この「絵文字シリーズ」プロジェクト。「ソーシャルメディア上の検閲の定義について、時代に対応してる気がまったくしないの!」と話す彼女の思うことを、メールで聞いてみた。

HEAPS(以下、H):自己紹介をお願いします。

Stephanie Wilson(以下、S):ステファニー・ウィルソン、23歳。写真を撮り始めてもう10年になるわ。もともとファインアートの写真を、いまは主にファインアートを落とし込んだファッションを中心に撮ってるの。

H:絵文字シリーズのアイデアはどこから?

S:アイデアを練っていたときのこと。前に、友達の彼氏が崖の端で撮った最高にイケてるヌードショットをインスタ上で見たのを覚えてて。彼のお尻部分には、キラキラのスパークル絵文字が施されてたの。でも検閲にひっかかっちゃった。それには笑わされただけど、同時に不愉快にも感じた。アートとしてのヌードなのにって。

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H:ふむふむ。

S:それにインスパイアされて、エレガントなヌードに絵文字を使用して、検閲の不条理を撮ってみたいと思ったの。それを話したら、Dazed & Confused Magazine(ロンドン発のファッション・カルチャーマガジン)で働いている友だちがすごく気に入ってくれて。「Dazedのために撮ってって!」って頼まれて撮影に至ったの。

H:ちょっぴり過激な今回のプロジェクト。キャスティングはスムーズでした?

S:内容が内容だったから、正直代理店経由でのキャスティングは難しかったわ。でもラッキーなことに、私には快くお尻を出したりおっぱいにカタツムリを乗っけてくれる友だちがいたから、素晴らしい作品が撮れたわ。

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H:個人的には黄色い花のものが好きです。彼女の表情がなんともシュールで。

S:ありがとう。一番評判がいいのは目玉焼きかしら。私はおっぱいにカタツムリが乗っかってるものがお気に入りね。

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H:周囲からの反応はどうでした?

S:たくさんの良い反応をもらってるわ。みんな、こういったちょっとユーモアを加えたものが好きなんじゃないかなって思うの。

H:今回のシリーズ、ユーモアって重要でした?

S:イエス。私が見てきた成功者に共通するのがユーモア。深刻なメッセージ性を持つ作品だったとしても、ユーモアがあることでクスッと笑えるじゃない?何でも真面目に捉えすぎるんじゃなくて、少しだけ気楽に楽しんだらいいんじゃないかなって思う。もちろん、宗教とか人種差別とかのシリアスな対象の場合は別。

H:厳しいネット検閲が、アート制作に及ぼす影響についてどう思います?

S:クリエイティブなプロセスへの隔たりにと思うわ。だってその拘束がある限り、そういった作品を目にする機会がないってことでしょう?それってプラスにはならない。現状からいうと、女性のセミヌードをアートとして使った作品は、男性のセミヌードに比べて表現するのもシェアするのもますます難しくなると思う。

H:と、言いますと?

S:たとえば、インスタグラム。男性の乳首はOKだけど、女性のは少しでも写ってたらすぐに削除される。何で乳首とかお尻とか性器って、そんなに恐れられてるのかしら?アートとしてのヌードって恥ずかしいものかしら?私はそうは思わないわ。

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H:昨年、日本人の性風俗を描いた春画展が「芸術」か「わいせつ」か、大きく問われました。アーティスティックなセミヌードと、18禁のポルノ、線引きはやはり難しいですよね?

S:ポルノ画像とアート画像ははっきり区別するべきだわ。じゃあどこで境界線を引くの?何がポルノと芸術を決めるの?両方ポルノにもアートにもなり得るの?誰がその権利を持ってるの?そもそもポルノってダメなの?
わかってるの、これは大きな議論であって、簡単に答えがでないことだって。

ユーモアを加えバランスをとりながら、アート界の大きな議論のひとつに切り込んだ今回の作品。
一見おバカに思えるこの「絵文字シリーズ」は、厳しいネット検閲に対するアンチテーゼであった。

[nlink url=”https://heapsmag.com/?p=10308″ title=”何かがオカシイ。みんなが描いた“私の頭の中の自転車”を再現”]

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Photos Via Stephanie Wilson
Text by Yu Takamichi

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