コンテナ・ショップ、コンテナ・オフィス、コンテナ・ハウス。
海上輸送のコンテナが大量に廃棄され、その二次利用が注目されてきた近年。
ブルックリンもその例外ではなく、アーティストがスタジオにしたり、最近では若者DJたちが空き地にコンテナ置いてコンテナ・ラジオ局を作ったり(これは明後日くらいにまた記事にします)とにかく工夫が競われている。
そんな中これまた一際興味をそそられたのが、ブルックリン、ブシュウィックに現れた「コンテナ・ビレッジ」。え、コンテナ村?
コンテナ・“シェア”オフィスにようこそ
どうやらコンテナ・ビレッジとは、コンテナ・オフィスの集合体で、いわば「コンテナ・『シェア』オフィス」というところらしい。早速現地に探しに行ったのだが、外からは高いフェンスで覆われていて見えない。
うろうろしてみたが、誰もでてくる気配がないので、コンテナ・シェアオフィスの利用者にコンタクトをしてみるとすぐに「ぜひ見においでよ」と返信が。
お言葉に甘えて(?)「実はいまもう目の前なんです…」と言う図々しさにも、爽やかな笑い声で快く招き入れてくれた。
案内してくれたのは彼、David Smith(デイビッド・スミス)。元々はビンテージのインテリアデザインの会社に勤めていたが、独立をきっかけにオフィスを探していたところ、友人から「コンテナ・シェアオフィス、作ってみない?」との誘いがあったのだそう。
「変わったオフィスにつとめてみたかった」から一つ返事でOK。456㎡の敷地内には、特大サイズの45フィート型(奥行が約14m、天井の高さは2.5m)がごろごろと5,6個並んでいる。まずはデイビッドのオフィスへ。
天窓のお陰で陽当たり抜群のここで、レイザー・カットの受注を受けて制作をしているそう。イベント舞台のデザイナーをしているという彼女と、一つのコンテナ・オフィスをシェアしている。
「私がこのコンテナ・オフィスをデザインするうえで一番こだわったのは、ドア。彼とケンカしたとき、絶対仕切るドアがいるじゃない?」
結構モノが多い…
レイザー・カットの電気傘
内側に壁を張り、防音設備も整え電気を引き、“廃棄コンテナ”からオフィス完成まで要した期間は3ヶ月。
水は引いていないので「残念ながら住めないんだよ〜」。そこで気になるのはおトイレだが、敷地内に別で簡易トイレを設けていた。
ベッドも置いてあり、ここで仮眠をとったり忙しいときは「泊まることもある」。
「じゃあ次はお隣のオフィスへ」と、続いて案内してくれたのが、“お隣”のコンテナ・オフィス。ここではブロードウェイの衣装のパターンナーが一つのコンテナ内をシェアして作業している。
「狭いから集中できるし、音楽をかけたら、ほら部屋が小さいでしょ?フツーのスピーカーでも反響するからノリノリで作業もできるの」とお気に入りの様子。
最後に見せてくれたのは、「現在借り手募集中」だという新しいコンテナ・オフィス。ただ細長い空間だが、何もないからこそ想像が膨らむ。14mの奥行を自分だったらどう使おうか、と考えてワクワクした。
暮らしの住まい、働くオフィス、つまりは生き方そのものにおいてミニマルが注目される昨今。
「小さい空間に必要なものだけを選んで運び込み、限られたスペースをいかに工夫するかというクリエイティビティが常に求められるコンテナ・オフィスだから、全然飽きない。
ここの敷地内にコンテナ・オフィスをもっと作って、初のコンテナ「シェア」・オフィスとして成長させたい」と話すデイビッド。今後が楽しみな新しいシェア・オフィスが、また一つ。