“とりあえず登録”でグリーンエネルギー・ユーザー化? 新世代はグリーンエネルギーも定額購入

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「パリ協定脱退します」。今年6月1日、米国トランプ大統領のその一言で世界は揺れた。中国に次いで世界第二位の二酸化炭素出しまくりの国の君主が、気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」を離脱すると宣言したワケだが…君主の決断とは裏腹に、この出来事によって民間レベルでの環境問題に対する個々の関心は、以前にも増して高まったのではないかと感じるところもある。

Inspire App 3

 とはいっても、関心が高まるだけではこの重篤な「地球温暖化問題」は一向に快方に向かわない。そんなの重々承知はしているものの、結局「何をすればいいのかわからない」がホンネ、マイバッグにマイカップ、節水をいつのまにかサボっていた三日坊主たちに朗報だ。「これまでの生活をなにも変えずに地球に優しくなりませんか?
 提案するのは、エネルギースタートアップ「Inspire(インスパイア)」。“ネットフリックス・スタイル”で風力エネルギー(たまに見かけるあのどでかいプロペラの)を企業や家庭の使用電力に持ちこむサービスだという。

 ネットフリックス・スタイルとは「定額で登録するだけでオッケー」というものらしく、サービス加入方法もいたって簡単。専用のアプリをダウンロードし、5分で登録手続きするだけで、あとはなにもしなくても地球環境保全に貢献できるという。アプリで登録するだけで環境保全? と首を傾げる人にからくりを明かしたいのだが、その前に米国の電力サービスについて簡単に説明しておきたい。日本では一般家庭の場合、契約できる電力会社は地域ごとに決められていたが、米国では1990年代から電力自由化がすすみ、一般家庭でも複数の電力会社から自分の生活にあったプランを選べる(日本でも、2016年4月から電力自由化がスタートした)。グリーンエネルギーの必要性が増す近年は、風力発電や太陽光発電プランなどがあり、いままでも家庭での使用電力をグリーンにすることは可能だった。

Inspire App 4up

 インスパイアが“新しいグリーンエネルギーサービス”である所以は、「毎月一定額購入・アプリで管理・グリーン電力証書の購入」の3点。手順を追って説明すると、

1. アプリをダウンロード。登録時に、それまでの電力消費量や世帯人数、居住地域の天候、家の面積などを入力。このデータに基づいてインスパイアが月極めの定額電力料金を個々に設定。ユーザーは自分の固定料金を毎月支払う

2. インスパイアは仲介人となり、ユーザーが電力をメガワット時(mwh)使用するごとに「Renewable Energy Certificates (グリーン電力証書*)」をローカルの風力発電所から購入する。ユーザーは固定料金を支払うだけで、間接的にグリーンエネルギーの発展に貢献していることになる。

*グリーン電力証書というものは、株のような目に見えないコモディティで、グリーンエネルギーの価値を示す。風力や太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーで作った電気が持つ「環境価値」を「証書」化して取引。グリーン電力証書を購入することで、グリーン電力設備の建設、発電量の維持・拡大、自然エネルギー普及や温暖化の抑制、省エネルギー等に貢献できる、と再生可能エネルギーの普及や拡大を図る。

3. ユーザーの郵便受けには、いままでと変わらず電気料金の請求書が届く。サプライヤーとしてインスパイアの名前がリストされるだけで、手続きなどの手間はなし。専用アプリで、電力使用量の確認や省エネの成果などをどこからでもチェックできる。

Inspire App Control

 現在、米国内5つの州でサービスを開始しており、近い将来には世界中にサービスを届けたいと意気込んでいる。手元のスマホでネットフリックス、スポティファイに申し込む勢いで、グリーンエネルギーのサブスクリプション。重たい腰をあげなくてもできる、次世代の“身の丈にあった環境保全”というところか。

Inspire

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All images via Inspire
Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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