ある日、ウィスコンシン州に住むトッド・ボルは思い立った。
「母親が大好きだった本、もっと人に読んでもらいたいなあ」
木材の切れ端で両腕に抱えられるほどの箱を作り、
彼女のお気に入りだった本を数冊入れて玄関先に置いた。
「Take a book, Return a book, Leave a book」
(借りたら返してください。他の本でも構いません)
家の前で、人が立ち止まっては本を借りていくようになった。
だんだんと、街の人々も小さな箱を作るようになった。
本を借りて、1冊お気に入りを寄付する。
箱の前で街の人たちが顔を合わせれば、
「この本がね、よかったんです」と声を掛け合う。
バス停に設置したら、
学校帰りの子どもたちが顔を寄せ合って本を読んでいる。
夕刻、食事の準備をしていると、
家の外の木箱のほうから、誰かが本について話す声が聞こえる。
いまでは、世界の70数カ国で2万以上の木箱が作られている。
街の人々を繋げ、世界を繋げるきっかけは、
トッド・ボルの小さな思いつきと、
手作りの木箱「小さな図書館」だった。
Photos by Little Free Library