いま、「学生アート」と「社会」を繋げる一風変わったアートスペースがある。東京の美大生12人が運営する。
そのスペースとは、東京・足立区北千住にある「古民家ココノカ」。
NPO法人「千住芸術村」※による古民家再生プロジェクトの第4弾として、大学生が地元の工務店の力を借りながら一年をかけ、リノベーションし生まれ変わった古民家だ。
※ワークショップや地域ぐるみのアートイベントを企画、開催する。
その古民家再生プロジェクトに携わっていた一人が「古民家を、学生が作る学生のための表現の場にしたい」と動き出したのが今回の運びだ。
「“若さ”を自覚してこそ、初めて苦しみに耐え抜く勇気も、明日への活力も湧いてくる。だから私は若い人たちにまず“若さ”の価値を知るべきだと声を大にして言いたい」
伝説のHONDA創業者、本田宗一郎氏の言葉。
家賃や光熱費などの運営費用を捻出するのは、集まったその12人の学生。若さから溢れ出る活力・行動力によって、ココノカの運営は実現している。
今年3月には、記念すべき第一回目の展示会「宙吊」を開催。東京藝術大学の学生が『宙吊(ちゅうづり)』をキーワードに、グラフィック・ポスター表現の研究展示したほか、初日にはデザインジャーナリスト、グラフィックデザイナー、詩人をゲストスピーカーに迎えてのトークショーも開いた。
地域に根ざしたアートコミュニティ作りも実践する。近所の子どもたちを招いてコースターの染め物ワークショップ(使用したのは、玉ねぎの皮とコーヒーの出がらし!)を開いたほか、地域との合同企画も今年8月開催に向け進行中。
庶民文化研究家で銭湯研究の第一人者の町田忍さんを招いてトークショーを催すほか、ココノカにて北千住の銭湯に関する資料を展示し、展示期間中北千住の銭湯に美大生がデザインしたのれんをかける予定だ。
「アートが持つカタイ雰囲気を少しでも和らげふらっと気軽に訪れてもらえる場所にしたい」。学生とアート、そして地域コミュニティを繋ぐ「ココノカ」。
肩の力を抜いてアートに触れてみたい、ちょっと立ち寄ってみようという人はコチラから。
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Text by Shimpei Nakagawa