男性同性愛者を指す隠語として「薔薇」という言葉がある。
“同性愛”そしてギリシャ彫刻のような“男の筋肉隆々の肉体”がもつ美しさをうたった作家三島由紀夫の「仮面の告白」然り、ゲイムーブメントを牽引した1971年創刊の商業ゲイ雑誌「薔薇族」然り、日本においても、古くから“薔薇”と形容されるゲイカルチャーが存在した。
そんな日本の「薔薇(BARA)」文化に魅了されたのがロサンゼルス、ポートランド、ロンドンなどに住む、場所も国籍も違うイラストレーターやコミックアーティストの4人。彼らが中心となり、40人を超えるアーティストとともに、ゲイイラストレーションジン「Burl & Fur(バール・アンド・ファー。訳すとなると“ガチムチと毛皮”)」を作り上げた。
日本の「BARA」文化に扇動された参加アーティストが、めいめいに感じる男性の“美しさ”を表現したイラストはキュートなものから少し過激なものまで、60ページに渡り所狭しと並ぶ。
中心メンバーはIrene Koh(アイリーン・コー)、Paul Reinwand(ポール・レインワンド)、Ricardo Bessa(リカルド・ベサ)、Kevin Jay Stanton(ケビン・ジェイ・スタントン)。「初めはみんなの反応を見るのが少し不安だった」4人だが、蓋を開けてみれば反応はよかったそうだ。
日本でゲイといえばオネエタレントや中性的な男性をイメージする人が多いかもしれないが、ガチムチとなると馴染みがないかも?このジンをきっかけにまずは“見ること”から初めてはいかがだろうか。
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All images via Burl & Fur
Text by Shimpei Nakagawa