「あ〜いるいる、こんな男…」 出会い系のイタいメッセを漫画にしてみた。

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「このままじゃ彼氏が出来ない」

大学卒業後、愛猫とブルックリンに越してきたMolly Roth(モリー・ロス)ちゃん。ヒップな街!フレッシュな環境!ときたら、欲しくなるのは彼氏なわけで…。
そこで登録したのが出会い系アプリ。が、受信箱に届くのは、期待とは裏腹の、
「プラトニックな関係に興味ある?」
「監獄舞台のセックス、君ならどう反応する?」といったよくわからんメッセージばかり。
“出会い”に希望を失った彼女、それをネタに漫画を描きはじめちゃいました。

実は、カップルの1/3「インターネットでの出会い」

「サクラ」「援助交際」「ヤリ目男女の集い場」な印象が払拭されないせいか、日本ではまだまだ不体裁なイメージの出会い系サイト。筆者がお酒とタバコをたしなみ出した高校生の頃。スマホなんて無かったあの時代に大流行した、ガラケー専用の出会い募集掲示板スタービーチ(愛称スタビ、知ってますか?)なんかを使って、友人と“こっそり”夜遊びをしたっけ。

 一方、インターネット発祥の地アメリカ。米科学アカデミー紀要(PNAS)掲載の調査によると、アメリカ人カップルの1/3がインターネットでの出会いがキッカケなんだそう(ちなみにインターネット以外では、職場22%、友人19%、バー・ナイトクラブ9%、教会4%らしい)。

 どの国でも、新しい土地で出会いを見つけるのは一筋縄ではいかないもの。
「自力で男の人と出会うことの難しさを痛感したわ…」と話すモリーちゃんも、出会い系アプリ愛用者の一人だ。

「いまでは26ヶ国語対応の世界的人気アプリTinderも、当時は“ヤリ目用”って感じで正規化されていなかったし、他アプリもいくつか試してみたけどメッセージはあんまり来なかったの。だから唯一愛用してたのが、『出会い系サイトの界のグーグル』って称されていた『OKCupid』だった」という。

「何このメッセージ…スクショして誰かに見せよ」がきっかけ

 その「OKCupid」に望みを託すこと数年だが、期待とは裏腹に奇妙なメッセージが増えていった。
「返信してないのに送り続けて来る変な人が多くて…。面白半分で友人に送るためにそのメッセのスクショを撮りはじめて…」、最終的には漫画を描きはじめちゃいました、という流れ。

 題して『OKComix(もちろんOKCupidにちなんでいる)』。
 数ある作品から、特に「イタいな〜」なものを5つ抜粋。モリーちゃんの解説とともに“イタさ”を紐解いてみよう。

1、「ありきたりすぎる褒め言葉は、逆効果だって知ってください」

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I LIKE YOUR GLASSES. THEY GIVE YOU AN INTELLECTUAL AURA TO YOU.
「君の眼鏡好きだな。知的オーラが漂ってる」

THANKS.(GLAD I’M KEEPING UP APPEARANCES)
「あ、ありがとう…。コンタクトに乗り換えなくてよかった(棒読み)」

HEAPS(以下、H):女の子って、赤の他人からでも褒められるとうれしかったりしません?
Molly (以下、M):もちろん。でも、何がおかしいって、ありきたりすぎるでしょ、このお世辞。学歴とは縁ナシの私のこと「知的に見える」って、「とりあえずこう言っときゃいいや、褒めときゃいいよ」が透けて見えちゃった。近眼だから掛けてるだけなのに。

2、「「オレは◯◯〜、◯◯〜」」聞いてないよその自己紹介

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YOU’RE REALLY CUTE! I WAS WONDERING IF YOU’D LIKE TO KNOW A GUY WITH GREAT AMBITIONS AND A GOOD SENSE OF HUMOR?
「君、ほんと可愛いね。野望に満ちててユーモアも満載な男、知りたくない?」

YES! WHERE ARE YOU HIDING HIM?
「知りたい!で、その人どこ?」

H:モリーちゃんの返信、嫌味満載ですね。
M:こうやって最初から「オレって◯◯〜、しかも◯◯で〜」って聞いてもいないのに紹介しちゃうタイプに限って、実際そうじゃない男の人が多くない?紹介通りの男の人を見つけるのにゲッソリ。みんな、盛り過ぎ。

3、「“カジュアルタッチあり”のプラトニックな関係って、何?」

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WOULD YOU BE INTERESTED IN A PLATONIC FRIENDSHIP THAT INCORPORATES ‘CASUAL TOUCH’?
「“カジュアルタッチ”ありのプラトニックな友情に興味ある?」

I DON’T THINK SO…
「…ないと思う」

THIS ISN’T ABOUT SEX – I REALIZE THAT’S WHERE EVERYONE’S MIND GOES WHEN THE SUBJECT OF TOUCHING COMES UP.
「セックスって意味じゃないよ?“触る”ってなるとみんなすぐセックスって思うみたいだけど」

WILL YOU PLEASE LET GO OF ME?
「..もういいですか?」

I’LL HAPPILY ELABORATE IF YOU ARE INTERESTED.
「君にその気さえあれば、喜んで素晴らしい関係を築くよ」

UH…GOTTA GO!
「あー…もう行かなきゃな!」

H:ヤリ目感がひしひしと伝わってくる文面ですね。そしてなぜイカのチョイス?
M:でしょ?イカって腕がいっぱいあるじゃない?それが回りくどい言い方で「“カジュアルタッチ”ありのプラトニックな友情」を求めてくる男の人を表現するのに最適だと思ったの。

4、「ザ・直球男」

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ARE U DTF?
「セックスしたい?」

I’M NOT. I THINK YOU’RE MISREADING ME…
「全然。何か勘違いしてない?」

H:直球(笑)キモいの一言に尽きますね。
M:本当に。私、プロフィールにしっかり「セフレは求めてません」て記載したと思うんだけど。「言ってみて、やれれば儲けもん」くらいに考えてたんでしょうね。オエッ。

5、「むしろ“何で”と聞かれる意味がわからない」

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WHY HAVEN’T WE HAD SEX YET?
「うちらって何でまだセックスしてないの?」

IT’S OBVIOUS WE’RE JUST NOT COMPATIBLE.
「そもそも互換性ないでしょ私たち」

H:いきなりのメッセージでこれですか?「明らかな相性の悪さ」をプラグとコンセントで表現してるところがいいですね。
M:これ実は、他のOKCupidユーザーから「私のところこんなメッセージきた〜」って投稿してくれたものを漫画にしたの。こんなの送ってくる男とはほんとごめんだよね。

会ったことは一度もない。返信すらしたことない。

「実は漫画のネタにしている相手とは一度も会ったことがないの。むしろメッセージに返信すらしたことないわ」。意外な言葉に思わず、えーっっっ。てっきり実際のメッセやり取りだと思っていた。

「だってもし返信しちゃったら、ネタ収集のために餌をまいてるみたいで嫌な感じなんだもん」。ただシングルの男性を侮辱することが彼女の意図ではないようだ。飽くまでも、出会いを求めているのだ、モリーちゃんは。

「しいていうなら『OKComix』は、期待はずれな変なメッセージへの“間接的”な返信“ってところかしら」

 送信してきた男性に必ずしも悪意を感じるわけではないけれど、嫌気がさしたり悲しくなるのは事実(出会いを本気で探してる程に…)。が、それを滑稽に表現してポジティブに楽しむのが彼女のスタイルなのだ。
 漫画に対する批判はいまのところ一切なく、共感のメッセージが多いそうだ。読者から人気の証拠。今後は漫画を紙媒体として出版予定のモリーちゃん。
「まだ取り上げてないメッセージがたーーーーくさんあるわ」。彼女がペンを置き恋愛に熱中する日は、まだ先になりそうだ。

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okcomix.com
HP/mollyr.com
————–
All Images Via Molly Roth
Text by Yu Takamichi edited by HEAPS

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