永遠の命を手に入れるのも、車で空中ドライブする日も近い?!
今年3月13日から17日まで行われた、SXSW Interactive(インタラクティブ)。ドローンやバイオテクノロジーといった最先端技術から、人にも環境にも優しいソーシャルグッドなビジネスモデルや音楽配信の新しいサービス&プロダクトまで、1,000以上のパネル、2,000人以上のスピーカーが会場を盛り上げた。
ピッチイベントの一つ、ACCELERATOR(アクセラレーター)で、特に話題を呼んだ二つをダイジェスト。バイオテクノロジーの会社「United Therapeutics(ユナイテッド・セラピューティクス)」のCEOで、記憶をクローン(コピー)した人工知能をつくることで永遠の命の可能性を追求する、マーティン・ロスブラット氏の基調講演「AI, Immortality and the Future of Selves(人工知能、不死と未来の姿)」。
そして、空飛ぶ自動車の開発に、20年以上、情熱を注いでいるスロバキアのベンチャー企業「AeroMobil」による最新モデル3.0だ。
人類が手に入れる 「永遠の命」。記憶をクローニングするバイオテク
SXSWインタラクティブの「Keynote(キーノート)」と呼ばれる基調講演で最も注目を集めたのは、バイオテク企業「United Therapeutics(ユナイテッド・セラピューティック)」の女性CEO、Martine Rothblatt(マーティン・ロスブラット)氏による「AI, Immortality and the Future of Selves(人工知能、不死と未来の姿)」。フューチャリスト(未来思想家)でもある彼女による、10〜20年後の未来予想図は驚きの連続で、3,000人の聴衆は息を飲んで耳を傾けていた。
取り組んでいるAI(人工知能)の研究で得た気づき。それは、人間個人の記憶や感情、考え方をAIに記録・保存すれば、事実上、人間は永遠の命を手に入れるのに等しいのではないか、ということ。同じ分子でできている人間一人ひとりを何が「個」にするのか。それは間違いなくその人の記憶であり、この記憶が個々の性格を形づくり、ワン&オンリーな存在にする。彼女はこれを意識のクローン化「Mind Clones(精神のクローン)」と名づけ、「不死」という一つの概念でもあると話した。パートナーをモデルにしたクローンロボット「Bina 48」のプロトタイプは、質問すると自分の考えも含めて受け答えするほど。性格がコピーされたAIを持つロボットは映画だけの世界ではなかった!
今後ますます臓器のクローン技術が進み成功例が増えれば、人間の寿命は飛躍的に伸びる。そんなバイオテクが「当たり前」になる未来を想像させられ、会場はトリップ状態だった。法律家だった彼女がバイオテク企業を立ち上げることになったきっかけは、難病を患った娘の治療法を探すため。ちなみに彼女は「元」男性で、上記のBina 48は妻。
空飛ぶ車の販売開始は2年後?21世紀、人類の夢が遂に実用化
「空飛ぶ車」といったら、21世紀の代名詞。誰もが「新世紀になったら、空には車が飛んでいる!」と想像したはずだ。しかし、まだまだ絵空事。そう思っていたら、遂に登場するらしい…。スロバキアのベンチャー企業「AeroMobil(エアロモービル)」が、開発中の陸空両用自動車3.0モデルを披露、2年後の販売開始を宣言した。
基調カラーは青と白。美しい流線型を描いた車体。構想20年、改良に改良を重ねた3.0モデルは、二人乗り仕様。全長6メートルの翼はたたむことができるので、自動車として道路を走ることもできる。総重量は軽自動車よりも半分ちかく軽い450キログラム。軽量化は最大のチャレンジだったという。飛行時の最高速度は時速200キロメートルなので、車のそれと大差はない。離陸に必要な200メートルの滑走路を公道にどう設けるのか、運転免許はどうするのかといったインフラ整備の問題もあるが、来年には先行予約を取り はじめようと意欲的だ。
気になる値段だが、「スポーツカーと、セスナ機のような小型航空機の代金に、数百万円を計上したくらい」。つまり、3、4,000万円くらい…。電気自動車のテスラで一番安い車両が800万円くらいなので、それよりもうんとはる値段だ!21世紀の夢に大枚をはたく人が一体どれだけいるのか、いまから見物だ。
aeromobil.com
Writer: Kei Itaya