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  • Aug 5, 2016
二人目「ダメだったら地元に帰ればいいや」【連載】日本のゆとりが訊く。 アメリカの新生態系ミレニアルズは「青二才」のあれこれ。
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「最近の若いのは…」
いつの時代も、職場やどこぞやの酒の席で交わされる“若者ろん”。
これ、いわれ続けて数千年。歴史をたどれば古代エジプトにまで遡るらしい。
みんな、元「最近の若者は……」だったわけで。誰も一度は通る、青二才。

現在、青二才真っ只中なのは、世間から何かと揶揄される「ゆとり・さとり」。
アメリカでは「ミレニアルズ」と称される世代の一端だが、彼らもンまあパンチ、効いてます。

というわけで、ゆとり世代ど真ん中でスクスク育った日本産の青二才が、
夏の冷やし中華はじめましたくらいの感じではじめます。お悩み、失敗談、お仕事の話から、恋愛事情まで、プライベートに突っ込んで米国の青二才たちにいろいろ訊くシリーズ。
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二人目:「ダメだったら地元に帰ればいいや」

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青二才二人目は、River Donaghey(リバー・ドナギー)25歳。
あれ?○○○ジャ・ウッドにそっくり。
1994年にフリーペーパーの発行をはじめ、現在は世界30ヶ国以上に支部を持ち、言わずと知れた巨大デジタルメディアVICE(ヴァイス)。ユースカルチャーの本拠地ともいえるブルックリンにあるVICE本社にて、エディター兼ライターとして活躍する中のリバーくん。
「ダメだったら地元に帰ればいいや」。ザ・ミレニアルズな彼、写真家ライアン・マッギンレーの秘蔵っ子でもあるみたい。寝る間もないほど多忙な彼が時間を割いて語ってくれました。「(元)青二才・Riverのあれこれ」

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HEAPS (以下、 H): 初めまして。自己紹介どうぞ。

River(以下、R):こんにちは。僕の名前はRiver Donaghey(リバー・ドナギー)。生まれはオレゴン州にあるEugene(ユージーン)っていうとっても小さな街で育ったんだ、リベラルでヒッピーな街だよ。両親は僕にリバーって名前をつけたんだ。

H:River Phoenix(リバー・フェニックス)、だね?

R:そうそう!

H:オレゴンにはいつまで?

R:高校を卒業時は、まだこの街にいようと決めてたんだ。とっても居心地のよい場所だったからね。地元の大学にそのまま入学して、一学期を過ごした。
でもふと思ったんだ。「高校と同じクラスメイトで授業し、週末は両親と過ごす。常に同じ毎日。ノー!まったく反対の生活したい!」ってね。

H:で、その後は?

R:思いたったら即行動だよ。大学をやめて、あてのないアメリカ国内の旅に出た。大体4ヶ月くらいかな? アメリカ全土色んな土地を巡った。

H:一人で出たの?

R:当時のガールフレンドと友人の三人。旅の中で当然ニューヨークにも訪れた。とっても小さな街で育った僕にとって、ニューヨークはとても魅力的だったんだ。

H:それでニューヨークに決めたんですね?

R:そう。旅を終えてすぐニューヨークに来たよ。そこでひょんなことでRyan Mcginley(ライン・マッギンリー)と出会い、たまに彼の被写体をするようになったんだ。

H:まるで映画のような流れ!ちなみにどのライアンのどの写真集に?

R:「MOONMILK(ムーンミルク)」だね。

H:じゃあ当然全裸に?(笑)

R:もちろん(笑)。しかも、洞窟にいってね。そんなこんなでViceで働くことになったんだ。

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H:Viceへのきっかけはライアン・マッギンレーだったんだ。

R:彼を通して、たくさんの人に出会ったよ。インターシップとしてViceに入って、僕の大学生活は全てこのインターンシップに捧げたね。週の半分はキャンバス、週の半分はオフィス。

H:学校にもちゃんと行ってたんですね。えらい。

R:そう、ニューヨークで入りなおした大学を卒業してすぐに、ボスに「仕事がほしいです!お願いします!」って頼んだんだ。そこでようやく、エディターとしてのキャリアがスタート。

H:シンデレラストーリーから苦労もしっかり。いまはViceでどんな仕事を?

R:エディターとして活動しながら、「Vice Guide(バイス・ガイド)」っていうプロジェクトを担当してる。これはViceのニュース速報番組だね。
加えて、何人かのライターとも仕事しているから、一日5〜10の記事をやっつけてるよ。

H:お忙しい!ちなみにViceではすでにどれくらい働いているの?

R:インターンの期間も含めると、すでに3年半くらい。

H:Viceにいて楽しいこと、大変なこと教えてくれる?

R:楽しいことも大変なことも同じなのかも。Viceはとりあえずペースが早い。ありとあらゆることが同時進行で毎分毎秒起こっているのがViceだからね。
最近ビデオの仕事もするようになったし。たくさんの機会があって、それは僕を常に前へ前へと後押ししてくれるね。でも一方でとても大変なことでもあるよね。これまでビデオシューティングなんてしたこともなかったし(笑)。

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H:一番の思い出は?

R:ビデオシリーズでグアテマラに行ったときはとても思い出に残ってるね。酔っ払った状態で競馬をするお祭りがあって、そのお祭りと地元の人々をドキュメントしたシリーズなんだけど、どうしてもこの企画を進めたかったから、ボスに嘘をついたんだ。「乗馬経験あります」って。

H:無かったんだ。

R:一度も(笑)。そしたらGoが出た。実際行ってみると、超危険なお祭りでびっくりしたんだけど、なんとかやり遂げた。

H:無事だったの?

R:一回落馬した(笑)。幸い怪我はなかったよ。このドキュメンタリーは大成功を収めて、嘘ついてよかったなと思ったよ。

H:さすが、前向き!

R:だからもっとビデオの仕事もやりたいね。

H:ちなみに叱咤激励してくれる先輩や同僚とはよくハングアウトするの?

R:そうだね。同じ世代の同僚が沢山いて、僕のボスだってそんな年齢も離れてないくらいだし。一人ひとりまったく違うバックグランドを持った人たちが集まっていて、いろんなプロジェクトでいろいろな人と一緒に働くことができる。これもハングアウトだと僕は思っているよ。

H:とっても刺激的な職場なのはお察しします。仕事が早く終わったら何する?

R:いつ何時もViceのこと考えてるからねえ。それがオフィスの外でも。

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H:意識がお高い。

R:もし自由な時間が出来たら、音楽作ったり、趣味で書いてる小説だったり、いま友だちと制作してるTVドラマの脚本だったりに使うかな。Viceモードじゃないときは、自分のプロジェクトのこと考えてるね。

H:睡眠はしっかりとれてる?

R:うーん、最近仮眠とるくらいしか時間ないかも。だから早い時間にベッドに入れた日は最高だね(笑)。

H:今夜は早く寝れること祈ってます!そんな睡眠不足のリバー君、誰かにこっぴどく怒られた場合の解決方法を教えてください。

R:怒られることなんてほとんどないんだけどね(笑)!

H:失礼しやした(笑)!

R:僕は怒りの沸点に達することがほとんどないんだよね。だからもし誰かが僕に怒ってるときは、とりあえず相手の話を聞いて「オーケー、メン!僕の間違いだったよ。僕に何をしてほしいんだ」って感じ。

H:ザ・大人の対応。

R:僕も若い時は喧嘩っぱやかったんだけど、そこで言い争いをしても何も生まれないことを学んだよ。だからいまはなるだけ冷静を保つようにしてるよ。

H:理想的な対処方法ですね。見習います。仕事が行き詰まったときは、どうやってリフレッシュするの?

R:僕の秘密兵器教えちゃう。

H:なになに?

R:父さんだよ。

H:え?

R:父さんに電話するんだよね(笑)。彼は僕の秘密兵器なんだよ。仕事が行き詰まったらオレゴンの父さんに30分ほど電話するんだ。

「ねえ父さん、いまこんな問題があるんだけど、どうすればいいの?」
「なんだよそんなことか。そんなの問題でもなんでもない。こうすればいいんだよ」って簡単にアドバイスをくれるんだ。彼はいつも正解をくれるんだよ。

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H:さすが人生の大先輩。

R:仕事中でもたまに電話しちゃう(笑)。ボスには「父さんに電話してきます」とは言わないけどね。

H:ところで、ハンサムなリバー君は仕事と恋の両立は上手なの?

R:絶対うまくないと思う。デートもそんなに沢山しないし、時間があれば仲の良い友だちと過ごしちゃう。
いまの僕にとって新たな恋愛を始めるエナジーがはないかも(笑)。

H:恋愛も体力、気力要りますからねえ。まだあまり語っていないリバー君の秘密も教えて。

R:うーん。あんまり話さないことってなんだんだろう…..そうだ、「ニューヨークに住むことについてそんなに深く考えてない」ってことかな。

H:と言いますと?

R:僕はオレゴンの、小さいけれどとても素敵な街からニューヨークに来たわけなんだ。その街ではそんなに必死に働く必要もないし、みんなとってもリラックスしてる。一日中スケートして、適当にスーパーで働いたりして。適当に安泰な生活なわけ。

H:はいはい。

R:僕は忙しくしてるのが性に合うんだけど、それと同時にもしボスにこっぴどく怒られてクビになったとしても、別にいいや!って思うんだよね。大好きなオレゴンに帰って、友だちと遊んで、母さんとマリ○ァナ吸えばいいやって(笑)。

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H:母さん(笑)。

R:もちろんいまの仕事は楽しいし、ニューヨークも大好きだよ。だけど、もしこの生活がなくなったとしても、それは世界の終わりでもないし、僕には帰る場所もある。
だから、「ニューヨークに住む」ってことは僕にとってもそれほど、深刻に考えることではないね。家族にはとっても感謝してるよ。僕はとってもラッキーだね。

H:いい具合に肩の力を抜いているんですね。もはや青二才ではないリバーくんですが当時だからこその楽しみってなんでした?

R:言い方は少しあれだけど、「Underdog(アンダードッグ・負け犬)」でいられる間っていうのは楽しいよね。まだ大きな責任っていうのは背負ってない立場だから、トライアンドエラーを繰り返せる期間だと思う。

H:大変だったことは?

R:莫大な量のプロジェクトが動くViceだから時には十分な指示がないこともあるんだ。まだインターンの頃は、そこで自力で彼らの求めるものを導き出すのは大変な作業だったよ。
実際失敗の繰り返しだったし、プロジェクトに携わる度に「これはViceの求めてるものなんだろうか」って常に心配してたり。

H:「青二才」と「一人前」の違いってなんだと思う?

R:やっぱりこの職種はスキルだと思うよ。訓練あるのみだよね。
ライターに絞っていうと、自分のスタイル、そして声をしっかり文章に織り込むことができるようになることだと思う。

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H:なるほど。

R:たまたま僕の「スタイル」がViceにフィットしたんだろうね。もしViceが僕の「スタイル」は合わないと判断したら、僕のスタイルに合う場所を探せばいいと思っているよ。

H:もしくはオレゴンに帰る(笑)?

R:そうそう!母さんと一日中マリ○ァナだね!

H:リバーくんのようになりたいこれからの青二才に一言お願いします。

R:人生ってどうなるかって誰もわからないんだよね。僕がニューヨークに越してきたときはミュージシャンで食べていこうって思ってたし、ジャーナリズムなんてのには微塵も興味なかった。とりあえず、「イエスマン」になることだと思う。できることはなんでもやってみるべきだよ。僕は出版社でも働いたし、アートパフォーマンス集団にも所属していた。それでたまたま手を出したViceっていう会社が僕にすごくフィットした。とりあえずできることはやってみる。経験あるのみだと思う。

H:最後に、リバーくんの将来の展望を教えて。

R:僕もまだまだ人生の経験を積んでる途中なんだよ。僕もまだまだ“青二才”。だからこれからどうなるかなんて全然想像もつかないなあ(笑)。
確実に言えることは、いまViceというメディアに携われていることにはとても感謝してる。まだこの先、次の何かの機会があるまではここで頑張りたいよ。

でもやっぱり、この先なんてさっぱりわかんないや(笑)

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Aonisai 002: River
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River Donaghey(リバー・ドナギー)
1990年生まれ。Viceで編集者・ライターとして従事する傍、自身のバンドPocket Herculesの活動も行う。ソウルフードはタコス。
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Photos by Mihee Suh
Text by Shimpei Nakagawa Edited by HEAPS

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