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  • Feb 16, 2017
「わたしの仕事はウィスキーを飲むこと」。若き女子(26)がウィスキーだけで生計を立てられるワケ
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「将来、何したらいいんだろう?」

一度はみんながぶち当たる自問。“特に人生の目標もなく、なんとな〜く大学に通い、なんとな〜く専攻を選んでいた大学時代”から一転、大好きなもの一本でキャリアを成功させている26歳の女性がいる。そんな彼女のお仕事は「ウイスキーを飲む。そして世界に拡散する」こと。他にサイドジョブなしで、生計を立てている。

26歳女子、ウィスキー飲んで稼ぐ。

 ちょっと前に、「いま米国でウィスキーが再び爆発的に人気」とお伝えしたと思う。そこでちょこっと紹介した、ウィスキーブロガー“The Whisky Lady(ザ・ウィスキー・レディ)”こと、Anne-Sophie Bigot(アン=ソフィー・ビゴ)。彼女も、昨今沸くウィスキーブーム立役者の一人だ。

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彼女がアンさん。

 ミレニアル世代のウィスキー愛好家として、自身のブログにて新作レビューから蒸留所インタビュー、ウィスキーをはじめたいビギナー向けのアドバイスまで、さまざまなコンテンツを発信。結果、1年足らずで玄人にも素人にも、世界中の老若男女から支持される爆発的人気ブログに成長させた。
 そんな彼女はウィスキーだけで生計を立てている。やっぱりウィスキーと聞くと、長年飲みなれた感満載の熟した大人を想像しちゃう。26歳で何でそんなことが可能なの?

HEAPS(以下、H):ウィスキー女子の先駆者、アン=ソフィーさん。いつ、どんなキッカケでウィスキーにハマったんでしょう?

Anne-Sophie Bigot(以下、A):きっかけは5年前、21歳のときに観光で訪れたスコットランドのオーヘントッシャン蒸留所で試飲した、スコッチとの出会い。琥珀色と、キレがあってあの鼻にツンとくる尖った香りに衝撃を受けて。そこからわたしのウィスキーライフがスタート。

H:ほうほう。で、すぐにブログを開設?

A:ううん、その時は大学で中国語の勉強をしていて。なのでまずは路線を変更、ホスピタリティと観光管理の修士号を取得するために動いた。ウィスキー観光に焦点を当てて、蒸留所での訪問者体験をやりたくって。

H:アンさん計画的!

A:ウフ。それでその後は知識向上のため、スコットランドに移住。その間、蒸留所やウィスキー関連の職に就いた。帰国後はしばらくウィスキーの代理店で働いたわ。その間もウィスキーフェスに出席し続けたり、ウィスキー関連の書物をたくさん読みあさったり。

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H:かなり努力されています。

A:そうね。で、他のウィスキー愛好家との交流がしたくて2014年にブログ「The Whiskey Lady(ウィスキー・レディ)」を開設したの。というのもわたし、南西フランスの小さな町に住んでいるんだけど、情熱を共有できる人があんまりいなかったから。「ウィスキーは渋いオヤジだけの飲み物じゃない、楽しくて親しみやすいんだ」って、たくさんの人に知ってもらいたかったし。

H:単刀直入に聞きますが、ブログで生計立ててるって本当ですか?

A:“ブロガー”でっていうよりも“愛好家”として生計を立てている、のほうがしっくりくるかしら。ブログ以外にも、コンサルタント事業やウィスキーの競売人として活動しているから。

H:さらにかっこいいです。詳しくお聞かせください。

A:コンサルタント事業は主に、ブランドや蒸留所のためのSNS管理、ブランド大使としての任務、PR、コンテンツ作成、ブランディング、戦略、ウイスキー投資に関する業務を。
ウィスキーの競売人としては、常に最新のトレンドと市場の変化を把握したり、毎週2回のネット販売と必要に応じてマーケティングやセールスにも携わっているわ。
とはいえほとんどの時間は、愛猫と一緒に自宅のDIYスペースでの作業なんだけどね。

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H:多岐に渡って活動されてるわけですね。いやしかし、大好きなウイスキーを飲んで生活できてるなんて、まさにドリームジョブ!

A:それよく言われるの。でもね、毎日なんて飲めないし(笑)。確かに職業柄、かなりの量のウィスキーを受け取るし、買うわ。でも試飲は毎週1日だけって決めてる。その日は受け取った最新サンプルをじっくり吟味する。ちなみにわたしはウィスキーを吐き出さない派。だって、最後まで香りと味を楽しんでいたいから(テイスティングでは、他のサンプルの味と混ざらないよう吐き出すことが多い)。

H:世界にはたくさんのウィスキーブロガーがいますが、アンさんがここまで人々に受け入れられたのはなぜでしょう?

A:わたしのブログは訪問者が読みやすいよう、デザインを可能な限りシンプルに、バナー広告や迷惑なポップアップはあまり載せていないの。あとは、商品レビュー、ニュース、インタビュー、旅行、蒸留所訪問、ウィッシュリストと、さまざまな種類に記事をカテゴリー分けしているから、ユーザーそれぞれが自分の目当ての記事を探しやすいんだと思う。ウィスキーにはもちろん特化してるんだけど、ライフスタイル寄りっていうのが読者層を広げているのね。

H:「ザ・ウィスキー・レディー」のブランディングとしては、どのようにSNSを活用しているんでしょう?

A:SNSはわたしの大切なプラットフォーム。ブログの統計を見ると、SNSから飛んで来る人が大半だから。主にツイッター(@the_whisky_lady)を使ってウィスキーニュース全般を発信してる。で、140文字じゃおさまりきらず、ビジュアルで魅せたい場合はインスタグラム(@thewhiskylady)ね。ウィスキー初心者から「ブログを見て、初めて飲んでみました!」っていうメッセージが多く届くの。自分が発信する記事を通して人々の役に立つって、すごく嬉しい。

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インスタで配信

H:スコットランドのウィスキー・スタートアップともパートナーシップを結んでいるとも聞きました。

A:イエス。ブログのインタビューは彼らと協力してるの。企業と一緒に仕事することによって、創造性、アイデア、柔軟性を高めることができるわ。

H:アンさんの仕事の本質を教えてください。

A:わたしの仕事の本質は「情熱」。何が自分を幸せにしてくれるのかちゃんと見極めて、その情熱をキャリアに変えようと努力してみる。もしいま情熱を注げるものがないのなら、好奇心旺盛に新しいことにチャレンジしてみて。毎朝ベッドから飛び起きたくなるくらい、夢中になれるものをみつけてほしい。

H:最後に。ウィスキー・レディーとして、人々に伝えたいことは?

A:ウィスキーはみんなの飲み物!老若男女、裕福でも毎日ギリギリの生活でも、大都会でも、田舎の小さな町に住んでいても。ウィスキーにバリアはない。まだ飲んだことがないのなら、試しに一杯飲んでみて!きっと好きになるから。

「ウィスキーがなかったとしても、生活できると思う」

 旅先でたまたま出会ったウィスキーに受けた衝撃。「知ってほしい」一心で情熱を注ぎ、コツコツ努力。キャリアの幅を広げ、あっという間にウィスキー界の重要人物に。そんなアン=ソフィーだが、「もし世の中にウィスキーがなかったら?」と問うと「他に情熱を注げるものを見つけると思う。旅行とかヘビメタとか、馬とか好きだし。ウィスキーなしでも、案外生きていけると思うの」。
 ちょっと肩すかしをくらった気分だが、フランクなスタンスの彼女だからこそ「とりあえずやってみるか」が早かったのかもしれない。フランクだからこその肝が座っているというか。

 デジタルネイティブ世代であることを武器に、アイデア交換ができるソーシャルメディアと情報を自由に発信できるブログといったプラットフォームを駆使して成功をおさめたウィスキー・レディー。大学時代には見つけられなかった目標だが、いまはウィスキーに天職を見いだした。世界規模で巻き起こるウィスキーブームにも追い風をうけ、グッドタイミングで彼女はノリに乗る。

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The Whiskey Lady

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Images Via Anne-Sophie Bigot
Text by Yu Takamichi

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