ジャン・コクトーに、ピカソ、ダリ。クリムトやマルセル・デュシャン、アンディ・ウォーホルも。
名高い歴代アーティストたちがみな愛したモノ。タバコやお酒、女。そりゃ確かにそうかもしれないが、彼らが目に入れても痛くないほど可愛がったのが、“自由気まま”の代名詞「猫ちゃん」だ。
気難しそうに眉間にシワを寄せ思案顔の芸術家たちも、猫ちゃんの前では素朴な人間らしい表情をする。
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「猫ちゃん」を意味する「puss(プス)」がタイトルの、ロンドンから発信される『PUSS PUSS Magazine(プス・プス・マガジン)』。さまざまな分野で活躍する“猫好きな”アーティストたちが集結したファッション・カルチャーマガジンだ。
2014年の創刊から、年2回のペースで発行。先月発売された号で5号目を数える同誌だが、単なる猫がテーマの読み物ではない。というのも、編集長のMaria Joudina(マリア・ジョウディーナ)は、バーバリーなどをクライアントにもつ敏腕アートディレクターなのだ。
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そんな彼女の人脈が功を奏し、“猫好き”の錚々(そうそう)たる顔ぶれが、洗練されたヴィジュアルのハイクオリティな誌面を飾る。
記念すべき創刊号では、30匹以上(!?)の愛猫とともに現代アーティストのアイ・ウェイ・ウェイ(Ai Weiwei)が登場。女優のクロエ・セヴィニー(Chloë Sevigny)にラッパーのタイラー・ザ・クリエイター、最新号では“米ヴォーグ誌編集長アナ・ウィンターの右腕”として知られるグレース・コディントン(Grace Coddington)を写真家ユルゲン・テラー(Juergen Teller)の撮り下ろしでフィーチャー、と圧巻の顔ぶれだ。
コンテンツも決して「猫」の話だけではなく、猫好きなアーティストたちの作品やライフスタイルも。そこまで“猫好き”でない読者も楽しめる。
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「あなたにとってプス・プスとは」とマリアに投げかけてみると、「マガジン制作を通して、“猫好き”な素晴らしい表現者たちと出会えた。彼らとともに作品を手がける機会が得られたことは、“愛猫家”でも“編集長”でもある私にとってとてもワンダフルな体験だわ」
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癒しを与えてくれるパートナーとして、ときにはインスピレーションの源として、アーティストの隣にそっと寄り添う「猫ちゃん」。愛猫とともに、普段メディアには決して見せない素の表情で登場する著名人たちの姿を「プス・プス」で目にしてみたい。
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All images via Puss Puss Magazine
Text by Shimpei Nakagawa
Edit: HEAPS Magazine