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  • Jun 28, 2017
“自分ケア”大好き。最もハッピーな世代の多幸感の鍵は、SNSに教わるセルフケアにあり?
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セルフィーにセルフプロデュース。聞き飽きるほどメディアで取り沙汰される、自分大好きミレニアルズの常套語だが、ここにもうひとつ、新入りとは思えないほど伸びているワードが「セルフケア」だ。自分大好き世代なら自分ケアだって当然か、と片付けてしまうのは簡単だが、このセルフケアこそ彼らのハッピーの鍵かもしれない。

自分自身もサステナブルじゃないと!“セルフケア”に取り憑かれたミレニアルズ

 サステナブルやエシカルという横文字が日常的に飛び交い、地球環境への配慮の意識がグングン伸びるミレニアル世代だが、自己への配慮、つまり自分のケアにおいてもその意識は高い。なんでもミレニアルズは、これまでのどの世代よりも“セルフケア、かなり重要!”な世代なのだとか。

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Image via Dominik Lowyears

 米国世論調査会社・ピュー研究所(Pew Reaserch Center)が2015年に行った調査では、ミレニアルズのセルフケアかけるお金は、ベビーブーマー(日本でいう団塊の世代)の2倍にものぼるという驚くべき結果が出ている。その内訳は、いまや“ちょっと散歩してくる”程度に当たり前になったジムやヨガ、美容用品にオーガニック食材など自己のフィジカル面を強めようとする費用と、人生におけるアドバイスをしてくれるライフコーチングやセラピーなど自己のメンタル面を高めるための費用、と、大まかに二つにわけられる。 

 周りのミレニアルズに目を向ければ、「買い物はもっぱらホールフーズ(高級オーガニックスーパー)。食料品だけで週に約2万は使っちゃうの」な一人暮らしの25歳だったり、「美容ケア用品はすべてアニマルフリーよ(動物実験をせずに開発された製品)」な人はざらにいたりする。そして彼・彼女たちは、当然ジムの会員カードかヨガマットを持っているだろう。

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Image via Lena Bell

相談相手のネット、SNSで感化

 一人暮らしの家賃に学生ローンの返済に、と決してお金に余裕ありありなワケではなく(お金持ちのご子息は別だが)、フリーランスにサイドハッスルに、と時間があり余っているワケでもないのに、ミレニアルズがセルフケアにお金と時間を費やすようのはなぜだろうか。

 まず、その入り口としては、彼らと切っても切れない関係にある「ネット」の存在が大きい。たとえば、若者が起きてから寝るまで何度も何度ものぞくインスタにはヨガやオーガニックフード関連のポストがこれでもかと流れ、インスタジェニックな写真に惹かれてセルフケア関連のハッシュタグに目を通し、もっと詳しく知りたければググる。体に不調を感じればまずはグーグルに相談するように、学校や家庭で教わることもあまりなかったセルフケアについてもネットから学んでいく。そして、今度はたとえばリラックスアロマを炊いて「セルフケア中!」とインスタに写真をアップして、次なるセルフケアフォロワーを生み出していく。こうしてセルフケアを身近で簡単、当たり前なものに変えていっている。先日紹介したストレスや憂鬱な気分を取り除くシャーマンブームも、いってしまえばセルフケアの一種。拡散しやすいおかげで、ちょっと変わったセルフケアもカジュアルに広まってゆくわけだ。

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Image via Juja Han

 それから、何も「何かに一生懸命取り組む」のがセルフケアなわけではない。#selfcare(その数200万ポストを超える)というハッシュタグで一覧を見てもらえればわかると思うが、「休日のケーキ」「ちょっといい花」「朝のスムージー」なんてのもセルフケア。つまり、セルフケアという名の下に自分に対して肯定的な(ご褒美的な)行いをすることそのものがセルフケアであると言えよう(そしてそれをまたポストする、というのも一種のセルフケアなんだろう。ポストするまでがセルフケアってか?)。

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Image via Brooke Lark

親世代とは違う「セルフケア」のもつ意味合い

 セルフケアセルフケアと、あたかも事新しいように騒ぎ立てているが、どの時代にも確かにセルフケアはあった。たとえば日本が狂乱の渦中にいたバブル期では、全身ブランド品にマストは肩パッドの入ったボディコンドレス。連日連夜ディスコに酔いしれたあの世代特有のギラギラ感は、外見に重きを置いたセルフケアだった。しかも、他人と競い合う意識も強く、行為に浸るというよりはいわば「他人に優ってなんぼ」のセルフケアってところだろうか。

 一方でミレニアルズのセルフケアは、セラピーやライフコーチ、ヨガなど、見てくれではなく自分の内を整えるタイプのものが多い。「物質的な豊かさより経験を重視」という語り尽くされた消費特徴を考えれば、セルフケアの外見的な部分から内面的な部分への移行も辻褄があう、か。 あとは外見で言えば、ボディ・イメージの多様性、美しさっていろいろあるよね、という風潮から、一つのスタンダード・理想の姿まっしぐらに目指すよりも、自分らしさを磨くならば自分にあったセルフケアの方が合っているとも、また言える。セルフケアの名の下に…という話は、花もケーキもフルーツも「自分の好きなものでメンタルを満足させるケア」であることから、充足感が高いことは間違いない。

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Image via Ian Schneider

「ナルシスト」や「The Me Me Me generation (ザ・ミー・ミー・ミー・ジェネレーション、自己中な世代)」と揶揄される一方で、“これまでで最もハッピーな世代”ともいわれるミレニアルズ。他者と比べずに黙々と自分をケアして、その行為は必然的に自己肯定にも繋がっているわけで…このハッピー、熱心なセルフケアと無関係な結果ではないだろう。これまで何かにつけて揶揄されてきた世代が、いまでは最もハッピーな世代と言われるなんておもしろい話だ。

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Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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