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  • Jun 8, 2017
「ポッドキャストでメンタルケア」。心理学者が配信中、滅入った気分を癒す17分
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「あぁ、もしかしてこれ、うつかも」。思い当たる節も自覚症状もしっかりありながらも、なかなか病院には行かない(行きたくない)のが我々日本人。だって、「恥ずかしい」「負け犬感」「気の持ちようと言われたら…」。それに会社休まなきゃだし、病院予約しなきゃだし。日本人の10人中9人がうつと自覚しても病院には行かない、この放置うつ状態らしい。
カウンセリングというもののハードルがもう少しだけ下がればなあ…なんて感じていたところで、おもしろいサービスを見つけた。「ポッドキャスト」で簡単に、日常的にセルフケアできるという、いうなれば「ポッドキャスト・ヒーリング」だ。

いまどき、ヒーリングは「ポッドキャスト」で?

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「悩んでる人が自由な時間に、無料で簡単に、気持ちがスッと軽くなれたらいいのに」。カウンセリングを専門に研究する心理学者、キャンディース・ニコール(以下、ニコール先生)はそう思った。それをカタチにしたのが「ポッドキャスト・ヒーリング」、自らスピーカーとなり“不安な人が聞きたい言葉”を癒しの音楽にのせて発信する、17分間の癒し系インターネットラジオである。

 癒しの音楽は、ヨガや瞑想クラスで流れるいわゆるヒーリングミュージックで、長すぎず短かすぎない17分間のしゃべりの雰囲気も、ヨガや瞑想の講師をイメージしてもらえたらぴったりだ。そして、音楽とともに囁かれるフレーズのだいたいは、「あなたは愛されている」「あなたの考えは大切です」「完璧である必要はなく、あなたの存在そのものが大切です」、この3つに集約された。

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Candice Nicole、彼女がニコール先生。

 もう少し具体的な内容を想像していたので、結構ざっくりしているなあというのが最初の感想。「こんなんで本当に効くんかい?」。このポッドキャストの配信がカウンセリング専門の心理学者ということもあって、このポッドキャスト・ヒーリングの効果と根拠を知りたく、ニコールにメールをして聞いてみると、まず、「リスナーには、自分が愛されていること、価値があることを再確認してもらうことが大事」らしい。
 そして、囁いている不安な人が聞きたい言葉は、ケンタッキー大学のカウンセリング心理学プログラムの助教授として学生や同僚から、そして心理学カウンセラーとしてクライアントや患者から直接聞いてきたメッセージに基づいている、と。つまり、これまでさまざまな精神障害を経験した患者を診てきた彼女が、多くの人が求めている言葉を広く集約させたといえる。

 これまで直接患者と向き合ってきた彼女のいうポッドキャストの利点は、視覚的注意散漫の欠如と、誰でもアクセス可能な手軽さ。現在、個人はもちろんアメリカ内のいくつかの大学や個人開業の病院などで使用され「嬉しい反響をもらっている」とのこと。

瞑想の効果、科学的に証明されましたっ!

 いくつか聴いてみたところ、このポッドキャスト・ヒーリングとは「精神を穏やかにするための瞑想を手伝ってくれる」ツール、というのが近いだろう。その瞑想といえば、「集中力が増す」「ストレスが減る」「クリエイティブになる」などなど、さまざまな効果が期待されているが、筆者、ぶっちゃけ瞑想自体も「効くんかい?」と半信半疑だった。これまで科学的見地から十分な根拠が示されることが少なかったこともあり、「スピリチュアルっぽくてなんか苦手」な人も少なくなかった(と思う)。が、どうやらこの考え、もう古いかもしれない。そう、瞑想の効果が着々と科学的証明をすすめているのだ(ついに)。

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 たとえば、カリフォルニア大学の研究チームによるMRI検査では、瞑想の習慣を持っている被験者はそうでない被験者に比べ「記憶力を向上させ、ストレスに打ち勝つ心を作る」ことがデータで明らかになった。また、ウィスコンシン大学の研究チームが瞑想修行を積んだチベット僧侶を対象に行なった脳の部位別活性度の調査では、「幸福度を増加させる効果がある」ことも明らかに。他にも「脳細胞の老化を抑える効果」や「免疫力を強くする効果」も。瞑想が確かに、人の脳を変化させていることが明らかになってきた。Googleが社内研修で取り入れたり、スティーブ・ジョブズが実践していたのもこれを聞くと「さすが」の一言だ。

でも「全員に効果てきめん!」ではないらしい。

 このポッドキャスト・ヒーリング、「あくまでセルフケアのひとつとして聞いて欲しい」とニコール先生は念を押した。というのも、深刻な症状の患者には、セラピストとのカウンセリングの方が効果が期待されやすいのだそう。「症状がひどくて、不安が大きく、人に頼りたい気持ちが強い場合は、医師などにしっかりと向き合ってもらうことが大切です」。そして、「このポッドキャストが日頃のメンタルを整える手段になれば嬉しいですね」。

 日本では「カウンセリングを受ける=大分病んでる」意識が強い。ここに我々特有の「我慢が美徳」精神も手伝い、辛くてもなかなか行動に移せない。一方、アメリカでのカウンセリングはカジュアルで、ほとんどの人が週末ブランチくらいのノリで受診する。とはいえ、通院するには費用も時間もかかる。処方される薬は副作用や依存の心配もあり「治療を受ければ改善します!」ともいい切れない。

 億劫になる一切の要素を取っ払い、さらに「病院はちょっと…」と踏みとどまる人にもありがたい敷居の低さが魅力のポッドキャスト・ヒーリング。自身のメンタルケアというものを仰々しくせずに、「実は日頃から簡単にできますよ」と、現代のカジュアルツールであるポッドキャストを利用したこれ、最初のステップには最適かもしれない。いつでもどこでも無料で利用可能だから、通勤中でも昼休みにでもさらっと聴いて…。一大事になったら病院のカウンセリング、の前に、常日頃からのセルフメンタルケア。手近なところで継続的に実践していくのはありだろう。

Interview with Candice Nicole

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Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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