【今週のZINE】「パティ・スミスになりたくて」。いち女子の憧れが滲み出る“パンクの女王のルーツ”ディグ・ジン『PATTI +』

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2010年に世に送り出された“パンクの女王”ことパティ・スミスの初自叙伝『Just Kids(ジャスト・キッズ)』。
一人の女の子がパンクの女王になるまでの過程、そしてその半生に欠かせない写真家ロバート・メイプルソープとの青春時代を追憶する同書は42か国で翻訳され、全米図書賞を受賞。既読の人も多いのではないか。

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 まだ何者でもない一人の女の子だった若きパティ・スミスが詩人アルチュール・ランボーやボブ・ディランに憧れを抱いたように、イギリス在住のある女の子も『ジャスト・キッズ』を読了しパティに憧れた。そしてパンクの女王に捧げるため作ったのがジン『PATTI +(パティ・プラス)』だ。

「彼女が愛する作家の文学を読み、映画を観て、音楽を聴けば、少しでも彼女のようになれるかと思って」と、作者のメーガン。
 そのジン『パティ・プラス』では、パティが『ジャスト・キッズ』内で紹介した自身が影響を受けた本や映画、音楽のタイトルが、切り貼りされた写真とともにずらりと並べられている。あとは、パティのインスピレーション源(モダンジャズ界伝説のサックスプレーヤーのジョン・コルトレーンに、サイケデリックロックを代表するドアーズ、イタリア映画界の鬼才ミケランジェロ・アントニオーニ監督の代表作『欲望(BLOW-UP)』….などなど)だけ。

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「正直言って、私のジンがユニークだとは思わないんだけど」とメーガン自身が言うように、はっきりいってひねりなくパティ・スミスのルーツをずらりと並べた、いわばパーソナルなスクラップブックだ。が、大好きなアーティストの“ルーツ・ディグり”を経験した人ならば、このジン制作は他人事には思えないはず。一人の女の子が、好きと憧れの一心でパンクの女王のルーツをディグしてまとめて生まれた一冊、若き日の文学少女・音楽ナードのパティ・スミスが自身の憧れを追う姿まで思い巡らせてくれる。

PATTI +

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All images via Megan McGill
Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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