【今週のZINE】毎号「たった1人のインタビュー」のみ。ベルリン発・カルチャーマガジンの最高峰『mono.kultur(モノカルチャー)』

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「ぼくたちのコンセプトは、いたってシンプルでエレガント。『1人のアーティスト、1つの対話、1つの号』」

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 こう語るのは、ベルリン在住フォトグラファーのKai von Rabenau(カイ・フォン・ラベナウ)。インタビューマガジン『mono.kultur(モノカルチャー)』の編集長だ。

 余計なものは一切削ぎ落とされたそのマガジン。毎号、たった一人のアーティストをだけを特集、よくある批評やエッセイ、フォトストーリーをすっぱり省き、Q&Aのロングインタビューのみを掲載する。もちろん、広告なんてもってのほかだ。

#27-ryan-mcginley-cover-post

 2005年、カイを中心にデザイナーやジャーナリスト、プロジェクトマネージャーなど、6人のクリエイターが立ち上げた『mono.kultur』。
「商業的なメディアにある制約や構造に疲れてしまっていた」6人が、“自分たちの理想の出版物”を追求するのが目的だった。

 スポンサーなし、広告主もなし。インディペンデントな『mono.kultur』は制約がないからこそ、出版するまでの妥協も一切なし。“季刊誌”と謳っているが、あくまで毎号完璧を求め制作期間も惜しまないのだ。

mono.kultur #27: Ryan McGinley
mono.kultur #40: Edmund de Waal
mono.kultur #40: Edmund de Waal
毎号ごとに、装丁を手がけるデザイナーを変えている。同じマガジンであっても全く異なる様相を見せるのが『mono.kultur』ならでは

 また『mono.kultur』の特徴は、フィーチャーするアーティストの豪華さにある。

 創刊から11年間でインタビューしてきた、42人には…

・現代アーティスト、Ai Weiwei(アイ・ウェイウェイ)
・ファッションデザイナー、Dries van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)
・映画監督、Gus Van Sant(ガス・ヴァン・サント)
・ヒップホップ・レジェンド、Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)
・米インディバンドSonic Youth(ソニックユース)の紅一点、Kim Gordon(キム・ゴードン)
・英個性派女優、Tilda Swinton (ティルダ・スウィントン)
・日本でも大人気の写真家、Ryan McGinley(ライアン・マッギンリー)
・最新号では現代美術作家、Sophie Calle(ソフィ・カル)

 など、世界的に活躍する名だたるカルチャー・アイコンたちが。彼らのアイデアや世界観を、ロングインタビューのみで紐解き、読者に届ける。

mono.kultur #33: Kim Gordon
こんなにも著名なアーティストたちをどう集めてくるのか。「アーティストにマガジンを送るんだ。ぼくたちがどれだけこのマガジンに注力しているかを実際に手にとって感じてくれると、たいてい取材を快諾してくれるね」

 自分たちの理想をとことん追求、その理想を憚るものを削ぎ落とし“シンプル”で直球勝負する。妥協せず理想を形にする彼らの精力とそれに呼応するアーティストの対話を、是非手にとって欲しい。

mono.kultur

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All images via Kai von Rabenau
Text by Shimpei Nakagawa

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