宇宙飛行士“トム少佐”であり、異星人“ジギー・スターダスト”であり、稲妻ペイントの“アラジン・セイン”であり。それらすべて引っ括めて“BOWIE”であった男、デビッド・ボウイ。髪型や衣装、メイクだけでなく、音楽性においても変わることに臆することなく、変化し演じつづけたアーティストだ。
![pSGibson_davidBowieZine_retina_8](https://heapsmag.com/wp-content/uploads/2017/08/pSGibson_davidBowieZine_retina_8.jpg)
2016年、年が明けて間もない1月、その僕らが偉大な表現者を失った。世界中で叫ばれた彼の死を悼む声は、ジギーがやってきた宇宙のかなたにも届くほど大きいものだったに違いない。
![pSGibson_davidBowieZine_retina_6](https://heapsmag.com/wp-content/uploads/2017/08/pSGibson_davidBowieZine_retina_6.jpg)
「デビッド・ボウイ! あなたは全人類に届いた“贈りもの”だよ。あなたがこの世にいなくて、とても寂しい」。ボウイの大ファンを公言するサンフランシスコ在住のイラストレーター、パトリックは、ボウイの訃報を受け、彼に捧ぐイラストレーションファンジン『Rebel Rebel(レーベル・レーベル)』を作った。
![pSGibson_davidBowieZine_retina_1](https://heapsmag.com/wp-content/uploads/2017/08/pSGibson_davidBowieZine_retina_1.jpg)
表紙からして目を引く堂々カタカナの「ダイアモンドの犬」。これは、ボウイが作家ウィリアム・バロウズとジョージ・ウォーエルに影響を受けて制作した1974年のアルバム『Diamond Dogs(ダイアモンド・ドッグス)』の邦題。パトリックも「このアルバムジャケット(半人半獣のボウイが横たう)はボウイ作品のなかで一番のお気に入り」と鼻息荒い。
異星人ボウイ、稲妻が刻まれたアラジン・セイン、アイパッチ姿のハロウィン・ジャック、“痩せた青白き公爵”ホワイト・デューク、麻薬所持でイギー・ポップとともにお縄になった“マグショットのボウイ”。ファンジンには、誰しもが一度は目にしたことのあるアーティストの、モノクロイラストとビビットな色刷りで描かれている。
![pSGibson_davidBowieZine_retina_4](https://heapsmag.com/wp-content/uploads/2017/08/pSGibson_davidBowieZine_retina_4.jpg)
![pSGibson_davidBowieZine_retina_9](https://heapsmag.com/wp-content/uploads/2017/08/pSGibson_davidBowieZine_retina_9.jpg)
![pSGibson_davidBowieZine_retina_3](https://heapsmag.com/wp-content/uploads/2017/08/pSGibson_davidBowieZine_retina_3.jpg)
「ボウイのなにがすごいかって。それは、みんな誰もが持っている“人と違う変わった面”を祝福し、社会に敷かれたルールに疑問を投げかけたところだ」
生涯、カメレオンのように姿を変えてきたボウイ。彼が演じた架空のキャラクター一人ひとり(ひょっとするとボウイ自身だって)が時代や国を超えて誰かの“ボウイ”となっている。彼が人生をかけて描いた宇宙規模のイリュージョンの節々を、『レーベル・レーベル』でたどってみたい。
Patrick Sean Gibson
WEB/Instagram
—————
All images via Patrick Sean Gibson
Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine