「ゴミを出させない店、はじめました」。20代がリード、新しい買い物のススメ
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リサイクルすることは素晴らしい。だけど…。
そもそも「ゴミを出さない買い方」ができるお店が身近にあれば、もっといいと思いませんか? 

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リサイクルしてプラマイゼロならいいのか?

 毎朝のように、カフェでオーダーするコーヒー。ことあるごとに購入するペットボトル飲料水。飲み終わったら、容器やストローはゴミになる。「でも、分別してリサイクルすればいいんでしょ?」。本当にそうなのだろうか。

 そのゴミ問題に対し、いま新たにムーブメントとして広がりつつある考え方がある。それは、出てきた廃棄物をどう処理するかではなくそもそも「ゴミを出さない生活をしましょうよ」という考えで、「ゼロ・ウェイスト」と呼ばれるもの。 
  
 スーパーで買い物をしたら、ビニール袋ではなく、持参したエコバックに入れてもらう。それと同じで、コーヒーも持参した水筒やマグに入れて貰う。それをできる限りやってみれば(それが大変なのだが)ゴミを出さなくてすむ。

「こんなふうにね」と、愛用のバンブーファイバーでできたコーヒーカップを見せてくれたのは、ローレン・シンガー(Lauren Singer)。あの「4年間に出したゴミは16オンス(約450グラム)のメイソンジャーひと瓶分だけ!」で、世界各地で話題になったエコブロガーだ。
 ちなみに、米国人ひとり人あたりが一日に出すゴミの量はなんと約2キログラム(ローレンのスゴさが伝わったと思う)。その彼女が、同じくゴミを出さない生活を実践するエコ・ファッションデザイナーのダニエル・シルバースタイン(Daniel Silverstein)と、ブルックリンのウィリアムズバーグ地区にポップアップショップをオープンした。

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左から、ローレン、ダニエル。

 その名も「パッケージ・フリー・ショップ(Package Free Shop) 」、包装ゴミの出ない店。同店での消費行為のみならず、消費者の生活において「プラスチック包装(ゴミ)」を出さないようにサポートし、先述のゼロ・ウェイストをライフスタイルとして可能にする店だという。 

※農薬や化学肥料フリーの自生する竹を原料とする自然素材

「これ、エシカルだよ」は効かない? 効率とコスパ重視が大好物

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 店に入ってまず目を引くのが、ピンクのネオンサイン「Think Outside The Box(既存の枠にとらわれない考え方を)」。ゴミを出さない生活をするのに必要なのは、「ちょっとした工夫だけ」。
 ゴミを出さない生活…想像しただけで無理だなあと思ってしまうが、「実践するのはさほど難しくはない。けれど、多くの人にとって、実践する為に必要となる道具を揃えるのが大変だということに気づきました」。

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 何があれば、日々の生活で不要なゴミを出さなくてすむのか? それを、複数のウェブサイトで商品を見比べるのは時間も労力もかかる。だから、「一箇所で必要な道具が揃う、解決する、という場所が求められているのではないか」と感じたという。

 たとえば、毎日コールドブリューを飲むのなら「何度も使えるステンレスのストローがあればゴミになるプラスチックのストローは不要」。タンブラーやメイソンジャーなど、入れ物を持参すれば、ほとんどのカフェやジュースバーで「ドリンクは50〜100円(50セント〜1ドル程度)ほど安くしてくれる」ので、エコかつお得だ。
「お客さんには、コスパが良い、というのを強調しています」。というのも、「エシカルだ、豊かな暮らしだ、というだけでは実践しませんから!」。

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銀の細い筒がステンレスのストロー。

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暮らしのシーンごとに必要なものがわかる。

 
 なお、歯磨き粉やデオドラントなど「包装にプラスチックが使用されがちなプロダクト」は自分で作ることを推奨する。「ここで、歯磨き粉やデオドランドなどの作り方を教えるクラスも開講しています」と、ゴミを出さない生活を全面的にサポートしてくれる

「『ゼロ・ウェイスト』という概念をビジネス化することで、ムーブメントはもっと広がる可能性がある」と二人。
「現代のゴミ問題は、非常に深刻。一刻も早い解決が必要ないま、ビジネスほど影響力のあるものはない」「一人ひとりの購買行為は選挙と同じ。何を選び、何を購入するかは、大きな一票」と話す。

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同時期に、ゼロ・ウェイストなグローサリーストアも!  

 さて、興味深いことにブルックリン内にもう一軒、「ゴミを出さない買い方」ができる店がオープンしようとしている。上述の「プラスチック・フリー・ショップ」に対し、「ザ・フィラレー(The Fillery)」は、グローサリーストア(食料雑貨店)。欧州を中心に広がりを見せている「個別プラスチック包装なし」&「バルク(量り)売り」のスーパーだ。
 
 穀物やパスタ、ナッツ、コーヒー、スパイス、チョコレート、シリアル、ドライフルーツなどがバルク瓶に入っており、お客さんは持参した入れ物(瓶やコットンバッグ)に詰めて購入。また、オリーブオイルなど液体の商品も持参の瓶に「リフィル」するというシステムだ。
 ニューヨークには環境への意識の高い人は比較的多いのに、なぜバルク売りの店が少ないのか、については「バルク売りはスペースをとるからでしょう」とオーナー。家賃が高い都会ならではの、サステナブルショップ運営の難しさがあるようだ。「野菜や卵などのスペースを確保するのが厳しいので、それらは生活協同組合のようにうちをピックアップポイントにしたCSA*にしようと考えています」と工夫を試みている。

※Community Supported Agriculture:生産者から消費者へ、地場の生産物を直接販売

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先に紹介したパッケージ・フリー・ショップ、シャンプーやボディーソープ、洗剤など、液体や粉末商品などの日用品は量り売り。

 例にあげたゼロ・ウェイストの二店とも「いままでの包装ってなんのためにあったの?(必要ないじゃん!)」と消費者に気づいてもらうきっかけになれば、と話す。

「忙しい現代人にとって、いますぐ生活をゼロ・ウェイストに切り替えるというのは難しいかもしれない。けれど、いまの生活の20パーセントをパッケージフリーアイテムに変えるだけでも、そのインパクトは大きい」。

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また、「ゼロ・ウェイストな生活は、みんなが思っているよりもシンプルで、コスト効率が良くて、セクシー(イケてる)だって気づいてもらえたら!」とパッケージ・フリー・ショップのローレン。マイカップ、マイストローを持ち歩くことがセクシー…(美人/イケメンに限る、ではないことを祈る)。

「あの人、プラスチックストローを一日に3本も消費してるとか、ないよねー」
「ありえないよねー」。そんな声が聞こえてくる日は、もうそこまできているのか? 

 この夏のバーベキューには、メイソンジャーとステンレスの皿と箸を持っていってみようか。使い捨てのカップやお皿は使いたくないから、とわざわざ野暮なことは言わず「これに入れて!」と、メイソンジャーをサッと差し出してみたり。

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Photos by Kohei Kawashima
Text by Chiyo Yamauchi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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