増える“年の差フレンズ”。政治やSNSで繋がる世代を超えた友情がアツい。30も年が離れた親友はアリ?

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映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の年老いた映画技師アルフレードとトト少年。『アトランティスのこころ』の老人テッドと少年ボビー。死にゆくおじいさんと男の子三人の物語『夏の庭』。映画や小説のなかでは、昔から“年の離れた同士の友情”が描かれてきた。

だが、現実世界ではやっぱり同じ場所に行って世代特有のさまざまな話を共有して…「仲の良い友だちは同級生、同期が普通。離れていても5歳くらいまで?」だった。が、映画さながらの友情がいま、アツく育まれている。これからは、「私(25歳)の親友、60歳なんです」がそう珍しくなくなるかも。

年の差フレンズ、増加中

 最近多くなってきているのが、年の差カップルならぬ「エイジ・ギャップ・フレンドシップ(年の差フレンズ)」。大学生の親友は大学生、おばあちゃんの親友はおばあちゃん、ではなく、数十歳も年の離れた仲の良い友だちペアが増えているという。

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 出鼻をくじいてしまうようだが、本来、友情にルールはない。極端な話、孫くらい年が離れた異性同士だって友情が成立する場合もある。だが、実際のところは、「実は同年代となんか合わないんだよね〜」は禁句な節があったり(同世代より年上と気があう人、意外と多いと思うのだが)、「おじいちゃんくらいの年の人が親友なんだ」という人がいたら、物好きとされる節があった。

 うーん、自分には考えられないな、という人も。いやいやすでに年齢関係なく友だちいるよ、という人も。現在、どんな年の差フレンズの形があるのかみてみよう。

教授やペットシッターもお友だちに

テレビディレクター(35歳)の女性とニュースキャスター(61歳)の女性の場合
テレビ制作をきっかけに知り合い意気投合。61歳は35歳の恋愛相談に乗ったり、彼女の結婚式の際も、ケータリングを息子に頼んだり、出産時にはお産の手伝いをしたり、と長きにわたって友情関係を育んでいる。

27歳の女性と70代の女性の場合
27歳のキャットシッターである70代女性は、猫の世話だけでなく、夕飯をすすんで作ってあげることも。27歳の女性は、元音楽ジャーナリストの70代女性から昔の業界話を聞いたり、スピリチュアルの世界について教えてもらっている。

小説家の男性と詩人の男性(40歳年上)の場合
大学の教授と生徒の師弟関係から、友情が芽生えた。

 こうみると、大学や職場、ビジネス、サービスなど出会いの場はさまざま。離婚した独り身の年配女性と一緒にフィットネスに打ちこむ年下女性もいるなど、ヨガスタジオやジムだって交流の場になり得る。またエンタメ界でも、ベテラン歌手のトニー・ベネット(90)&レディー・ガガ(31)、エルトン・ジョン(70)&ブルーノ・マーズ(31)の年の差コンビが近年目立ち、アルバムやコンサートで交友を深めているのだとか。

SNS、デジタルカルチャーが年の差の壁をぶち壊し?

 年の差フレンドとの出会いの場は、“いつも片手”なスマホにだってある。ソーシャルメディア上の同じ趣味の集いやグループなど、テクノロジーのおかげで、年齢差に関わらず繋がりたい人と繋がることができるようになった。

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 さらに興味深いのが、デジタルによってオフィスカルチャーがゆるくなったこと。数十年前なら、「この上司、友だちになりたくなるほど気が合うな」と思っても、そこは上司と部下。越えてはいけないような大きな壁があった。しかし現在は、スマホカルチャーも手伝って、週末にもメールやメッセージを送りあったりと上司と部下の心理的な距離感が少しずつ狭まってきている。
「上司との仕事関連の報告やちょっとした雑談も、LINEやフェイスブックメッセージでやりとりが普通」の風潮も手伝っているだろう。カジュアル化するオフィスカルチャー、そこにいる“身近な年配者=上司”との少しくだけた関係が、神経質にかしこまった“年齢差”をいい意味で曖昧にしている。

 若者が経験豊かな年上から学べること。恋愛や人間関係、生活の知恵、キャリア、人生論もそうだが、「政治」も大きなトピックだろう。反トランプを掲げて起こったウーマンズマーチでは、少女からおばあちゃんまでが隣同士で行進、その光景がSNSにアップされた。年下は年上の政治見解を学び、年上も年下の意見から新しいことを学ぶ。特に混迷極める社会では、政治によって繋がり語る機会があるのは良いことだ。

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 政治や学問、趣味でしっかりと親交関係を築かなくとも、飲み屋で相席したおじさんと酌み交わすのでもいい。肩肘張らずに、機会があったら年の差フレンズを作ってみると、知らず知らずのうちに思いがけない知恵や人生の見方を得られるかもしれない。ちなみに筆者は最近、60歳の友だちにスマホの使い方をレクチャーしたお返しにと、人生ではじめて古い渦巻き電熱コンロの使い方を教えてもらった。

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Text by Risa Akita
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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