年々深刻化するプラスチックゴミ問題に立ち向かおうと、プラスチックを“海苔で”代用する食べられる包装や、プラスチック包装を出さない「パッケージ・フリー・ショップ」などが生まれた。最初からゴミを“出さない”アイデアはとても大切だが、すでに出てしまったプラスチックゴミはどうしよう?
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「すでにゴミになってしまった10万個のプラスチックボトル、私たちにアップサイクルさせてくれませんか」。そう呼びかけたのは、数々のデザインアワードを受賞する建築家パオラ・カルサダ・プラッツが手がける、メキシコ発・子ども用家具ライン「Luken(ルーケン)」。子ども用机や椅子などルーケンがつくる家具の材料は、100パーセント「使用済みプラスチックボトル」だ。
製造過程では化学製品を一切加えずに、プラスチックボトルから平らな板を生成。美しいデザインのアップサイクルだがそれだけではない。釘や接着剤なしでも簡単に組み立てられるように設計されているため、子どもたちが“マイ家具づくり体験”を楽しめるのだ。水や太陽光への耐久性にも優れている素材のため、お天気のいい日に屋外で家具づくり、そしてそのままピクニック、なんてのもありだ。
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ところで、デザイナーのパオラ曰く「ルーケンは日本の人たちに愛されるわ」とうれしいコメントが。その所以は、「メキシコにある建築博物館(Architectural Museum)でルーケンの家具を販売しているんだけど、一番の買い手は日本人なの!」とのこと。
建築家のプロの眼と技がかかり、土に還らない憎きプラスチックゴミが子どもが学ぶための机や本を読むための椅子に。家具にしたというだけでなく、子どもの手によって作られるプロセスも生み出したのだから、彼らの“創造性を育てるプラットフォーム”というひとつ上の次元のアップサイクルといえよう。子どもにも地球にもwin-winなクリエイティブエコに、とりあえず一役買ってみることをおすすめする。
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All images via Paola Calzada Arquitectos
Text by HEAPS, Editorial Assistant: Tomomi Inoue
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine