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  • Aug 18, 2017
ポケモンGOの次は「野鳥観察」?“野鳥出現のお知らせ”に“野鳥図鑑をリアルタイムで共有”思わぬ若者ブーム
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帽子にリュックサック、首からは双眼鏡の初老男性。
日本では、野鳥の会でおなじみ「バードウォッチャー」の人たちのイメージといえば、こんなところだろうか。

けれども近年、バードウォッチャーたちの生態系に異変が起こっているという。超アナログ趣味「野鳥を眺めましょう」と正反対にいるデジタルネイティブ世代が、「ポケモンゲットだぜ!」感覚で野鳥観察に没頭中だというのだ。

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Image via Ben Blennerhassett

ヒップなホテルに大手旅行雑誌も注目。若者人気の「鳥観察」

「なぜ、“最もありえなさそうな”トレンド『バードウォッチング』は起きたのか」の見出しが踊ったのは、米国大手旅行雑誌『コンデナスト・トラベラー』。ヒップスター御用達・デザインホテルの先駆け「エース・ホテル」は、バードウォッチングをテーマにしたワークショップ『BIRDS AND BOOZE(バーズ・アンド・ブーズ)』を開催。いまミレニアルズの間で、誰も予期しなかったバードウォッチングブームがじわじわと盛り上がりをみせる

 バードウォッチングの本場・イギリスにも目を向けてみると、16歳から25歳までの32パーセントの男性が「バードウォッチングをしたことがある」と回答。三人に一人、これはブームと呼んでいいだろう。実際若きバードウォッチャーたちの生態とはいかがなものかのぞいてみよう。

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Image via Yu-chuan Hsu

22歳男性の場合
忙しい一日を終え眠りについたのも束の間、携帯に表示された「野鳥出現」のお知らせ。見るや否や自転車にまたがり疾走。「どうしてもその野鳥を見なければいけなかったんだ」と野鳥に集まった群衆の中でニヤリ。

36歳男性の場合
幼少期から父とバードウォッチングに出かけていた彼、地元バードウォッチャーの間でレジェンドとして知られる。これまで1600種類以上の野鳥を目にしているのだとか。

ミレニアルズ女性の場合
『ブリティッシュ・コロンビア・レア・バード・アラート(British Columbia Rare Birds Alert)』という野鳥ブログを運営する彼女。2年前には365日毎日バードウォッチングに出かけ、1年間で258種類の野鳥観察を記録した。

 このほかにも、1年間で367種類ものバードウォッチに成功したツワモノや、絶滅危惧種の野鳥を見るべくヘリコプターを出動させるぶっ飛び者まで。彼らの例は少々過激だが、野鳥観察にハマったが最後その中毒性は強そうだ。

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Image via Noah Rosenfield

都市で野鳥探し。「アーバン・バーダー」という新人種?

 バードウォッチングというと「遠い森までお出かけ。暑そうだし、虫刺されしそう…」と腰の重たい若者も多いと思うが、実は都市でも簡単にできる。その「アーバン・バードウォッチング(都市でできるバードウォッチング)」が特に若者に人気なのだ。

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Image via Tim Gouw

 一見すると、鳥といったら鳩か雀くらいしかいないだろうと思いがちなコンクリートジャングルの中にも多種の鳥がいる。200以上が生息するニューヨーク市内に加え、300種存在するロンドンには、“アーバン・バーダー(都市のバードウォッチャー)”を名乗る男も登場。彼の主宰するアーバン・バードウォッチングツアーは人気を博し、テレビやラジオの出演、アーバン・バードウォッチング本も執筆するなど、現在メディアに引っ張りだこだ。

 そんな彼の“ウォッチスタイル”は、Tシャツ&デニムのラフな出で立ち。そのカジュアルさが、もう一つ若者にウケた要因だ。いつもと変わらぬそのままの姿で、あとは双眼鏡さえあれば準備万端。休日に公園に行く感覚で楽しめる気軽さや、普段送る都市生活では決して気づくことのない意外な発見にハマるのかもしれない。

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Image via Sven Scheuermeier

野鳥図鑑をともだちと共有で閲覧

野鳥出現のお知らせ」に「野鳥図鑑(eBird、イーバード*)」。GPSを元に自分が観察した野鳥を図鑑に登録、さらに、どこでいつなにを観察したのかを地図上に表示ができる(eBird)。そのデータはもちろん他のユーザーが閲覧可能だ。「あいつ、あんな野鳥を!?」「俺もまだ出会ってないのに!」。ここまできて、あれ、ピンときません? そう、彼らが勤しむテクノロジー駆使の野鳥観察、2016年に配信開始され社会現象を起こすまでになった『ポケモンGO』にそっくりなのだ。従来の野鳥観察に比べての手軽さカジュアルさももちろんだが、ポケモンブームの存在こそこのバードウォッチ・トレンドの大きな決め手だろう。

*アプリ「eBird(イーバード)」はほとんどのミレニアルズバードウォッチャーが愛用する。

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「イーバード」の登場によって、野鳥図鑑を愛好家の間で見せ合うに止まった過去のシェアも、いまは世界中のバードウォッチャーとリアルタイムでシェア。野鳥観察をゲーム化してしまった「イーバード」が、幼い時には初代ポケモンシリーズととに育ち、大人になったいまでもポケモンGOにハマるミレニアルズにバードウォッチングがクリティカルヒット。それから、大好きなインスタとの相性もバッチリで、「#birding」で検索すると74万「#birdingphotography」で13万の投稿がヒット。撮ったらインスタアップが最近のバーダーだ。

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 諸説あるものの、現在生息する野鳥はその数9000種類と言われ、生息地や習性も、ポケモンと比較すればそのスケールの違いは歴然。本来「まだ見ぬものが現れるかもしれない(終わりがない)」からこそ、そのコレクター心をくすぐられるのだろうが、このバードウォッチングはどうだろう。愛鳥家というよりはポケモンGO由来のゲーム感覚、そこに今回たまたま「都市の鳥」がハマったわけで…本物の愛鳥家が膨大な数まで育つとも思えないし、その息はそう長くはないかも。

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Eye catch photo by Evan Kirby
Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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