ゴルフは殺されかけコーヒーとスナック菓子は長生き?産業に急成長と生存危機をもたらす「ミレニアルズのクール、ノット・クール」

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生かすも殺すも“ミレニアルズ次第”

ミレニアルズ、ミレニアルズと囁かれはじめた当初は何かと揶揄されてきたのがウソだったかのように、あらゆる企業がこぞって「ミレニアルズの心と財布へ訴求」に励む今日この頃。「ミレニアルズがなんだってんだ」はナンセンス。彼らの一挙手一投足が人々の注目を集め世間を大いに賑わすなか、先日話題になった“スキャンダル”がある。それは、

「Millenials Are Killing(ミレニアルズは殺している)」

 最近ネットで持ちきりなのが、「millennials are killing dozens of industry(ミレニアルズがいくつもの産業を“殺している”)」だ。殺しているとはちょっと物騒な物言いだが、つまりはミレニアルズ独特の消費傾向や価値観に合致せずに売り上げが伸び悩み、潰されていく産業が多いということ。
 渦中の人物、ミレニアル世代は物心ついたときからインターネットが身近にあった「デジタルネイティブ世代」第一号。さらに、2014年度米国においてはミレニアルズのうち43パーセントが有色人種(ピュー研究所調べ)と多様な人種が肩を並べる層でもあり、上の世代に比べて異質なものを受け入れる寛大さが取り柄だ。と同時に、“従来の物差しでは測ることのできない世代”とも定評で、親世代が夢描いていたマイホームやマイカーには「え、興味ない」。さて、他にはどんな産業を苦しめている(killing)か見てみよう。

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Photo by Hoa Heftiba

どこでもありそうなレストランチェーン、なんでも売ってるデパート

 一昔前なら「友だちと家族とここ!」だった大手カジュアルダイニング(ファミレス)の老舗の人気がこぞって低迷している。(アメリカ人なら)みんな大好きバッファロー・ウィング(ピリ辛手羽先)の専門店ですら余るウィングにお手上げ。店舗数の縮小が顕著だ。レストランなら中途半端なカジュアルよりこだわりがいい、カジュアルならとことんカジュアルにアプリでポチッとデリバリー、そうじゃないなら家で作ろう、なミレニアルズの目には、その中間にある、どこか大量生産的で“特別感”のないカジュアルダイニングは魅力的に映らない?

 ミレニアルズのショッピングにおいても“特別感”は重要で、JCペニーやメイシーズなど大手デパートの勢いも減速。「オンラインショッピングの方が便利だし、好きなブランドはその店舗に行く」が本音だとか。中国のミレニアルズも、デパート派の親世代より断然セレクトショップ派だったり、若者のデパート離れはインターナショナルに共通ということか。

週休2日、9時5時で毎日オフィス出勤のシゴト

パソコンとスマホがあれば働く時間も場所も関係ないミレニアルズ。vanに乗り込み放浪しながらノマドワークサイドハッスルなんて言葉が生まれるように、ミレニアルズの働き方の多様化は目覚ましい。PwCコンサルティングの昨年の調査によれば、38パーセントの米国ミレニアルズが、週に最低1度以上、オフィスではない場所で働くと回答した。いずれは日本も、花金やサザエさん症候群なんて言葉が完全に死語になる日も近いかも。

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Photo by Meri Sorgaard

「複雑なうえにつまらない」ゴルフ

これまでゴルフといえば、社会人であれば持っておくべきスキルとして認識されていたはず。だがミレニアルズにとって“接待ゴルフ”は時代遅れのようだ。年々若者世代を中心にゴルフ人口は衰退しており、ナショナル・ゴルフ・ファウンデーションによれば2013年には米国内だけで40万人のゴルフ人口を失った。しかもその半数を占めるのはミレニアルズだ(理由は、単純明快「複雑なうえにつまらないから」)。52年後にはゴルフそのものがなくなる(!?)との大胆予想も飛び交っていたりと、崖っぷちだ。
 これらの他にも、映画館やホテル、ホームセンターに、紙ナプキン、固形石鹸などなど、ミレニアルズのせい(?)で、今後消えていく可能性のあるものを挙げるとキリがない。

ダメにするだけじゃないよ、ミレニアルズ。

 あらゆる産業潰しのミレニアルズ、このままだと肩身も狭いだろう。次に紹介したいのは、彼らによって生かされている(saving)モノたちだ。

イベントありきの公共図書館

本より断然スマホなミレニアルズが図書館通いとは少し意外。ピュー研究所調べによれば、53パーセントのミレニアルズが過去1年以内に1度は図書館を利用したと回答。これはジェネレーション X(36歳〜51歳)の45パーセント、ベビーブーマー(52歳〜70歳)の43パーセントを上回っている。本の貸し借りやパソコンの利用以外にも、コミュニティグループの集会や図書館が主催するイベント(3Dプリンター体験)など、図書館+αな活用が人気を促進?

コーヒーには財布の紐も緩みっぱなし

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Photo by Hanny Naibaho

倹約家、時にはケチとまで言われてしまうミレニアルズもコーヒーには出費を惜しまない。金融コンサルタント・チャールズシュワブの調べによると、「コーヒー1杯に4ドル(約448円)以上かけてます」と回答したミレニアルズは60パーセント。ジェネレーションXの40パーセント、ベビーブーマーの29パーセントに比べると、さすがサードウェーブ世代、こだわりコーヒーには惜しみない愛を注ぐ。

 さらに空前のブームと話題のキャンプ産業や、ヘルシーブームの影響でフィットネスクラブ業界は好調。またアップルミュージックやスポティファイなどのストリーミングサービスに加え、“モノより経験”なミレニアルズはライブが好物、コンサートチケットの売り上げは好調だ。

スナック業界は「元気満点」

 ミレニアルズに潰されるかも、と恐れていてもはじまらない。早い段階からミレニアルズの訴求に試行錯誤を重ね、劇的に成長したのが「スナック業界」だ。調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、2000年から2014年のチップス類の売上伸び率は68パーセント、スナックバーは140パーセント、ナッツ類は162パーセントと驚異的な数字を叩き出した。四六時中パソコンとにらめっこするミレニアルズにとって、“ながらで”食べられる、小腹を満たせるスナックが重宝されるというのは想像に容易い。加えて、これまでジャンクフードの代表格でもあったスナック菓子を刷新し「グルテンフリー!」「塩分控えめ!」「低カロリー!」「添加物・保存料不使用!」「しかもプロテイン入り(ヘルシージャーキー)!」と健康推しで効果てきめん。「片手間で隙間時間にさっと食べたい。でもヘルシーじゃなきゃイヤだ」な欲張りな彼らにジャストフィットしたわけだ。

 いつの時代においても企業はあーでもないこーでもないと試行錯誤を重ね、消費者のニーズに応えるもので、いまのメイン消費者層は「経験重視でモノを買わない」「こだわりが強い」一癖も二癖もあるミレニアルズ。彼らの、クールじゃん、クールじゃないじゃん、の鶴の一声で左右される時代だから、このアクの強い消費者の心を鷲掴みにする戦略次第ではV字回復、一発逆転もありそうだ。

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Text by Shimpei Nakagawa edited by HEAPS
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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