「奥からぶよぶよのトマト出てきた」「キュウリが緑のジュースになってた」。食品廃棄が良くないことは、そりゃあ重々承知。でも、ついつい賞味期限を逃して罪悪感と一緒にゴミ箱へポイッ。そんな失態を繰り返す我々に朗報。「ねえ、そろそろだよ」と、食材の無駄を未然に防いでくれる「賢いタッパー」が開発されたってさ。
冷蔵庫開けて一目でわかる。“色”で賞味期限を知らせてくれるタッパー
その賢いタッパーは、米国のシカゴ発。米国でも食品ロス問題は深刻だ。去年発表されたレポート(自然資源防衛協議会)によれば、米国では購入した食品の40パーセントが廃棄されている。これ、「スーパーで買った食品5袋のうち、2袋を駐車場に置いてくようなもの」らしい。これは4人家族の場合、年間約20万円の損失に繋がる。
「現状を改善するために必要なのは、人々の習慣を変えることです」と一念発起したのがシカゴのスタートアップ、オービー・スマートウェア(Ovie Smarterware)。「誰もわざと廃棄しているわけじゃない。食料廃棄の主な原因は、その存在を忘れてしまうことです」。そこで開発したのが、忙しい現代人に食品の鮮度状況をわかりやすく知らせてくれる、“賢いタッパー”が肝となる食品管理システム「オービー」だ。
食品の鮮度を管理するスマートタグ*付きのタッパーやクリップ、バンドで野菜や果物、昨日の残り物を保存。そうすると、冷蔵庫を開ければ「赤・黄・緑」の三色で「緑(まだ大丈夫)、黄(すぐ食べた方が良い)、赤(賞味期限が過ぎた)」と、食品の状態を知らせてくれる。冷蔵庫をあけてぱっと見だけでわかるのは、忙しい人たちにうれしい。
*FDA(Food and Drug Administration、アメリカ食品医薬品局)を含む様々な団体からの情報で賞味期限に関する独自のデーターベースを構築。
ここまででも「なるほど、画期的」だが。さらに驚くのはアマゾン、グーグル、アップルのスマートホームハブと連携できること。たとえばアレクサに「これはラザニアです」と言うだけで、そのスマートタグのついた食品がなにかを把握しトラッキングをはじめる。世界で初めて音声での食品管理を可能にした。
スマートホーム機能を利用していない人には、アプリとの連携でこれが可能(音声ではなく手動で登録する必要があるが)。さらに、賞味期限をプッシュ通知で知らせてくれ、期限切れ間近の食材を使ったレシピも教えてくれる。冷蔵庫内のスマートタグのついた食品すべてのデータをあわせてトラッキングしているため、データに基づいてたとえば「ナスとひき肉の賞味期限がそろそろです。麻婆茄子を作ってはどうでしょう?」までしてくれるというのだ(レシピによっては「冷蔵庫にない足りない材料」も教えてくれる)。この賢いタッパーらのセット、商品化に向けて春にキックスターターでファンディング予定だ。
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Photos via Ovie Press Release
Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine