スケーターのトリックも自動追跡、構図調整。“自撮り動画”にさらなる点火〈中国発・AIカメラマン兼カメラ〉

世界初・AIの映像監督が登場した。被写体を機械の反射神経で追い、フレームから逃さない。
Share
Tweet

ここ数年、幾度となく飛び交ってきた言葉「動画元年」。スマホでの動画視聴は当たり前になり、動画広告も一般化。近ごろでは気軽に撮影・編集できるアプリも普及し、すっかり“見る”から“撮る”へ。撮った動画を編集して、気軽に発信する時代になった。自撮りといえば、あたりまえに動画も自然にふくまれる。

そんな動画全盛期に、撮り手の手を思わず止めてしまうカメラが登場。AIが被写体を自動追跡し、カメラマン要らずしてハイクオリティな動画が撮れる世界初のオートディレクターAIカメラ「Obsbot Tail(オブスボット・テール。以下、オブスボット)」だ。



世界初のオートディレクターAIカメラ、オブスボット。

動き回るあなたのパーソナル“敏腕”カメラマン

 世界での月間ログイン視聴者数は19億人。ユーチューブはいまや世界で2番目に訪問数の多いサイトだ。10代を中心に爆発的に人気のショート音楽動画コミュニティ、ティックトックの勢いにも目を見張る。スマホで誰でも撮り手になれるいま、新しい動画が毎日SNSや動画サイトにあがっていく。
 ところで、人気動画のうち、たとえばダンサーたちの“踊ってみた”、スケーターのトリック伝授ハウツーなど、動きのあるビデオ撮影の苦労はひとしおと聞く。ダンサーのぴったり揃ったルーティーンやスケーターがメイクしたトリックも、画質や画角、手ブレのせいで時間をかけた割にかっこよく見えないことだってある。そもそも動画を自撮りするには時間がかかるし、友人に頼むも重なるテイク数に、気まずい雰囲気だって漂うこともある。

 その動画時代の波に乗り、また人気である“動きのある動画”に向けて、今年1月に世界初のオートディレクターカメラ、オブスボットを発表したのが、中国のカメラ会社「レモ・テクノロジー」だ。なんとそれ、AIが被写体の動きを感知し自動で追跡、さらに、距離や背景といった周囲の環境の変化に合わせて、自動的に構図を調整してくれる。すなわち、これ1台がカメラ兼カメラマンとして働き、動きの多い動画がサクッと手軽に撮影できる。



「あなたのパーソナル・カメラマンでディレクター」と謳うオブスボットは、高さ17センチ、610グラムの手の平サイズ。カメラにはブレや揺れを抑えてくれる3つのジンバル*を設け各自が360度回転、4Kビデオと1200万画素の写真が撮れる光学ズームレンズを装備。小柄なボディからは想像できない体力の持ち主で、3時間ぶっ通しの撮影を可能にする。撮影は、アプリをダウンロードし起動させ被写体をスクリーン上でタップするだけ。AIが周囲の状況を勘案するので、暗い場所や絶妙な角度でも被写体から目を離すことなく、適切な調整をおこなってくれる。

 オブスボットのもう一つ最大の特徴は「ジェスチャー認識機能」だ。手を振れば「焦点固定」、オッケーサインで「スタート/ストップ」、ピースサインをすれば「ズーム作動」という具合に、20メートル以内であれば特定のジェスチャーをカメラが認識しコントロール。ゆえ、録画中にいちいちカメラに駆け寄ってストップ、再度スタートボタンを押す、といった手間が省ける。

*センサーで傾きを感知して小型モーターで補正する装置。回転軸。

 これまでにもイスラエル発のAIカメラ「ピクセロット」やデンマーク発の「ヴェオ・AI・カメラ」といった、カメラマン要らずのカメラは登場していた。どちらもスポーツに特化したカメラで、カメラマンが撮影しているような試合風景を自動で撮影できたりボールの動きを感知し特定のプレーヤーを追って捉えたりする機能があった。コートでおこなわれるスポーツ向きの仕様と価格(約15万から300万円)に対し、今回のは日常シーン使いへ向けたもので、価格は5万4,000円。手軽な自撮り動画といえばオブスボットだろう。

 レモ・テクノロジーのCEO・リウ氏いわく、瞬間を忠実に捉えるため、開発段階には「多くのダンスグループ、ストリートスポーツチーム、ビデオブロガーの協力を得ました」。確かに商品紹介動画では、真っ暗闇で華麗に舞うダンサーもプールで縦横無尽に滑るスケーターも、構図にハマりつつブることなくばっちりカメラにおさめられている。これならカメラを固定する三脚も、画角や距離感を確認するため頻繁に調整する必要も、スケボーの追い撮り中に高いレンズに板をぶつける心配もなく撮影できる。他に道具が必要ないので、手軽に持ち運べるのもうれしい。


 かわいい見た目ですごいヤツは現在、キックスターターにて世界からプレオーダー受付中だ。日本からの注文も可能で4月後半に配送開始予定だ。動画元年はスクリーンをタップするだけで誰でもハイクオリティな自撮り動画が撮れるAI映像監督「オブスボット」が世に放たれた2019年なのかもしれない。

—————
All images by Remo Technology Press Kit
Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

Share
Tweet
default
 
 
 
 
 

Latest

勝手にデザインしやがれ!! フライヤー、ポスター、ピンズetc 商業メインストームに楯突いたパンク・グラフィックの飄々40年

ニューヨークとロンドンでパンクが誕生してから40年あまり。パンクは「退廃的で挑戦的で衝動的な音楽」や「反骨精神をむき出しにするアティチュード」「世の中でまかり通る“正しいこと”を疑い自分たちの正しさをDIYする精神」など…
All articles loaded
No more articles to load