スマホアプリで「避妊」。そんな時代がとうとうやってきた。
メイド・イン・ジャパン・イズ・ナンバーワーン、なんていわれるコンドームをはじめ、ピル、避妊リングなど世界中の夜の生活に欠かせない「避妊具」たち。なんと、驚くなかれ、今年に入って避妊具に新加入したのは「スマホアプリ」だ。ちなみにこれ、ヨーロッパの保健機関に正式に避妊具として認められたという。
スウェーデン発、ラウール博士とエリナ博士の物理学者夫婦が創業したスタートアップ「Natural Cycles(ナチュラル・サイクルズ)」は先述の通り、望まない妊娠を防ぐための、また計画妊娠するための「スマホアプリ」だ。
「アプリで避妊」と聞いて耳を疑うのも致し方ない。効果は本当にある? アプリだけじゃ信頼できない! と思ってしまうところだが、スマホアプリと専用の体温計だけで避妊ができるというのだ。
仕組みはこうだ。
1. 毎朝、ベッドの中で専用の体温計を口に咥え、体温をアプリに入力。
2. 体温や生理周期などを元にアプリ内蔵の特別なアルゴリズムが正確な排卵日を特定。妊娠しやすい期間を算出してくれる。
3. アプリが通知してくれる「安全日(緑)」「危険日(だと赤)」で安心セックスライフ。
つまり、自身の体のサイクルをスマホアプリで簡単に把握し、それに沿ってセックスライフを営むというもの。行為中の避妊ではなく、事前避妊にあたり、基礎体温法を簡易化しながらアルゴリズムで各個人に最適化した、というのが近いイメージか。また、コンドームのように性病まで予防する避妊具ではないので無論、カップルへのおすすめとなる。
ここまでの説明を聞いても、まだ気になるのがアプリの正確性。同社の調査によれば、昨年1年間アプリを利用した100人の女性で妊娠したのは7人。また、人為的ミスを除いて理想的に使用した場合には、1000人中5人が妊娠するとの想定。ちなみに、ピルは1000人中3人だ。
値段は年間プランだと69ドル90セント(約7,800円)、月間プランだと9ドル99セント(約1,100円)と、スポティファイやネットフリックスと同額で利用可能。また、これは避妊だけでなく妊娠計画「妊娠アプリ」としてもカップルに重宝されているそうだ。
行為前の避妊なら従来のピルでいいと思うかもしれない。しかし、経験者も多いと思うがピルは体重増加や吐き気など副作用の負担も。テクノロジーが生み出した“ナチュラルな避妊具”、試す価値は十分にありそう。とはいえ、いきなりこれ一本化は不安なのでまずは自分の体のサイクル(排卵日)を把握する簡易ツールとして導入しコンドームと併用…が一番現実的かも。
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Eyecatch photo by BRUNO CERVERA
Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine