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  • Jun 9, 2016
信じるのは医療大麻の力。修道女がはじめた“吸わないマリファナ”ビジネス
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緑豊かな田園地帯が広がる、カリフォルニア州中部の小さな町。そんな田舎町に修道女が二人仲睦まじく暮らしている。

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Photo: Shaughn and John

彼女たちの名は、シスター・ケイト(Sister Kate、左)とシスター・ダーシー(Sister Darcy)。
古代の知恵と月の周期に従い、ビジネスのためにとある「植物」を裏庭で丹精込めて育てる。

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Photo: Shaughn and John

鮮やかな緑の葉っぱの植物。そう、マリファナ。

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Photo: Shaughn and John

吸うのではなく、「塗ってください」。葉っぱでできたオイルや軟膏

「世界を癒すこと」をミッションに、自家栽培したマリファナから作っているのは、医療用大麻の薬品。大麻に最も多く含まれる成分「CBD(カンナビジオール)」を葉っぱから抽出、それをオイルや軟膏などに注入した手作り製品を自分たちのウェブサイト「Sister of the Valley(シスター・オブ・ザ・バレー)」でオンライン販売している。

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Photo: Shaughn and John

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Photo: Sisters of the Valley

 いずれの商品も人をいわゆる“ハイ状態”にさせる成分「THC」を含まない、あくまでも医療目的のもの。関節炎や筋肉痛、偏頭痛といった症状を和らげる効果があるとされている(※)。

※ただしウェブサイトに記載の通り、使用前に医師への相談推奨

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Photo: Shaughn and John

アムステルダムで実感した医療大麻の効果

「夜も眠れぬほどの汗疹に悩んでいた私に医師が勧めたのが、“大麻を吸うこと”だったのです」と回想するのは、シスター・ケイト。“修道女”によるこの医療大麻ビジネスを始めた張本人だ。

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Photo: Shaughn and John

 言わずと知れた“ソフトドラッグに(マリファナを含む)寛容な国”オランダ。アムステルダムに住んでいた頃、現地の医師にそうアドバイスを受けたのが、大麻が医薬として使われることを初めて知ったときだった。

「お酒もカフェインも止めて、寝る前に大麻を吸う。そうしたら汗疹が消えていきました」

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Photo: Shaughn and John

野菜と同じ畑で育てる“大麻”

 こうして“葉っぱ”に、症状を和らげる役割が備わっていることを、自分の身を持って体感したシスター・ケイト。離婚を転機に兄を頼り2008年、カリフォルニアに移住。経済難に陥った兄を助けるため、生計を立てるため、そしてヘロイン中毒だった甥の治療のため、ファミリービジネスとして大麻を育てはじめたのだ。
「私と兄弟には合わせて6人の子供がいました。家計を助けるためにも、野菜を自家栽培すると同時に大麻も作ろうと決めました」

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Photo: Shaughn and John

 2010年にはある非営利団体を発足し、医療大麻を病人に届けていた彼女はあることに気づく。多くの患者がどうやって大麻を吸っていいのかわからないのだ。そこで“吸わない医療大麻”を作るべく、軟膏やオイルにしもっと使いやすい医療大麻製品を手作りするいまのビジネスを、昨年1月にスタートした。

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Photo: Shaughn and John

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Photo: Shaughn and John

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Photo: Shaughn and John

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Photo: Shaughn and John

各地からラブコールの「マリファナ修道女」

「シスター・オブ・ザ・バレーは女性により創設され、女性により運営される“フェミニスト”の団体です」

 シスター・ケイトがこの医療大麻ビジネスに懸ける最大の目的は、「大麻があらゆる病気や症状の治療に役立つということをもっと広めたい」ということだが、それと同時にこのビジネスの裏には彼女が持つ、“もう一つの顔”と“思惑”が隠れている。その思いとは「女性たちに社会的な力を与えたい」というもの。

「一緒に働くシスターたちにはきちんとお給料を支払っています。これは無償での労働ではありません、ライフスタイルなのです」

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Photo: Sisters of the Valley

 彼女の考えや医療大麻の可能性を信じる女性たちの共同体を作るシスター・ケイト。彼女のやっていることに共感し、仕事を捨てワシントン州から一人でやって来たという若きシスター・ダーシーもその一人だ。

「私は次に来る修道女にきちんと仕事があり報酬を払うことができるまで、新しい修道女は入れません」

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Photo: Shaughn and John

 いまも世界中から彼女たちにぞくぞくと届くマリファナ修道女になりたいという応募。その中には、元カトリック修道女もいるのだとか。今月6月には、新しい修道女を迎える予定だそうだ。

 女性、特に若い女性たちが経済的に力をつけられるように、社会的に自立できるように、パワーを与えたいとビジネスを続けるシスター・ケイトだが。
 驚いたのは取材中の次の言葉。「修道女といえど、“自称”なんですがね」。一体、彼女たちは何者で、彼女らが修道女を名乗る理由とは?

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Text by Sally Lemon

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