「大人になることは、自分との再会をくり返すこと」都市生活でマイペースにいるための“あの場所”—勉強家・兼松のドライブルート

都市生活と自分らしさについて考える、4人のドライブルート。1日目は「マイペースを取り戻す」ためのドライブへ。
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ここじゃないどこか遠くに行けば何かが見つかると〜〜、なんていう闇雲な時期は通り過ぎたと思う。(いや、もちろん「どっか行きて〜」はいくつになってもあるけど)。明日も仕事に行く大人になったら、自分の生活に大事な何かを見つける、あるいは思い出すための、定期的な“あの場所”があったりする。自分らしさを忘れずに都市生活を乗り切る、〈Lifegenic〉な日々のための自分のルーティン・ルートがあるのだ。

今回ヒープスは、都市生活と自分らしさについて、独自の考えや行動を閃めかせる4人とドライブに出掛ける(運転もしてもらう)。各々に“自分の都市生活と切り離せない2スポット”を紹介してもらい、道中おしゃべりをする。

ルート1、「都市生活と本来の自分らしさ」フリーランス勉強家の兼松佳宏
ルート2、「都市だからできる能動的な食生活」旅する八百屋 青果ミコト屋
ルート3、「都市で働く女性の新常識」SHE 中山紗彩&福田恵里

三者三様の「自分の都市生活を自分で考える」が交差する一連のドライブから、都市と自分らしさのつき合い方を考えてみる。都市都市都市都市ってゲシュタルト崩壊する前に、そろそろ1人目とのドライブに出発。

1人目「自分と再会をする」 旅。〈城南島海浜公園〉〜〈リトルトーキョー〉へ

1人目のドライブルートは、めまぐるしい都市生活で「マイペースを取り戻す」。マイペースは、人も情報もモノも流れていく渦のような都市で、自分らしさを失わないための基本の“き”。

ベンチャー企業で“24時間365日働いた”時代を経たあと、グリーンズで編集長を5年。その後、フリーランスの勉強家として独立。著書『beの肩書き』も出版し、自分と向き合う時間をしっかり味わった兼松佳宏(よしひろ)さんが、1日目のドライブ相手だ。兼松さんには、“都市に生きる自分らしさ”に繋がる2つのスポットを選んでもらう。まずは、しっかり自分と向き合うための場所、そして、あらためて“自分の肩書き”についてを考える場所。肩書き「勉強家」の兼松さんとのドライブは、大切なことをマイペースに思い出す“大人の自習”のような道のりだ。

***

1ヶ所目に兼松さんが選んだのは「城南島海浜公園」。
海岸線には人工的な景色が混じる、独特の風景が広がる島。
がむしゃらに働いていた20代に、“本来の自分に戻る”を初めて体験した場所だそう。

***

H:来ちゃいました、城南島海浜公園。兼松さんがここをはじめて訪れたときの話、してもらえませんか。

兼:24歳の時ですね。ちょうど転職を考えていた頃で。友だちに声をかけられたんですね。「遊びに行こうよ」と。何するの、と聞いたら、「朝日を見に行こう」と。「おっしゃれー!」と思いました。それまで僕、“朝日を見に行く”なんてしたことなくて。というより、しっかり朝日を見たことがないんじゃないかと。朝日を見にいく遊びがあるんだと、なんかワクワクしたんです。しかも朝4時に大井町駅に集合して、6時半に解散だったんですよ。

H:1日のはじまりに解散。朝まで飲んでたわけじゃないのに。

兼:じわーっと真っ暗だったのが、明るくなっていって、「1日がはじまる感」というのがもろに伝わってきたんですよね。いままでにない感動があった。それで今日、城南島に久々に来てみたいなーと思ったんですよ。

H:朝日を見る、を最初に体感した場所なんですね。

兼:いきなりなんですけど、僕、空海さんが好きなんですね。いま京都に住んでいて、空海さんの瞑想法を体験する講座に行ったんです。その瞑想には、まず“いいイメージ”が大事だということで、「いままでで、人生で一番感動した朝日を思い浮かべてください」というインストラクションがあった。つまり、朝日ってそれほど心に残る大事なものなんだと最近改めて思うようになって。朝日は素の自分に戻るために大事な時間であり、希望があるのは、毎朝その時間が訪れること。もちろん晴れるかどうかとかはあるけど、毎朝必ずチャンスがある。地球上にいればどこにでも見れる。

H:その、「素の自分に戻る」「本来の自分に戻る」っていうの、兼松さんにとってはそもそもどんな感覚なんでしょう?

兼:まず、“自分のことを考える”、をしなくちゃならないと痛感した出来事からお話しします。ちょうど転職を考えていた24歳くらい。働きすぎて肺気胸になったんですよ、肺に穴があいた。再発の可能性は高いと言われつつも幸い再発せず、ちょっと痛いなくらいですんだのですが、海に潜るダイビングはできない体になった。その時、初めて自分の健康のこととかを考えるようになったんですね。そっか、無敵じゃないんだって(笑)

H:どんな働き方をしていたんですか?

兼:365日24時間が当たり前ってくらいの、製作会社のウェブデザイナーでした。でも、当時はデザインができるよろこびもあったし、「忙しかったのは単純に自分のスキルが足りていないだけだ」「先輩に頑張って追いつかなきゃ」ってその忙しさを前向きに捉えていました。ただ無理しているってことをわかっていなかったんですね。自分のキャパ以上のことをやっているっていうことが。

H:体を崩したことが自分のことをもう一度考えるきっかけに…というか、それまで自分のことを考えていないことに気づいた。

兼:そう。あぁなんだ、もう少し自分のことを見なきゃいけないなと。働いていたのがベンチャーで、いうなれば “ゴリゴリの雰囲気” だったんですが、社長さんがあるとき座禅会に誘ってくださったんです。「お前はいつか独立するだろうから。社長っていうのは孤独だから、自分と向き合う手段を知っておいたほうがいい」みたいな感じで。それで行ってみたら、何もしないでただ座って呼吸に集中しろと言われたわけです。でもその経験が、朝日と同じくらい衝撃だったんですよ。

H:というと?

兼:「自分の呼吸ってすごい浅いんだ」、そんなことに気づかないでいたんだ、と。いまでいう“マインドフルネス”的なことを全然していなかったから、自分を大きく見せようとして無理したり、体調崩したりしたのかなって気づいたんですね。そこでちょっとずつ鎧を脱ぐことをはじめたんですよ。素の自分が一番楽なわけです、自分に嘘をついていないから。自分に嘘をついていると苦しくなる。だから、楽なのがいいなって、思って。

H:兼松さんは本でもブログでも、それから今日も、「本来の自分に戻る」と言っていますよね。素の自分に“戻る”、とか。「本当の自分を見つける」とは、ニュアンスというか、別物に聞こえますね。

兼:「本来」ってもともと仏教の言葉なんですね。ぶっちゃけると、僕は前から“本当の自分”なんて言っている人は胡散臭いと思っていたんです。でも、仏教や僕の好きな空海について調べていくと「本来の自分」という言葉がたくさん出てくるんです。その反対にあるのが「偽りの自分」です。空海さんは「ものごとの真理や本来の姿はすでに目の前にあって、それが見えなくなっているのはそれをみている人のメガネが曇っているから」というようなことを言っています。見栄をはって自分を大きく見せようとすることだったり、自分で自分にウソをついてしまうことだったり、そうした「偽りの自分」という曇りに気づき、心を落ち着けてメガネを拭いてみると、自ずと「本来の自分」が立ち上がってくるんです。そんなふうに「本当はこうありたい自分」を見つける、というか思い出せる場所があるといいなと。

H:意識的にやっていく “訓練”とか“練習”みたいな感じなんでしょうかね?

兼:なんというか、チェイサーと一緒ですよ、日本酒飲んだらそのぶんだけの水を飲まないと僕は酔っ払ってしまうんです。それと同じように、仲間とめちゃくちゃ遊んだ後はゆっくり一人になるとか。そんな「0番目の場所」“0th”プレイスというものを、実はみんな持っているんじゃないかなって。

H:ゼロの場所。まっさらな場所。

兼:よく言われるのが、ファーストプレイスが家庭、セカンドが職場。それからいま、サードプレイスはずっと賑わっているじゃないですか。それから、サードプレイスにも二種類あって、コミュニティを育む「交流型」と、誰にも邪魔されずに一人で自由にすごす「マイプレイス型」がありますが、いずれにせよサードプレイスでは何かを“する”ことが前提となります。

H:ゼロスプレイスは、何もしない場所?

兼:はい。ただそこに行くだけ、そこに座るだけ。そこで何もしないからこそ、本来のものが立ち上がってくる、そんな場所です。わかりやすくいうと、「リトリート」ですね。そのとき座禅や瞑想を“する”ことになるとは思いますが、それらはあくまで0に向かうための一つのツールなんだなと。いまでこそグーグルとかがマインドフルネスと言いはじめたおかげで、「瞑想やっています」とか「座禅やっています」とか言っても怪しくなく聞こえますけど、15年前は「宗教?」「兼松くん、大丈夫?」という反応で、あんまり言えなかったんですよね。いまでもまだそういった偏見はあると思いますし、ハードルも高くみえてしまいがちなので、もっとカジュアルに「それぞれのゼロスプレイス」について語り合えるといいなあって。

H:人それぞれの場所だし、瞑想とか座禅とかの行為でもいい、と。それでいくと僕にとっては昔から見ていた映画のサントラを数時間ぶっ通しで流すことだなあ…。

兼:いいですね。すごく贅沢な時間だと思います。あとは朝日を見ながらだったり、自分にとっての思い出の地だったり、特別な時間や場所をかけ合わせても素敵だと思います。「そういう素に戻れる場所ってなんかある?」ってまわりに聞くと、みんなそれぞれやっぱり持っていて。たとえば、水泳とかジョギングとか登山とか。これと、さっきのサードプレイスのマイプレイス型との違いでいうと、マイプレイス型の典型はカフェで本や雑誌を読むことなんですが、それって雑踏の中でひとりでいる姿ですよね。その根底にあるのは、繋がりすぎているこの社会からちょっとでも切り離されたいという欲望だと思うんです。

H:ふむ。

兼:じゃあ、ゼロスプレイスは何かというと、外からみたら大自然のなかにひとりかもしれない。でも、そこでは孤独というものを感じないような気がするんです。そこで回復される繋がりとは、しがらみではなく、生かし生かされているという本来のつながりなんです。僕はたまたま朝日に誘ってもらって、自分の悩みがちっぽけになるくらいの体験をして、「素に戻る」「つながりを回復する」感覚的に気づくことができました。

H:そういった感動のタイミングを通ってきていても、その感動を「素に戻る」という感覚に意識的に繋げてみないと、ゼロスプレイスに気づかなかったりしそうです。

兼:そうなんですよね、ちょっと人に言うのは恥ずかしい感じがするテーマでもありますし。でも普遍的なテーマだと思っているので、さっきも言いましたけど、ゼロスプレイスをもっとカジュアルに。

H:さきほど兼松さんも言っていましたが、自分らしさって、大人になっていくにつれて、見つけるというよりは“思い出す”だったり、見つめ直す先にある発見のようなものですよね。

兼:これまでしたことがないことに挑戦することも人生の醍醐味ですけど、もう一つ、あの頃できなかったことにもう一度挑戦するというのもあると思うんです。たとえば10代の頃の夢は、できることや仲間が増えた40代になったら、叶う確率は高まっていると思います。ある年齢のタイミングで折り返して、かつての自分との再会を繰り返していくのが大人になることなのかなと思っていて。若い頃はがむしゃらでなかなか気づけなかったんですけどね。

H: そういった場所を意識的に探していくのは大事ですね、本来の自分に繋がる場所。この城南島でもいいですし。

兼:まぁ、城南島はそんなに頻繁にきていたわけではないんですけどね(笑)。でも、インパクトはすごい残っているし、過去のブログを振り返っていたら、ちょうど24歳で初めて空海の本を手にとったタイミングでもあったんですよね。そんな不思議なご縁のある場所なので今後も語り継ぐような気はしています。人工島だし、羽田空港も近いので見えるものはすべて人工的で、オーガニックとかとは離れているんだけど、逆になんか東京らしい異空間というか、なんかこのごちゃ混ぜ感が好きです。

H:海岸線に人工的なものがあるって確かにあんまりないですねえ。

兼:車のトランクに好きな本だけ積んで、娘も好きなドリルだけ積んで、1日中ここで、勉強したいですね。僕、勉強家なんで、勉強ピクニックがしたいです。

H:勉強ピクニック! 普段もよくするんですか?

兼:時間割を決めてたまにやってます。大学の1コマあるじゃないですか、90分。あれって、5時間ぶっ続けで勉強するよりも、90分1回10分休憩の3回をすると、バイオリンとかの上達が早いという研究もあって。休憩ってすごい大事なんですよ。「じゃあ、ここからの1コマは集中しよう、休憩時間にやってみたことの感想を共有しよう」と約束すると集中力も上がる。今日の1コマ目9時から10時半は相撲する、とか(笑)で、10時40分からはドリルとか好きな本読んで、昼休憩のときにそこで学んだことをワイワイバーベキューしながらとか、時間割を日常にインストールして、メリハリをつけていく。なんというか、それこそ本当の超個人的“私立”大学なのかもしれません。

H:オススメの過ごし方、勉強ピクニックですね。 朝日見て、解散せずに勉強。大人になったからこそできる自由な勉強、いいなあ。

兼:そういうのも向いていると思いますね、城南島は。飛行機飛び交うとかもあるし、社会科見学です。この人工感もふくめていい。みんな車でふらっと遊びに来てみて欲しいなあ。

***

2ヶ所目は、清澄白河「リトルトーキョー」へ。
「もう一つの肩書きを持てる街」としての発足時から関わっている旧知のスポット。
いまでも「働く中での微妙な心」や「仕事冥利」について答えている場所。

***

H:リトルトーキョー、ご飯が食べられてお酒が飲めて、“いろんな仕事・生き方をする人”を起点にいろんなイベントをする「しごとバー」がある。話には聞いていましたが、僕は今日が初めての来訪です。兼松さんはいま、リトルトーキョーとはどんな関わりがあるんですか?

兼:まず、“自分の肩書き”について、考える原点となったのがここです。

H:リトルトーキョーのもともと考えていたコンセプトが「もう一つの肩書き」ですもんね。

兼:僕もすっかり忘れていたんですが(笑)、そのとき僕は「落語家になりたい」と、落語家の格好をしていたんですよね。日本仕事百貨のナカムラケンタさんは農家になりたい、いまのgreenz.jp編集長の鈴木菜央は整備工になりたい、って言ってました。そういうふうに、もう一つの肩書きを名乗れて、それに挑戦できる街として、リトルトーキョーははじまったんです。だけど、まわりに「じゃぁ、オープニングパーティーで落語を披露すればいいじゃん」と言われたときに、ちょっと待てと。「あれ、俺、落語を披露したいわけじゃないかもな」ってなった。正直に言うと、練習はしたんですが、自信を持てなくなった。つまり、噺家(はなしか)として人前で話すような意味で落語家っぽくありたいとは思ったけど、落語のネタを実演したいわけじゃないと。

H:落語家っぽくありたい、っていうのはどういうことだったんですか?

兼:「コミュニティデザイン」の第一人者として知られている山崎亮さんという方が、年間何百本も講演をしているときに「もう落語家の気分だ」とおっしゃっていて。おーーーー! それわかる! って。同じ演目でも様子をみて毎回違う何かをぶっ込んでは反応を見たり、語り口を変えたり、笑いを入れたり、そうやって一つの演目を磨いていくのも落語家らしくていいなと思っていた。

H:あー。なんか、仕事の仕方に、落語家のあり方が下敷きにあるって感じですね。Beの方が自分らしさ、ですね。

兼:この「do 落語家」じゃなくて、「be 落語家」という葛藤が「beの肩書き」につながって、本を出すことになったわけです。

H:いまはどうですか? リトルトーキョーとの関わりは。

兼:いま「空海とソーシャルデザイン」という連続講座を開催しているのですが、その会場としてもお世話になっています。あとは「beの肩書き」について話をする機会もあります。やっぱりここには、仕事にモヤモヤしていて、仕事について話をしたい方が来ますね。お金の話とかもストレートに質問されて、オープンに話す。飲みながらやってもいいんで、あんまりこう繕わずにやっています。

H:なんの仕事をして生きていくか、ではなくて、どんなふうに仕事をして生きていくか、というのがbeの肩書きの印象です。その考え方がある方が良いのはなんでなんでしょう?

兼:いろんな話を聞いていると、確かに目の前のストレスはあるかもしれないけれど、本人が言うほど「いまの仕事が合ってないわけじゃないのかな?」と思ったりもします。たぶん、仕事の納得感って、いまのdoを自分のbeにしっかりと位置づけられているかどうかなんですよね。もう一つの肩書き、“beの肩書き”のような自分の軸があれば、また悩み方というか、悩みの質も変わるかなと。

H:いまの仕事を続けながらどうするかを考えたり悩んだりできる? 悩み方が変われば選択も変わってきますよね。

兼:都市って、人が多いですよね。情報が多い、つまり視点が多い。自分を磨くのに最適だと思います。僕も、昔の24時間働きまくるって経験がなければいまの自分はないと思うし、やっぱりまわりにすげぇ人たちがいっぱいいて、その人たちは呼吸するようにスキルアップしていっている。切磋琢磨、磨かれるところが都市の良さ。でも、それに耐えるには自分が大切にしたい価値は何なのかを大切にして、流されないことがすごく大事です。あのひとはあのひと、自分は自分、そこのバランス取らないといけないのが都市だと思っています。


リトルトーキョーに到着。

H:その自分の軸というのがbeの肩書き。doとbeでバランスを取る?

兼:たとえば僕は勉強家なので、永田町は国会図書館があるからもううれしくて大変(笑)。そんなふうに自分らしさ、肩書きを見つけて、自分がよろこぶ街で暮らせたら最高ですよね。都市でのそれぞれの肩書き(自分らしさ)がよろこぶ場所があると思っていて。豊洲とか住んで、毎日市(いち)いける、最高! みたいな。そういう街を都市でも選べるといいですよね。そういえばリトルトーキョーでは「しごとバー」をやっているんですが、そこで共有されているものって仕事の“冥利”だと思うんです。

H:しごとバーって、いろんな仕事や生き方をしている人を呼んで話をする催しですよね。冥利、っていうと?

兼:役者冥利につきるっていいますけど、冥利ってもともと仏教用語で、仏様から知らず知らずのうちに与えられた利益という意味なんです。つまり最初から自分が意識してえた利益じゃない。たとえば、仕事で先生をやってたら、いつの間にか人前でうまく話す能力がついてきた。

H:何かをしていたら、自ずと何かを得ていた。

兼:そう、狙っていないからこそ、純粋なよろこびがあるのが冥利なんですよ。僕がインタビューをするときにいちばんたのしくなるのは、たんに「仕事内容が〜」とかの話ではなくて、「この仕事をするとね、意外とこんないいことがあるんだよ」って聞かせていただくこと。

H:最初、棚ぼた的なことかなと思いましたが、違いますね。棚ぼたは何にもしていないのにラッキーに鉢合わせることだ。

兼:たとえばですけど、不動産めぐりしているといっぱい出歩くようになる。そうすると、街の緑をいっぱい見るようになる。そうすると、もしbeの肩書きが「植物学者」だったら、不動産屋さんがあっているかもしれない。リトルトーキョーのいいところは、そういったいろんな仕事の冥利をオープンにしているところですね。この仕事をするとこんないいことがあるんです、って。

H:一つの職種でも、体験している冥利は人それぞれでしょうしね。おもしろいです。

兼:そうですね。たとえば風力発電のメンテナンスする人の冥利で好きな話があって。なにが好きでやっているのか。どう思います?

H:……高いところに登れる…?

兼:まさにそれ。100メートル登って、この景色を独り占めできる、それがよくてこの仕事をやめられないって聞いて、「最高!」って(笑)

H:冥利を知ると、仕事に対しての解釈も広がりそうです。純粋に仕事内容としてやっていること以外で、その仕事をというか、その仕事のある生活や自分を好きになる部分が出てくる。

兼:だから、いまやっているdoの仕事は、beがよろこぶ何らかの冥利をもたらしてくれているはずなんです。beの肩書きもいきなり仕事を辞めようという話ではなく、いまのdoをより愛せるようになったらいいなと思っています。

H:doにはなくても、beの方に“働く自分らしさ”が見つかる人もいるかもしれませんよね。doかbeどちらの自分らしさが重要かとか、優劣がつけられないものな気もしますし。

兼:よろこべているか、が大事ですよね。本来の自分が心からよろこべていれば、自分らしく働けている、自分らしく都市で生活できていると思うんですよね。そして、それは人間だからいつも100パーセントは難しくて、グラデーションがあると思います。今日は自分らしさ成分は30パーセントだった、今日は80パーセントだったな、それを知るにはやっぱり自分のものさしが必要だし、「どうすれば80パーセントにできるか」という術を知っていたら、もっと楽になります。「いま本来の自分はよろこんでいるかな」という問いにどんな答えが浮かんでくるのか、ぜひ自分で味わってみてほしいです。

6月1日(土)、2日(日)、ドライブに行きませんか?【2組限定】

今回の連載に紐づいたスペシャルなイベントを企画しました。初のドライブ企画です。
ルート2の旅する八百屋の「青果ミコト屋」さん、
ルート3の“たたかうミレニアルに、武器と勇気を授ける”ミレニアルライフコーチングカンパニー「SHE」さんと、
HEAPSが考えた特別なドライブルートの試乗会を一緒にたのしみましょう。
当日は、この連載で使用しているLEXUS車を運転して、ドライブルートをまわっていただきます🚙

開催日は6月1日(土)、2日(日)。
グループでの参加も可能です。
▼詳細はコチラのフェイスブックページをご確認ください。
フェイスブックのイベントページ

▼応募はコチラから。
・応募フォーム

今回のドライブで巡った2つのスポット



城南島海浜公園
住所:東京都大田区城南島4丁目2−2
オートキャンプやバーベキューだけでなく、車椅子でも入場できるボードウォーク、砂あそびや散歩ができる砂浜、スケボー広場がある公園。東京港に出入りする大型船や羽田空港を飛び立つ飛行機を間近で見ることができる。

リトルトーキョー
住所:東京都江東区三好1-7-14
営業時間:〈ごはんや今日〉水曜 19:00-26:00、木曜~日曜 12:00-15:00、19:00-26:00〈イベントスペース〉水曜~日曜 10:00-22:00
いろいろな生き方・働き方に出会うことのできる場所。「ごはんや今日」の営業に加え、イベントの開催や撮影スタジオ、展示会、個人利用、さまざまなスペース利用を実施。

Photos by Hayato Takahashi
Text by HEAPS
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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