世界のブランドやカルチャーアイコンが考える気候変動って?〈みんなを巻き込む21世紀の気候変動(2)〉

【特集:It’s hot now!】数字、社会、ブランド、カルチャーを通して見てみる、21世紀の気候変動のこと(2)
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〈気候変動〉は、ここ最近のホットトピックだ。耳にすることは多くても、「説明せよ」には、まごついてしまうのが正直なところ。

「そもそも、気候変動ってなんのこと? どんなことが起こっているの?」から、「ディカプリオの有名なアカデミー賞の気候変動スピーチ」まで。その1では、気候変動の基本情報から世界に開示されているデータ、各国でこれまで起こってきた気候変動に対するアクションについて見てきた。その2では、世界的なブランドの気候変動への取り組みと、映画や音楽、文学など各カルチャー界のアイコンたちのアプローチから、気候変動についてを知ってみる。

 個人の小さな働きが環境問題への解決に繋がると信じたい。だからこそ、リードとなるのは何千、何万もの消費者を世界中に抱える企業が動くこと。短期間での大きな第一歩を生み出すインパクトを持っている。日常シーンに出没するナイキやIKEAなど、世界の企業やブランドのアクションを、ここで紹介しよう。

コカ・コーラは「容器を100%リサイクルするのが目標」

 みんな一度は袖を通したことがある(?)ほどの浸透率、世界でも「UNIQLO」として人気のユニクロ(ファーストリテイリンググループ)。
冬の必需品である「ヒートテック」や、これからの夏にお世話になる「ドライ」といったオリジナルの衣類が、実は気候変動への取り組みの一部にもなっているらしい。最先端の技術で作られたこれらの衣類で、冷房や暖房の使用削減に繋げるという。また、温暖化対策としては、商品を梱包する箱の重さや詰め方も考え、コストと資源削減を心がける(たとえば、シャツ専用の箱を廃止したり、靴下を入れるプラスチック製の袋をやめ、紙の帯にしたり)。その心は店舗にも浸透していて、開店前の準備時間の照明は営業時間の60パーセント減と、省エネにもしっかり気を配っている。

世界最大の家具量販店IKEAの物流センターも、エネルギーの使用に気を配っている。日中は、太陽光発電による電力で、使用電力を削減。さらに、必要な時だけ点灯するよう、に各種センサーを備えたLED照明を採用するほど。2020年までには、自社で使用するエネルギーと同等量の再生可能エネルギーの生産を目指し、75万枚の太陽光パネルを世界中の物流センターやストアに設置している(2017年時点)。

こちらも一生のうちにきっと一度は喉に通す(?)ほど一般的なドリンク、コカ・コーラ。その生みの親、ザ・コカ・コーラ・カンパニーも、環境問題には熱心だ。清涼飲料業界で初となる世界規模での目標「2030年までに、世界で販売する製品に使用されている容器を100パーセント回収し、すべてリサイクルする」を宣言。また水の使用量削減もミッションの一つ。2020年までには30パーセントまで削減することを目指している。

同じく飲食業界から。気候変動、環境問題においての優等生といったら、こってりとした甘さで人気のアイスクリームメーカー、ベン&ジェリーズ。彼らは「自分たちのアイスクリームがどれくらい環境に負荷をあたえているか?」を調査する徹底ぶりだ。アイス作りに欠かせないミルクの源、牛に注目した取り組みをスタート(牛のゲップやオナラ、フンは、オゾン層を破壊するメタンガスを大量に放出)。ベン&ジェリーズは、酪農家ともしっかりタッグを組んで、50パーセントものメタンガス放出を防ぐことに成功。

アイスの保存に欠かせない「冷凍」技術にもしっかりテコ入れ。これまでの冷凍には有害な温室効果ガス、代替フロン(HFC)が使用されていたが、ベン&ジェリーズは、真っ向から拒否。ヨーロッパ諸国に普及している炭化水素冷媒を米国企業初として導入した。

気候変動のアクティビズム団体350.orgとパートナーシップも締結しており、公式ウェブサイトで署名活動をおこなったり、はたまた「Save Our World(私たちの地球を救おう)」という名前のフレーバー(ちなみにマシュマロとラズベリーソース)を発売したりするなど、気候変動問題に対し、アイスクリームを武器に闘っている。

ナイキも。リサイクルして新しい素材を

世界中の人々の足元を飾るナイキは、1992年から、使われなくなったスニーカーの素材(ゴム、繊維、革など)をリサイクルして「ナイキ・グラインド」という新しい素材を作り、新たなスニーカーとして生まれ変わらせている。その他にも、ナイキ本社にある競技施設ボー・ジャクソン・フィールドにもリサイクルゴムを使用、昨年にはナイキ、コンバースと契約している工場は、合計およそ136トンのゴムを再利用したそうだ。

日本の老舗電機メーカー、ソニーも、製品の省電力化や再生可能エネルギーの導入などに取り組む世界企業の一つ。CDP(気候変動問題に取り組む英非営利団体)主催の気候変動に関する調査で、「気候変動Aリスト」の最高評価を4年連続で受けている。CSR活動の一環として、インドネシア・スマトラ島の消えゆく熱帯林を守るべく、植林活動をおこなったり、子どもたちを対象にしたソニー・サイエンスプログラムでは、環境問題、地球温暖化がテーマのアニメーションをつくる「アニメーション・ワークショップ」を開催したりと、国境や世代を超えアクションが活発だ。

歌詞に、小説に、写真に。カルチャーアイコンたちの作品と気候変動

アカデミー賞の壇上、気候変動のスピーチ

 アカデミー賞で受賞俳優たちがスピーチをする壇上は、たびたび社会問題への意見が発せられる演説台にもなる。2016年、過酷な自然にさらされながらも生き延びたハンターの実話を基にした映画『レヴェナント蘇えりし者』で主演男優賞を受賞したレオナルド・ディカプリオも、壇上からこう演説した。

「気候変動は本当のことです。いまこの瞬間に、おこっている。地球上に住むすべての生命の種が直面する緊急の危機なのであって、ぼくたちは一丸となって行動すべきだと思います。先延ばしにするのではなく」

 日本ではレオ様の愛称で昔から二枚目俳優の代表格としてあげられるディカプリオだが、熱心な環境保護活動家でも知られている。環境保護財団「レオナルド・ディカプリオ財団」を設立、絶滅危惧種の保全などにも注力。また、気候変動に取り組む科学者に自ら取材、気候変動の危機に脅かされる北極などに赴きドキュメンタリー映画を制作した。

気候変動をテーマにしている映画は少なくない。ネットフリックスでも視聴できる『Chasing Ice』や、“温暖化による世界崩壊”をテーマにしたディザスター映画『ジオストーム』、地球温暖化による氷河期がテーマのパニック映画『デイ・アフター・トゥモロー』などもある。

地球温暖化で聴けなくなる音楽プロジェクト?

映画界でも描かれる気候変動だが、音楽界でも“曲”のテーマとして盛り込まれている。
たとえば英バンド「レディオヘッド」のフロントマン、トム・ヨーク。パティ・スミス、レッチリのフリーらとともに気候変動に関するイベントに出演したり、地球温暖化防止を訴える「ザ・ビッグ・アスク」キャンペーンに参加したりと熱心だ。そして、2006年にリリースしたソロ・アルバム『ジ・イレイザー』の収録曲には、直接的には表現していないものの、気候変動の危機について警鐘を鳴らしているんじゃないかという一曲があったりする。

 気候変動に声をあげる音楽人はトム・ヨークだけでなく、社会派フォークロック歌手のニール・ヤングは1970年に発売した曲『アフター・ザ・ゴールドラッシュ』で環境問題を歌い、パンクバンドのバッド・レリジョンも『Kyoto Now!』で(お察しの通り)米国が動こうとしなかった京都議定書問題についてがなり、環境活動に熱心な歌手のファレル・ウィリアムスは、フランスのコニャックブランド「ルイ13世」とのコラボで、「100年後の地球のための歌」を1回限りで披露。コニャック地方の粘土で作られたレコードに録音し、金庫に入れ封印。金庫に入ってはいるものの、地球温暖化が進み、海水が上昇してしまうと、レコードが粉々になり、二度と聴けなくなるという、前代未聞のプロジェクトをおこなった。

 芸術界での動きも紹介しよう。近年では、気候変動をテーマにしたフィクション小説のことを、Si-Fi(SFのこと)を文字って「Cli-Fi(クライ・ファイ)」と呼ぶらしい。CliはClimate(クライメイト、気候)から取っている。アフリカ系女性SF作家、オクティヴィア・バトラーは、90年からCli-Fiを執筆。著書『Parable of the Sower』では、2020年代に地球温暖化の影響でおこる不平等な社会や人々の混乱についての不穏な物語を綴った。
 ちなみに、日本を代表する作家の宮沢賢治も、実は地球温暖化について言及していた、という意見もある。1932年の小説『グスコーブドリの伝記』は、冷害に悩まされる農民を救うために、火山を人工的に噴火させて、地球を温めるというあらすじだ。

 気候変動を“撮る”のは、ブラジル人写真家のセバスチャン・サルガド。“神の眼”を持つ写真家として、世界に生きながらえる生命や消えゆく生命、破壊される自然など壮大なテーマにレンズを向けるサルガドは、自然の保全・復元に注力する環境活動家でもある。フォトプロジェクト『GENESIS』では、ガラパゴス諸島、アラスカ、サハラ砂漠、ブラジル熱帯雨林など世界の未開の地に赴き、そこに存在する地球の姿を捉え、そのままの地球をいかに保つか、なにを守るべきかを世に提示した。

 最後に、文化人でも科学者でもない、一人のティーンネージャーのアイコンを紹介しよう。グレタ・トゥーンベリ、スウェーデン出身の16歳で昨今の“気候変動運動の顔”となった、おさげ髪のあの彼女だ。昨年8月、ストックホルムの議事堂前で、気候変動問題への取り組みを求め、学校をストライキし、一人座り込み活動をおこなった。その後、彼女の行動に触発された世界中の中高生が同様のストライキやデモをおこない、地球温暖化をしのぐホットな社会現象となっている。

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Eye catch illustration by Kana Motojima
Text by Risa Akita, editorial assistant: Ayano Mori, Hannah Tamaoki
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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