「安い、速い、便利」にくわえ、あの“体に悪そうな味”。思い出したように無性に食べたくなる、ファストフード。しかし、体に悪いというイメージにより(実際その通りなのだが)、世界的な健康ブームの煽りをもろに受け、最近はなんだか元気がない様子。
そんなファストフード暗黒期に登場したのが、スウェーデン発のスタートアップ「Gigafood(ギガ・フード)」。ファストフードの専売特許「安い、速い、便利」にヘルシーをくわえ、さらに“エコフレンドリー”と“サステナブル”を兼ね備えたファストフードブランドだ。
創設者のミレニアルズ女子二人組は「サステナブルには、“いい子ちゃんすぎてつまらない”ってイメージがあるでしょ?」。確かにとりわけフードの場合、サステナブルやヘルシーというと、ファストフードのファさえも寄せつけないような、強硬で真面目な優等生に思える。それが「つまらないから」と、彼女たちはファストフードでサステナブルを実現するという。
まず、気になるメニューはハンバーガーやタコス、パスタ。うん、確かにファストフード。だが、それらすべて植物由来のビーガンフードで、砂糖、グルテン、クリームも不使用と、ヘルシー要素は完璧にクリア。さらに、使用される容器は100パーセント・コンポスト可能、デリバリーサービスは自転車のみと、エコフレンドリーとサステナブルも徹底する。
実のところ、近年のファストフード業界のヘルスコンシャス化は顕著だ。あのマクドナルドやカップヌードルでさえもヘルシー路線メニューを用意、さらにヘルシーな冷凍食品もできたというから、「ファストフードなのに、美味しくて、ヘルシー」はそれほど目新しくもない。ギガ・フードのおもしろい点とは、ヘルシーだけに留まらなかったところ。徹底的な環境配慮により、一見水と油の関係に見えるサステナブル&エコフレンドリーとファストフードの同居を可能にしたことではないだろうか。便利なうえに、味よし、体によし、それでいて環境にもよし。いいことづくめなギガ・フード、ヘルシーファストフード業界のゲームチェンジャーになるかもしれない。
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All photos by Pontus Kinnmark
Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine