テレビは視聴者の心理を操作し、ときに嘘もつく。
根拠のない「納豆ダイエット」に、ネット上で総ツッコミがはいった民放の「月は自転していない」解説、まったく違う翻訳がされた「悪意のある韓国人の発言テロップ」。情報そのものの捏造(月に関してはそれ以前の話だが)、都合のいいようような切り取り方・編集の仕方で歪曲報道、スポンサーにおもねった番組内容。本当に知りたい情報、伝わるべきストーリーが流れてこないテレビって、見る意味あるの?
「大手スポンサーやテレビ局まかせのテレビはもうお腹いっぱい!」。多くが一度は思ったことがある“国民の本音”を代弁し、市民の市民による市民のためのテレビをつくろうと今回立ち上がったのは、ふつうの主婦や会社員。個人がお金を出しあって市民がスポンサーになり、市民の声を反映させた主体的なテレビづくりを目指す「長崎メディアの会」を発足したのだ。
市井から生まれる市民テレビ、その名も『テレビでは話せない!ここだけの本当の話!!市民バクロスTV』。ネット界では有名でもテレビでは絶対に目にしない人々を出演させるのが特徴。番組制作を担当するのは日本初のインターネットテレビ局を開設した平山秀善(ひでよし)氏で、番組内容は、食と医療の専門家たちが繰り広げるトークバトルだ。元難病患者で健康指導師の末吉辰満(すえよしたつみ)氏、自然栽培農業家の岡本よりたか氏などが出演する。スタートはネット配信(10月5日に第一回目放映)からだが、最終目標は地上波、そしてゴールデンと意気軒昂だ。
「わたしたちの情報こそ正しいとか、いまのテレビが間違っているということではありません。このプロジェクトの真の目的は、日本に住む市民一人ひとりが、当事者意識を取り戻し、自分自身の行動が社会を作っているのだという自覚を持つことです」
昔に比べ情報へのアクセスが容易になったぶん、洪水のごとくあふれる過多の情報をいかに自分で判断・評価・利用するか、市民のメディアリテラシーが求められる時代になった。視聴者・観覧者が日々賢くなるいま、お茶の間のテレビやスマホの画面に映される番組が、お隣の奥さんや会社の同僚、八百屋のおっちゃんの手でつくられるとは、新たないい動きだ。さらに詳しくはコチラから。
Text by HEAPS, Editorial Assistant: Tomomi Inoue
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine