編集部が選ぶ今月のZINE3冊。テーマは〈しあわせニャ生活〉猫と爪切り、猫と書類、猫とレズビアンカップル

猫たんとは、「ルームメイト」くらいの感覚で暮らすこと。かまってほしいときもあれば、1人(1匹)になりたいときもある。人間と同じだよね。
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かつて、日本初のレンズつきフィルムカメラ「写ルンです」を発売した老舗フィルムメーカー・富士フイルムは、「PhotoZINE(フォトジン)」というサービスを展開している。「あなたの写真や言葉を“ZINE(=ハンドメイドの本・雑誌)”にします」というサービスらしい。写真や文章をアップロードして、誌面構成やデザインをレイアウト。紙質や綴じ方、フォント、サイズ(文庫、スクエア、A5)にこだわることができる。編集が完了したらデータを送信して、注文日から10日後にお届けというスピーディーさ。この夏の旅の思い出に1冊、どうでしょう。

さて、デジタルでもぱぱっと作れちゃう世界一敷居の低い文芸で、ルールが存在しない世界一自由な文芸「ジン(ZINE)」。今月紹介するのは、「みんなの猫たんへの愛」を綴じた3冊。ニャンでだろう、猫のいる生活って幸せなんだよなぁ(家中が毛だらけになるんだけど)。

***

爪の切り方から、相性最悪な花のことまで
初めて猫たんを飼う諸君へ。『First Time Cat Owner’s Pawbook



Image via Purrnest

可愛い顔して甘えた声で寄ってくる。なのに撫でようとするとサッと逃げる。かまってほしいのか、ほっといてほしいのか…気分屋でツンデレ。それが猫たん。『First Time Cat Owner’s Pawbook』は、猫の性格や習性をしっかり理解しよう、そうすればストレスなく迎え入れてあげられるよ、と初めて猫を飼う人に向けたガイドブックジンだ。
「家に連れて帰った初日(24時間)の接し方」「家に来てから7日間の接し方」「エサ事情」「不妊・去勢手術について」と、初心者にとってありがたい情報が24ページに漏れなく詰まっている(読了時間は、30分から1時間と良心的)。「それまで猫に関わったことがなくて。3年前にいまの愛猫を飼いはじめたとき、右も左もわからず慣れるまでにかなり時間がかかっちゃった」とは、作者でバンクーバー在住の台湾人アニメーター、パーネストちゃん。育て方をググるも、情報が矛盾していたり複雑だったり。ならばと、獣医やシェルターのブログを読み漁り、猫専門家の意見を聞くなど“猛勉強”、それをもとにジン作りも開始。勉強熱心な愛猫家、パーネスト流の猫たんとの接し方3選を聞いてみた。

1、初日は猫たんとの距離を置くべし。猫の多くは内向的な性格だから、最初は隠れちゃうかもしれないけど、焦らないで。強引に近づくのは禁物。もし家にすでに他のペットがいる場合は、3、4日かけてゆっくり慣れさせること。

2、猫たんとは、ルームメイト感覚で暮らすこと。かまってほしいときもあれば、1人(1匹)になりたいときもある。そのときどきの気分を察してコミュニケーションを取ることが大事。

3、猫たんが食べちゃダメな物を知っておくこと。特に、ユリの花は猫たんにとって最も危険。他にも危険な植物がいくつかあるから、気をつけて!

現在パーネストちゃんは、2匹のママ。インスタフォロワーのリクエストに応じて、彼らの愛猫のイラストを描いてあげたりもしてるんだって。


心配も焦りもなく、いつも丸まっている。
猫、いいなぁ…『OH TO BE A CAT


Image via Beth Kovar

「猫、好きじゃなかったんですけどね。でも、猫みたいに自由な生活はいいなぁって、ずっと思ってて」。ポートランド在住、イラストレーターとして毎日忙しなく働くベスさん。数年前、いつものように出勤前にバタバタ準備をしているとき、木の上で遊んだり寝っ転がって日向ぼっこするお向かいさんの飼い猫を覗き見して以来、猫の暮らしに羨望の眼差し。16ページに渡って「猫になれたらなぁ」を綴ったのがこのイラストジン、ド直球に『OH TO BE A CAT(あぁ、猫になれたらなぁ)』だ。

「冷たい水、飲みたい」と言わんばかりに洗面台に座り込んだり、かまってほしそうにシーツに包まれていたり、イスのうえでクッションにもたれて昼寝したり。心配することも急かされることもなく、自由気ままに暮らす猫たち。ベスの描く猫は、伸びをして気持ちよさそうにしていたり、まどろんで眠そうだったり、みんなとってもいい顔。ジブリ映画『猫の恩返し』の主人公ハルが、現実逃避して猫の世界で生きたいと願ったように、ベスさんもきっと忙しい現実から逃避したかったんだね…。

「いまはパートナーと猫との、2人+1匹暮らし。タンスを開け閉めして物音はうるさいし、家の中を運動場だと思っているのかすごい勢いで走りまわるんだけど、そんなのも許せちゃう。こうやっていま話している間も、私の隣で丸まっています」。あれ。ベスさん、猫、好きになっちゃたみたいです。



大事な書類を食べちゃう猫と、レズビアンカップルの生活。
This Cat Will Eat Your Documents


Image via I.M. Epstein

直訳すると「この猫、あなたの書類食べちゃいます」。猫って、紙食べても大丈夫なんですか? なんて素朴な疑問は、さておき(笑)。とにかく紙が大好きで、すぐにお口に入れちゃう犯人の名は、オードリー。ジン『This Cat Will Eat Your Documents』は、紙が大好きな猫のオードリーを交えた、ガールフレンドとのレズビアンライフを熱く綴った6ページの短編ラブストーリーだ(表紙にどでんと鎮座する写真の猫がオードリー)。作者はカリフォルニアに住むイザベラ。サインペンで筆圧強めにキュコキュコしたような手書きのタイトルに、写真を切り貼りした中面ページ。オードリーのお腹を写した写真に「書類はすべてここに飲み込まれます」と注意書き。

もともとオードリーは、ガールフレンドの飼い猫だったの。私が彼女の家に転がり込んで。だから、私はオードリーの“継母”。オードリーはフレンドリーで人懐こくって、子犬みたいな性格。初対面で膝のうえに座ってきたり隣で丸まったり、家の中ではいつも私の後をくっついて来たり。それから、寝ている私の髪を毛づくろいしてくれたり。私がオードリーの継母のような存在になったことも、ガールフレンドとの良好な関係に一役買ったかな」。猫が深めてくれる恋人たちの関係…。99.7パーセントの人が猫を飼いはじめて幸福度があがったなんていう調査結果もあったっけ…。なんて言ってるいまこの瞬間、このジンがオードリーに食べられていませんように。


Eye Catch Image via Beth Kovar
Text by HEAPS, editorial assistant: Ayano Mori
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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