“いつものレストラン”では満たされないあなたへ
「非日常体験」編
一言発したら即退場?
“おしゃべり禁止”のレストラン
みんなでレストランのテーブルを囲むとき味いたいもの。美味しい食事はもちろんのこと、それはとりとめもないおしゃべり。
でも、もしおしゃべりしてはダメ、と言われたら。そんな突飛な注文をお客さんにする料理店があった。
「食事中はおしゃべりしないでください。携帯の電源も切ってください」。ブルックリンのオーガニックレストラン『EAT』でのこと。
シェフのNicholas Nauman(ニコラス・ナウマン)。ウィリアムズバーグ在住で本業はミュージシャンの若き彼は、無言ディナーイベント「サイレント・ディナー」を毎月一回主催した。
なんだかスピリチュアルな雰囲気さえ漂うサイレントディナー、アイデア元は、「20歳の夏休みに、インドの仏教僧院で修行僧として過ごした経験」と「趣味でよく鑑賞するコンテンポラリーアート」。
自分の中に眠っている感情や、何かが揺り動かされる感覚を「普段とは違う状況での食事」によって、呼び覚ます可能性があるのではないか、思いついたのだとか。
「口にするものが自分の身体にどう影響するのかなど、『食』に面と向き合う機会を得ても
らうのが理想だけれど、食べながら好きな人のことを考えたり、“無”になってメディテーションをしてもらってもいい。そこから何かしら新しい気づきを得て、視野が広がる感覚を体験してもらいたい」、とニコラス。
「好き」と「嫌い」にはっきり分かれそうなイベントだが、どちらにせよ、“印象深いイベントであった”と言って差し支えはないだろう。
素人シェフのお宅で「いただきます」
赤の他人と一緒に食べる、新感覚のディナー体験「Feastly」
もう予定調和ないつものレストランには飽き飽き。だったら、「他人の家で、初対面の人たちと食卓を囲む」のはどうだろう。
そんな非日常体験をさせてくれるのが、Feastly(フィーストリー)というウェブサービス。2013年、ワシントンD.C.ではじまった同サービスは、Airbnbの「食事版」と注目を集め、現在サンフランシスコを中心に稼働中だ。
システムを説明しよう。まず、feastlyウェブサイトに登録したFeastlyシェフたちが「○月△日、ブルックリンの◇◇エリアにある自宅で、こんなFeastlyを開催します」とサイトで告知。会員メンバーたちは、シェフのプロフィール、コース内容、値段などを閲覧することができ、リストの中から気になる会食に参加する。
登録シェフは、素人から高級レストランのシェフまで、そのキャリアは様々。そして、メニューの内容、金額、開催日など、決定権はすべてシェフ本人に委ねられる。金額設定の下限も上限もなく、無料から3万円を超えるものまで…。
なかにはFeastly一本で生計を立てているシェフも存在し、年収にして6万ドル(約720万円)クラスの者もいるというから驚きだ。
Feastlyの創始者ノア・カレッシュは、グアテマラを旅していた際、路上にいたアボカドの売り子に「リアルな家庭の味が楽しめるレストランを教えて」と聞いたところ、その人の実家に連れていかれ「母の手料理」を振る舞われたことから、このビジネスを思いついたそう。
誰もが“週末シェフ”になり、自宅で得意の料理を「おもてなし」。それを楽しみに集まるその日のゲスト。双方にWin-Win(ウィンウィン)なビジネスモデルだ。
もっと詳しくは▶︎記事「流行中。知らない家で「赤の他人と晩ご飯」」へ