着古したら庭に「ポイ」で、12週間後には跡形もなし。最強のサバイバル服をつくる双子の最新作は〈地球に還るTシャツ〉

ポイしたら、ゆっくりゆっくり“食べられていく”。奇想天外なアパレルを発案・製作してきたツワモノの、新しいTシャツ。
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「不要になったら、ご自宅の庭に埋めてください。それか、コンポストに混ぜてもオーケーです」。あるTシャツの商品説明にはそう記されている。地球で生き抜くためのサバイバル服をつくり続ける双子デザイナーの次なる服は、地球と共存する服。自然の力を使って、100パーセント土に還るTシャツだ。

要らなくなったら「土に埋めて埋葬してあげましょう」

 現代人が抱える最大の課題の一つ「衣類の廃棄・リサイクル問題」。世界で廃棄される衣類の量は、およそ年間900万トンといわれており、日本だけでも、年間33億着が廃棄されている。リサイクルは追いついておらず、衣服のリサイクル率は、紙類、ペットボトル・瓶類などに比べて低い。

 登場頻度も高くみんな大好き「Tシャツ」は、頻繁に着用されるがゆえ寿命は短く、衣類の廃棄問題に大きく加担していることだろう。この「Tシャツ問題」に関しては、アパレル業界も黙って見過ごしてはいない。スタートアップ「For Days」は、無地Tシャツを買い換えるのではなく“お取り替え”する「Tシャツ月額会員制」なるサービスを開始。また、若者世代に人気のアパレルブランド「アメリカン・アパレル」の元ディレクター2人がタッグを組み、100パーセント「リサイクルコットン」でつくったグリーンなTシャツ「Trash Tee(トラッシュ・ティー)」を開発したことも話題に。

 などなど、アパレルブランドがさまざまなアイデアを出しているが、今夏より注目を集めたのは、リサイクルではなく廃棄の仕方を工夫した、一番“プロダクティブな死に方”をするTシャツ。それはゴミ箱にポイ、でなく「土にポイッ」でなくなるTシャツだ。開発者は、英国発アウトドアブランド「ボレバック(Vollebak)」。“地球で一番タフなTシャツ”や“100年耐久ズボン”、“太陽光を蓄電しどんな暗闇でも光るウィンドブレーカー”など、奇想天外なアパレルを発案・製作してきたツワモノだ(その制作についてはインタビュー記事から)。

 地球で生き抜くための服を開発してきた同ブランドの最新作となるTシャツの名は、「The Plant and Algae T Shirt(植物と藻のTシャツ)」。名前の通り、植物と藻から作られている。まず、繊維が100パーセント植物由来。70パーセントは樹木のパルプからできたリヨセルで、30パーセントは植物のパルプからできたリネン。素材となる樹木と植物は、いずれもFSC(森林管理協議会)とPEFC(森林認証プログラム)によって認証されたユーカリ、ブナ、トウヒなどのサステナブルな植物だ。藻はというと、プリント部分に使用。藻から抽出したインクのみで緑色のプリントを仕上げている。
 すべてが生分解が可能なため、着古したら庭にポイッ。12週間かけて分解され、ミミズやナメクジ、カタツムリなど、庭の生き物の餌となり、跡形もなくなる。



手間とコストをゼロに。地球と人間とラクに共存する服

 Tシャツの素材として多く使用される「コットン」はリサイクルが難しい繊維といわれている。古いコットン製の服をリサイクルして新しい服を作ろうとしたとき、古いコットンを切り刻む必要がある。その際、コットンの繊維の長さが短くなり、コットンの質が下がってしまうという問題点も。100パーセントをリサイクルコットンからつくるトラッシュ・ティーのような画期的なTシャツもあるが、質を保つためには、通常で服1着にリサイクルコットンを使用できる割合は20パーセントが限度だ、と老舗ジーンズブランド「Levi’s(リーバイス)」のサステナブル課は話す

 ボレバックの「土に還るTシャツ」の最大の価値は、その100パーセントを廃棄し、かつ廃棄の手間とコストがかからないこと。自然素材でつくったTシャツが寿命を終えるときは、自然に還してあげるだけ。



Tシャツを着るほどにプリントの色が変わっていく。買った頃はまるで初夏の葉のようだった元気な緑も、使っていくと秋の葉のような朱色に。
ただのTシャツのプリントと違い、そこには植物の生命が宿っているみたいだ。

プリント部分は、いま話題の「藻」でつくられている。

 先史時代の衣服は、樹皮でつくられたものもあったという。数百万年経ったいま、現代テクノロジーを駆使し自然の素材だけつくられた土に還るTシャツは、人類の原点にあった「地球と共存する」というアイデアをうまく進化させている。

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All Photos by Vollebak/ Sun Lee
Text by Ayano Mori, edited by HEAPS
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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