小さな折り紙が合体?太陽の光をたくさん集める〈ソルガミ〉。アパートの窓につけるだけ、一人ひとりが発電する次の都市生活

「僕たちは、都市を“消費の場所”ではなく“生産の場所”として、位置づけたいと考えています」。都市でエネルギーを“消費するだけ”の生活は、もう遅れてる?
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太陽光発電に興味はあるものの、「アパート住まいだし…」とあきらめていた人に朗報。あなたの部屋に窓さえあればしっかり発電できる新たなソーラーパネルが開発中だ。

 ソーラーパネルを用いて太陽光を電力に変換する、太陽光発電。火力発電や原子力発電との大きな違いは、燃料を必要としないこと。それゆえ排気ガスやCO2を出すこともなく、地球にやさしいクリーンなエネルギーをつくってくれる優等生だ。
 ソーラーパネルをひとたび設ければ、家庭の光熱費を削減でき、あまった電気は売電可能。しかし、設置費用は気軽に手を出せる値段ではない。10年前に比べれば3分の1ほどに下がっているらしいが、100万から200万円*はかたいという。おまけに思いがけない天候にはめっぽう弱く、積雪すれば発電量は激減。しかもだ。意を決して購入を決意するも一軒家なら話は早いが、アパート暮らしとなればまずは大家に相談だ。

*地方自治体の補助金や設置するパネルの価格、枚数などにもよる。

 そんな太陽光発電のデメリットをオーストラリアの建築会社「プレバレント(Prevalent)」の創設者ベン・バーウィックが取っ払おうとしている。ベンは東大工学研究科で修士号取得し、日本の建築事務所での就職経験がある建築家。彼が現在開発中なのが、窓の内側に取りつけるだけで太陽光を電力に変換するブラインド。その折り紙のような見た目に由来して、その名も「ソルガミ(Solgami、Sol=太陽、gami=折り紙)」。次世代クリエイターの育成・支援を目的とした国際デザインコンペ「レクサス・デザイン・アワード2019」のファイナリストとして、1,548点の応募の中から選出された実力作品である。



 まずその形状がおもしろい。従来のソーラーパネルといえば真っ平らで、パネル部分に当たる太陽光のみを電力に変換してきた。しかし2015年の発表以来、繰り返し練られてきたというソルガミは、10センチの深さに折りたたまれている立体のデザイン。薄膜太陽電池と反射インクが印刷されたプラスチック素材が蛇腹のように折りたたまれているため、各面に太陽光を反射させより多くの電力を生み出すことを可能にした。

 アパートの窓でも太陽光発電できるといえば、これまでにも、ミシガン州立大学の研究チームや米企業のソーラー・ウィンドウによって「窓に貼りつける透明フィルムタイプの発電機」や、デザイナーによって考案された窓に貼り付けるソーラーパネルつき電源プラグ「ウィンドウ・ソケット」が開発されていた。が、ウィンドウ・ソケットはあくまでスマホ充電用といった一時的なもの。多面的なパネルを持つソルガミなら、アパートの小さな窓でもより大きな発電が期待できる。また、パネルが反射し合うことでより多くの自然光を部屋に取り入れることも可能になるというので、日当たりの悪い部屋の改善にもなる。
 折り畳み式でブラインドのように“開け閉め”できるため、使い勝手も悪くない。たとえば、リビングから窓の外を眺めたい時間などはブラインドを寄せて閉まっておけばよい。

「折り畳み式でブラインドにもなるから、発電のために私生活を犠牲にしなくていいんだよ。何なら自然光をたくさん取り入れて、あなたの部屋をより良い場所にするよ」


 現在、ベンは日本の製造業者とプロトタイプを共同開発中とのこと。その発電量は窓の向きや大きさなどによって異なるため、平均的にどのくらい発電できるかは「まだ未定です。ただ、ソルガミを取りつけたガラス張りのオフィスビルでは、そのビル一棟が必要な電力すべてを生み出すことが可能だと予想します。僕たちは、都市を“消費の場所”ではなく“生産の場所”として、位置づけたいと考えています」。

 高額な設置費用を払う必要も、わざわざ屋根に取りつける必要もなく、アパートの窓に内側にゆるりとつけるだけで気張らず発電できるソルガミ。特に建物が密集しソーラーパネルの設置が難しいといわれるシティでも、手軽に太陽光発電が可能になるということだ。国連の調査(2014年)によると世界人口の約54パーセントが都市部に住んでおり、2050年までに66パーセントに達すると予測されている。
 人の数だけ消費をしてきた都市生活。アパートの窓にブラインドを足す感覚でクリーンエネルギー発電とは、まさに住処の数だけ生産をし続ける。シティに暮らす現代人たちの、サステナブルで生産的な都市生活ではなかろうか。

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All images via Solgami
Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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