「私の性器はふつう?」「初SEXの理想年齢は?」匿名24時間対応、ティーンの〈聞きにくい性の質問に秒で答えるチャット〉

質問「私の性器はふつう?」チャットボット「“ふつう”な性器などはありません。人の顔のように、一人ひとりの性器はユニークです」
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知らないより(絶対)知っておいた方がいい、性にまつわる教養。なのに、「不適切」で「早すぎる」からと、タブー扱いされて学校では詳しく教えてくれない。ならば、悩める思春期ティーンズの性のアレコレを解決しよう。ネットで拾う信ぴょう性のない情報ではなく、〈AIが提供してくれる正しい知識〉で。

ティーンズが頭を抱える「性の悩み」、解決してくれるのはAI?

 思春期の匆匆(そうそう)たるや。勉強に部活動、友人関係に親への反抗。性にだって目覚めはじめ、人には聞けない疑問が増えるばかりの年頃だ。学校で教えてくれればいいけれど、教育現場で性にまつわる悩みは「不適切」で「早すぎる」らしく、たとえば米国では公立学校で性教育を義務付けているのは24州とコロンビア特別区だけ。日本でも昨年の日本財団の調査によると、詳細な情報の欠如や曖昧な教え方を理由に17歳から19歳の約4割が、学校の性教育は役に立たないと感じているとの回答が。なかには「避妊の重要性をもっと説明してほしい」「性病の危険性について重点的に教えられるべき」といった声もあったという。

 性について学校が教えてくれないとなれば誰に聞けばいいのか。両親? いやー、気まずそう。経験豊富な友人や先輩? うーん、いくら仲が良くても面と向かうとやはり気恥ずかしい気が(万が一、「あいつ◯◯◯で悩んでるらしいよ」なんて変な噂を流された日には…)。ググる? でも、ネット上の情報がすべて正しいとは限らないし(なんせ十代、正しいかどうかの判断もさらに難しいだろう)。AVやポルノを見てみる? これはあんまりオススメじゃないなあ。女性を性の道具のように扱うものもまだまだ多く、何を見るかによって偏った知識に繋がってしまう危険性だってある。余談になるが、そういえば新世代の女性ポルノ監督エリカも「ポルノ動画は誰もがアクセス可能なセックスの無料講座。だからこそいいポルノがなければ」なんて口を酸っぱくしてたっけ。じゃあ、「ロボット(AI)」に聞いてみる? 

 悩めるティーンズに素早く正確な性の情報を提供すべく誕生したのが、チャットボット「Roo(ルー)」。恋愛に関することから、オナニーや性感染症といった性に関する聞きにくい質問に、無料で24時間7日間いつでも答えてくれる。気になるのはその情報の信憑性だが、米国最大(創立103年)の由緒正しい性の医療サービス非営利組織「Planned Parenthood(プランド・ペアレントフッド)」とデジタルデザイン開発会社「Work&Co(ワーク・アンド・コー)」が共同開発とのこと。13歳から17歳までが対象だ(もちろんそれ以外の年齢の人も利用可だ)。

 ビジネス誌『ファストカンパニー』の2019年度「世界変革アイデア賞」を受賞したルーは、ダウンロード不要で、パソコン、スマホのウェブブラウザ上で動くチャットボット。開発時には、理工系高校の生徒に、ロボットを通してどんな質問や回答の仕方を求めているかの独自調査もおこなった。「ティーンの84パーセントが、性病や思春期、妊娠など性や健康に関する情報をオンラインで入手していたこともわかりました。この種の話題は両親や友人に話すとなるとナーバスになる子が多い。なので、匿名で質問でき、かつ信頼できる回答を得られるようボットを設計しました」。

「私の性器はふつう?」「初SEXの理想年齢は?」「どうカミングアウトすれば?」

 性や健康にまつわるあれこれを正直に教えてくれるというチャットボット「ルー」。会話は、こんな感じだ。

1、ウェブアプリを開き「CHAT NOW(チャットをはじめる)」をポチッ。


screenshot of Roo chat

2、より個人にパーソナライズした回答を得るため、性別(女性、男性、トランス男性、トランス女性、性別なし)を選択。回答しなくてもOK。


screenshot of Roo chat

3、気になる質問や悩みの種をチャットに投入。ちなみに「オナニーって何回していい?」と聞くと、「好きなだけしていいんだよ、それは普通だし健康的だよ。でも、勉学や仕事などの妨げになってしまったら、それは問題だよ」と秒で返ってきた。
その後「Want more info?(もっと知りたい?)」と聞かれ「Sure(もちろん)」と答えると、関連記事のリンクも送ってくれた。



screenshot of Roo chat

 質問入力のほかにも、よくある質問リストとして「好きな人への告白の仕方」「初セックスの理想年齢は?」「私の性器はふつう?」「どうカミングアウトすればいい?」「オナニーし過ぎたらどうなる?」などからも選択可能。チャットボットだから誰かと対面することなく、個人情報の登録も不要だから匿名で、普段聞きづらいことも遠慮なく質問できる。

 回答はすべて、プランド・ペアレントフッドが研究者や専門家と協力して集めてきた事実と統計、データを元にしているという。信頼性はあるといっていいだろう。より詳しい情報が知りたい場合は、プランド・ペアレントフッドのウェブサイトや関連記事にも飛べる設定。また、質問のやり取りから性病の可能性があると判断すると、病院に行くことを勧めてくれ、質問の内容が自傷行為や虐待を示す場合はホットラインに誘導してくれる。

 ルーがローンチされた今年1月の最初の週には、すでにティーンズから約2万5,000の質問が届いた。まだすべての質問への答えが用意されていないのが現状だが(質問を言い換えてみると答えをくれることも)、より多くのユーザーがルーを利用することでチャットボットも進化し、より多くの質問に答えられるようになるという。今後は、デスクトップ用アプリの開発とSNSとの連動にも尽力する。

 正しい性の情報を得られず、たとえば避妊などの知識も定着していない一方で、先月、米国のアラバマ州にて人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止する州法が成立した(執行は6ヶ月後)。身近なツールで簡単にアクセスできるルーは困惑するティーンズの強い味方だ。学校で先生が教えてくれない性教育を、手のひらのスマホでチャットボットが正しく教えてくれる。

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All images (except for screenshots) via Planned Parenthood
Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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