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  • Jul 10, 2018

キックスターターが新たに開設。〈20日間・目標額10万〉小さなアイデア専門“クイック”スターターって?

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「すばらしいアイデアが降ってきてもそれを実現する資金がない」というクリエイターや起業家たちが資金調達のために活用するクラウドファンディング。そのなかでも「キックスターター」は、草分け的存在として、これまで14万件以上のプロジェクトの資金調達を成功させ、4,000億以上を集めてきた

だが、近年そこにずらりと並ぶのは相当なお金が注ぎ込まれたであろうPR動画に、達成額10,000ドル(100万円)超えのプロジェクト。その大掛かりなプロジェクトの勢いに埋もれがちだったのが、小規模なプロジェクトたちだ。今回、キックスターターはそれら小規模なプロジェクトのために新たな特設プラットフォームを開設。コンセプトは「It’s OK to think small(小さなアイデアでもオッケー)」だ。

世界規模のクラウドファンディング、キックスターターの盲点

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(出典元:Quickstarter Official Website

 2009年に創業し、日本にも2017年に上陸、世界22ヶ国で展開しているキックスターター。サイトをのぞいてみると、1,000万円以上を調達している「ミニクルーザー(スケボーの小さい版)」に、4,000万円という驚異の資金額に達した「4時間以上回るコマ」(なんで?)、テレビコマーシャルばりのプロモ動画が流れている。

「アイデアのある者ならプロジェクトを立ち上げられる」イメージがあったが、蓋を開けてみるとその敷居は結構高い。第一にキックスターターによる審査*に合格しなくてはならないし、晴れて通過すれば一人でも多くのバッカー(支援者)を集めるためにプロのフォトグラファーを雇って写真や動画制作に励む。長期の資金調達プラン構想に、活動報告のこまめなアップデートだって忘れちゃならない。なかには、フェイスブックやグーグルを介して有料広告を出したり、クラウドファンディング専門の広告エージェンシーを利用したりと、PR活動に多大なお金と時間をかけているプロジェクトもある。つまり、そもそも資金調達を成功させるのに資金と人材、人脈が必要という構造に、キックスターター自身が“小さな”変革を起こした。

*以前までは、セックストイのクラウドファンディングも拒否していた。許可が下りなかったプロジェクトは、もう少し敷居の低いクラウドファンディング・インディーゴーゴーで再挑戦するというのは、よくある流れ。

「It’s OK to think small.(小さなアイデアでもオッケー)」

「キックスターターは、実験的なアイデアもトライできるすばらしいツールです。たくさんの費用や労力をかけずにまずは小規模から、自由なアイデアを試すことができたらいいですよね」。ロンドン在住のフランス人デザイナー、オスカー氏が考案したのが、肩の力が抜けたキックスターター「クイックスターター」。長期のお金をかけた壮大なプロジェクトでなく、短期間から低資金を募ることができるいわばキックスターターのお手軽バージョンだ。このオスカー氏のアイデアをキックスターターが採用、6月にローンチした。標語は「It’s OK to think small(小さなアイデアでもオッケー)」

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(出典元:Quickstarter Official Website

 クイックスターターには、9つのルールがある。

1、プロジェクト構想期間(考案からキックスターターでローンチするまで)が3ヶ月以内であること。構想に数年費やす、なんてプロジェクトはここでは禁止。

2、資金集め期間は、20日以内であること(キックスターターでは1~60日の間で自由に設定可能。ちなみに30日以下のプロジェクトは成功率が高いとの統計も)。

3、目標額は1,000ドル(約11万円)以下であること。

4、リワード(バッカーへの見返り)は50ドル(約6,000円)以下であること。

5、動画は手元のカメラで1日で撮影すること。スマホがオススメ。

6、 オファーがない限り、メディアを介したPR活動などはしないこと。

7、ソーシャルメディアに有料広告を掲載しないこと。

8、ストレッチゴール(さらなる目標額)の設定不要。

9、キャンペーン名に「クイックスターター」と明記すること。

 クイックスタータープロジェクトの例を見てみると、

〈目標額7万円。テープ・ステッカーズ(マルチな梱包テープ)〉

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(出典元:Quickstarter Official Website

定規や分度器が表面にプリントされていて、さらに用紙サイズやネジサイズ表としても使える梱包テープ。クイックスターター発案者オスカー氏のプロジェクト。

〈目標額8万円。ザ・レイジー・ポストカード(メッセージのいらないポストカード)〉

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(出典元:Quickstarter Official Home

“ポストカードを贈りたいけどメッセージを書くのが面倒な人”向けに、メッセージを書く部分を省いちゃったポストカード。

〈目標額6万円。エンベロープバッグ(封筒型バッグ)〉

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(出典元:Quickstarter Official Home

耐久性のある不織布タイベックでつくられたバッグ。ポストに封筒の形で届けられるという仕掛けがおもしろい。

…などなど、「お金や時間はあまり割けないけど、いいアイデアならあるんです」な人々が対象で、数百万のプロジェクトと並列したら埋もれてしまうかもしれないグッドアイデア商品たちだ。

 日々洗練されていくヴィジュアルクオリティやテクノロジーの発展に押され、プロジェクトの大規模化が進みいささか暴走気味だった近年のキックスターター。そこにきてクイックスターターは、「お金や時間がなくても、アイデアと実現の構想さえあれば誰でも形にできるチャンスはあるよ」とクラウドファンディングの本質に原点回帰。小さなアイデアをすくい取ってくれる。

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Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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