平日18時以降、それから週末も業務メールは禁止。そんなフランスのミレニアルズはいま、「労働の節目」にいるらしい。
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すでに週35時間労働制でいながら、「午前9時から午後6時の間以外の業務メールは禁止」の協定成立を聞いたとき、フランスってなんて健康的な国なんだろうかと思った。
そして、先日。知っている人も多いと思うが、「週末の業務メール」も、禁止になりそうとだと。
一方で、2000年から続いてきた、その週35時間労働制が撤廃されそうだったりと、様々な協定や法案が立ち上るなかで、フランスのミレニアルズは「働くこと」をどう考えているんだろうか。

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ミレニアルズ:1980-2000年代初期に生まれた世代。中核は20代。

「頑張った分だけ、成功に近づく」に疑問な若者

 労働時間外でのメールの禁止は新しく成立された労働法改正の法案の一つ。「つながらない権利」と呼ばれ、「オンラインでの仕事のしすぎは悪影響だから、やりすぎなくていいよ」というもの(いまの労働者は、電波という鎖で繋がれている、と表現する人も)。とはいえ、義務ではない。
 最近はパソコンの画面の見過ぎでちょっと頭が痛い筆者からすると羨ましすぎ!な法案だが、実際はこれに対しても様々な意見が飛び交っているらしいんだな。
 まずは、フランスのミレニアルズの働くことについての意識を探ってみた。

成功ってもはや、自分たちの手に終えるものではないと思うの。
ミレニアルズの54%(参照Global Attitudes Survey)がこれに賛同。成功できるかどうかわからないんだから、すべての時間を仕事だけに費やすのは人生としてどうなの? ってところだろう。

だから人生の“成功”に、高学歴もハードワークも最重要ではないよね…。
人生の成功において、ハードワーク、学歴が大事だと思うと答えたのは、同順でそれぞれわずか25%、21%(対してアメリカは73%、58%が大事だと回答)。
これも、ミレニアルズたちが高学歴でハードワークが豊かな人生をもたらしてくれるわけではないと認識していることがわかる。

35時間以上は働きたくない
「どうせいくら働いても昇進はできないし、給与も上がんないし」という意見と、週35時間労働をし余暇を楽しむ親世代を見てきたため、「いまさら35時間以上は働けない」といった感じらしい。実際に35時間労働制の改正含め、労働法改正の動きが出た今年はじめはあちこちでデモも。

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「働くのがいやなわけでは全然ない」

 とまあここまで聞くと、できる限り働きたくないのかしらと思ってしまうが、それは違うようだ。
「僕らの世代(ミレニアルズ)は大きな節目にいる」と話してくれたのは、将来のキャリアのためにニューヨークでインターン中のフランス人、P君。
 昨年には、25歳以下の失業者と職につけない人の数がまた上がったと報じられたフランスだが、同時にスタートアップ企業が増えだしているという側面もある。35時間労働制に守られ、夕方と週末をゆっくり過ごしてはいられないビジネスマンも増えてくるというわけだ。

 P君も「僕の周りの友人でも起業家がいるが、そういった人は35時間以上働くこともいいと思っているし、実際にそうしている人もいるよ」。
 高失業率であり、スタートアップ(特にテック系)が勢いづいているフランスでは「それぞれの仕事にあったワークスタイルを選ぶ」時期にきている。なので、実際は多くの人が週末でも休暇でもメールは見ることは予想に難くない。実際に、働きたいのに働けないという声はこれまでも多くあった。

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 調べてみて最初は諦め感が強いなあという感じだったが、「自分のワークスタイルをシビアに考える」ということなんだろう。
 IRISの調べでは、「自分の求めるライフスタイルのために、リスクを負う覚悟はある」と答えたフランスのミレニアルズは、53%と半数以上(ちなみに日本は、30%だった)。自分のしたいこと、望むワークスタイルを自分で考えたいという思いが強まっている風潮の裏付けと取っていいと思う。

法案は“イイ言い訳”くらいに

 望む仕事につけばもちろん一生懸命働くが、「余暇は絶対に大事」と念押しするP君。「カフェに行ってお茶して、バーで友人とビールを飲んで語り合う。これは週末だけじゃダメだよ。大切な人生だからね」と。

 35時間と決められた労働時間のうえで、「平日と休日」ではなく「働く時間・自分の時間」を明確にしてきたフランス人のライフスタイル。それは「法律なんかでは覆せない、フランスに根付いているカルチャーだ」と言う。同時に、失業率が上がりながらスタートアップが勢いづいてワークスタイルはどんどん多様化し、35時間という基準ではすべてを分けきれなくなった。そして、その法律含め労働法改正が進んでいる。その変貌期にいるのが、フランスのミレニアルズたちなのだ。
 カルチャーが大きく変わろうとしている時だ、と自覚しながら、それでもやっぱり譲れない「オフ」を守りたいと話す。
 それぞれの選択とバランス感で、35時間や午後6時以降と週末のメール禁止は一つの指標と“イイ言い訳”くらいに捉え、彼らは自分にあったライフスタイルを作っていくんだろう。

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