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  • Mar 21, 2016
パジャマで全員集合!見知らぬ人と抱き合う「カドル・パーティー」<前編>
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「カドル・パーティー」。そこに集まった知らない人同士がパジャマを来て抱き合い、気分がよければ、眠ってもいい。ただし、セックスはNG。
そう、彼らは純粋に「抱き合う」ために、見ず知らずの人々とパジャマを着て集まるのだ…。

「パーティーでは終始パジャマを着用」は、公式ルールだった

 私がカドル・パーティーなるものの存在を知ったのはネットサーフィン中。「ベルリン最大のカドル・パーティー」についての記事を読んだからだった。
 カドル=抱き合う、つまり、大勢で集まって抱き合うという謎のイベント。興味をそそられ、私の住むニューヨークにも恐らくあるだろうかとリサーチしてみると、ビンゴ。むしろ2004年から存在しているらしく「今年で12年目」と割と歴史もある。“ワークショップ”“ソーシャルイベント”と称され、月に1、2度となかなか頻繁に行われている模様。

 パーティー主催の団体のサイトを見てみると、イベントの大まかな流れ、ルールが明記されていた。参加には約3,000円がかかるようだ(ちょっとイタい)。

 事前に共有されるルールは結構細かにあり、めぼしいものといえば以下だろう。

・パーティーでは終始パジャマを着用する
・無理に「カドル」しなくてもよい
・誰かに触れる前に必ずその人から「口での明確なYES(承諾)」をもらうこと
・オファーがいやであれば「NO」ときっぱり伝えること
・Noと言われたら無理に抱き合おうとしない
・大笑いするのも、泣くのも歓迎
・清潔を保つこと(ブランケットの上でお菓子を食べない、等)

 持ち物は「笑顔を持ってきてね!」。ふむ、「安全な場所で、安心できるカドル」をイベントのモットーとしているというのはわかったが、何となくまだ怪しい。さらにリサーチをしていくと「カドリスト(カドルのプロフェッショナル?)」なるものも存在していることが判明。参加前にカドリストに色々聞いておくのもよいかなと思い、一人にコンタクトを取ってみた。

知られざるカドル・パーティーの歴史と内情

 カドリストです、と現れたのは、アダムと名乗る男。第一印象は「優しそう」。やはりカドリストという職業だけあってか、笑みを絶やさない。それもわざとらしい作り笑いではなくなんというか、「微笑まれている、受け入れられている」という感じ…。
 
 一通り世間話をして馴染んだところで気になる「カドル・パーティーとは」「なぜはじめたのか」「どんな人が参加して、実際は何をしているのか」を聞いてみる。
 すると、彼からの答えは、「僕はゲイなんだけれど…」。
 ん?いきなりカミングアウト?と思ったが、聞いてみるとどうやらカドル・パーティーのそもそものはじまりには「ゲイのため」という理由も大きくあったのだという(ちなみにアダム、一人のカドリストであるうえ、カドル・パーティー主催団体のトップ)。

cuddle party 3
アダムが提供してくれた、実際のカドル・パーティーの写真1

 遡ること1980年代、ゲイにとっては“地獄”と称されることもあるほど厳しい時代であったわけだが、「あの頃、僕たちは誰かと触れ合い、支え合う必要があった」とアダムは話す。しかし、そこで温もりを求め合えば自然とセクシャルな関係になってしまい、HIV感染者となっていく人も周りに増えてしまった。「だから、セクシャルな行為を抜きにして、ただ抱き合う。そんなことができたらと思い、僕とパートナーは小さなイベントをやっていたんです」
 そこから、「触れ合いや温もりを必要としているが、それが絶対に叶わない人もいる。そういう人たちのためのサービスにならないか」といまのカドル・パーティーというイベントに発展させていったのだそう。
 触れ合いから遮断された人の例として、「パートナーに先立たれた高齢者、未婚者、恋愛にトラウマを抱えた人」をあげる。

「カドル」の持つ威力

「抱きしめられることは、人生に必要なことです」と、アダムはその重要さを力説。「触れられることで脳内でドーパミン、セロトニンが分泌され、幸福感が起こる」と科学的にも証明されており、「子どもが健全に成長するには1日12回のハグが必要だ」という精神療法士もいるほど。

cuddle party 2
アダムが提供してくれた、実際のカドル・パーティーの写真2

 近年、日本でも“添い寝フレンド”なる関係が存在したり、添い寝ビジネスが興るなど、「ただ温もりを提供する」というサービスが求められていることは確かだ。
 とはいえ疑問なのが「セクシャルな行為なしで、ただ抱き合いたい」というのはもっぱら女性寄りの考えで、男性にとっては“生殺し”みたいなものなんじゃないか。
 そのへんもアダムに聞いてみると、「カドルだけを求めて個人サービスを頼む男性もいますよ」。アダムはじめカドリストたちは個人対象のサービスも行っており、個人宅に訪問し「添い寝する」そうだ。
 その個人対象サービスで最も人気のある女性カドリストが彼女なんだけれど、とアダムが見せてくれたのは割と高齢の女性のプロフィール。お世辞にも若くてドキドキしちゃう、という感じではない。
「母性愛を求めている男性が多いんですよ。恋愛やセクシャルな行為、それは『評価』される行為なので、心からリラックスできないんです。恋愛やセックスは結局女性がどう思っただろうか、うまくできただろうかという心配がつきますからね」

実際の参加まで、あと2週間

 事前リサーチはもう十分(?)、というところでアダムに「実際に参加してみたいのですが…」と伝えると、かなり喜んでくれた。一番近い開催日は、来たる4月2日、土曜日だ。

 パジャマ持っていないんだけどどうしよう、実際の男女比(そのときによる、とアダム)、3時間も一体何するんだろう(そのときによる、と)…、そのときのカドル・パートナーが全然仲良くなれなそうだったらどうしよう…など、色々と不安はあるけれど、ここまできたら…参加しなくては。
 ということで、実際に参加して体験した「3時間」はまた2週間後に…。

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Text by Tetora Poe

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