デザイナーの目×「部屋のバイブス」くみ取るアルゴリズムで“3色選り抜き”。DIY塗装の〈オンラインペンキショップ〉

Share
Tweet

「色は、あなたの“空間”をアップデートするのにもっとも手軽で安価なツールです」。だけどこの「ウン百ウン千からの色選び」が、なかなか難しかったりする。

Clare_Paint & Supplies Hero

「あれ? なんか違う」DIYのペンキ塗装

 米国の映画やドラマを見ていると、よく部屋の壁をペンキで塗り塗りしているシーンがある。最近日本でも、家の塗装はDIYという人も増えていると聞く。住処やスタジオなど自分の空間を自らの手で塗りあげていくたのしさや充実感がDIY塗装のなによりの醍醐味だと思うが、「塗装の第一ステップ、“ペンキの買い物”が頭痛のタネではありませんか」。

 ホームセンターにはウン百ウン千の選択肢があり、白だけでも100種類以上状態。色見本とにらめっこしても実際の部屋に合うか想像しづらい。そして最悪なDIY塗装あるあるが、色そのものはすごく良いのに、自分の部屋に塗ってみると「あれ? なんか違う」。色見本を部屋にあてたり、オンラインでシュミレーションしてみたにも関わらず、だ。そんなあるある経験者にドンピシャのサービスがあったので紹介したい(残念ながらいまのところ米国のみ)。

Clare Homepage Hero

「インテリアデザイナー厳選、アルゴリズムの選択」でドンピシャのペンキ買い

 今月登場したばかりの話題のオンラインペンキショップ「クレア(Clare)」。「私たちのミッションは、ペンキのお買い物をもっと簡単に、そして刺激的なものにすることです」と奮い立つ彼らのサービスは、好みのペンキをワンクリックで購入、自宅までデリバリーしてくれる。「そんなの普通じゃん」、はちょっと待った。クレアがたんなるオンラインペンキショップと一線を画すのは、「インテリアのプロとアルゴリズムが、自分の部屋に合う色を専門的にキュレートしてくれる」からだ。創設者はテレビや雑誌にも登場する、人気インテリアデザイナーのニコール・ギボンズ。「何千もの色はいりません。ベストな色だけがあればいいのです」と、クレアの用意する色はオリジナルの55色のみ。部屋のあらゆるシチュエーションを想定しインテリアデザイナーが厳選した。スタンダードな色から、小さめの部屋に合う薄い色、大きめの部屋に合う濃い色、などを網羅する。

Clare - All Paint Cans
Clare_Lifestyle_18

 その55色からさらに自分の1色を探し出すプロセスには、「必ず合う色選び」のための経路がきちんと敷かれている。
 まず、ウェブサイト内の無料カウンセリング「クレア・カラー・ジーニアス」にて、塗りたい部屋の種類を選ぶ。塗りたいのは、ベッドルーム、仕事部屋? リビングやダイニング? それともバスルームかベビー部屋なのか。またサイズ、方角、部屋に入る光の量も回答。さらに、部屋の雰囲気を知るために「あなたの部屋のバイブスを表す言葉」などの質問も。すでにある(あるいは購入予定の)部屋の家具などから、基調となっている色についても回答しておく。

 これらの回答にもとづいて、インテリアデザイナーが選んだ55色の中から、今度はクレアのアルゴリズムがオススメの3色を選んでくれる。好みの色や求める雰囲気に、部屋のサイズや光の量、基調の色などを総合的にふまえて選んでくれるのが“失敗”から遠のく決め手だ。
 このオススメ色のカラー名と形容もオリジナルでたのしい。たとえば「アボカドトースト(オリーブ:遊び心ある、風変わりな、ナチュラル)」、「マニー・ムーブス(ベージュ:クラシカル、ミニマル、ナチュラル)」、「ブルー・アイビー(ブルー:エッジー、暖かみ、クリーン)」などなど。

 その後、カラーサンプルを届けてくれるので、部屋にあてて確認。シールになっているので、部屋の壁に貼ってOK。色が決まれば本注文へ。ペンキは一律49ドル(約5,400円)で、ローラーやハケなど必要なプロダクトもあわせて購入可(別売り)。玄関先までデリバリーしてくれる*。

*現在アラスカ、ハワイ、プエルトリコを除く米国内のみの配送。

Clare_Products Hero
クレアの塗料は、大気汚染や土壌汚染の原因となるVOC未使用の米国環境基準「グリーンガード」認定。塗料容器や輸送用梱包材もリサイクル用品使用。
Clare_Perfect Color Swatch_7
Clare_Perfect Color Swatch_3
Clare_Perfect Color Swatch_4

 

100年以上変わらない塗装業界で「一番」

 現在の塗料業界は、3,600色を提供するベンジャミン・ムーア(創業135年)や、世界150ヵ国以上で展開するシャーウィン・ウィリアムズ(創業135年)といったペンキの大御所たちが牛耳っている。これら塗料メーカーのウェブサイトでも、購入前に部屋の写真をアップロードして色を当ててみるシミュレーションサービスなどもあるものの、やはり服のオンラインショッピングと同様、パソコンの画面上でみたらよかったのに、実際目にするとなにか違う…は免れない気がする。そこで、デザイナーのキュレーションという質のいいマニュアルと、アルゴリズムでよりマッチするカラー選択というデジタルをうまく組み合わせて、ペンキの買い物をアップデートしているクレアは「塗装DIY」には一番向いているかもしれない。

Avocado Toast_Clare Paint Color_Interiors
Sublime_Clare Paint Color_Interiors_1
Big Apple_Clare Paint Color_Interiors
Vacay_Clare Paint Color_Interiors_2
Lemonade_Clare Paint Color_Interiors_1

「いやまぁホームセンターに出向けばいいだけの話だし、あれこれ色を組み合わせて選ぶのも醍醐味なんだよね」という人にとってはやや過保護すぎるサービスかもしれない。しかし、いまや家は“くつろぎの場”でだけでなく、在宅ワーカーたちの“仕事場”にもなる時代。インテリアに敏感な世代も、ベビー部屋を用意するパパママの世代にさしかかっている。いままで以上に手軽になったペンキのショッピングなら、多忙な現代人も定期的に部屋の気分転換ができそうだ。ただし、塗料が乾く前に気分が変わらないことを祈る。

★★FOLLOW US★★
HEAPS Magazineの最新情報はTwitterでも毎日更新中。
毎週火曜日は〈スタートアップで世界の動きを見てみる〉最新のプロジェクトやプロダクトを紹介中。

▶︎関連記事

ランウェイのトレンド感もチェックする〈メディカルアパレル〉10人に9人が袖を通した驚異のブランドも登場

バーニングマン歴24年の“自作のテント”を「あっという間にミリオンダラービジネス」にした世界各地のニーズ

シンプルはもうつまらない?「ミニマル飽きた。個性でないし」帰ってきたハデな“マキシマリズム”

▶︎▶︎週間トップ人気記事

SUNDAY ART SCROLL -リアルタイムで芸術速報/バチカン国外で未見の装飾品も。〈カトリック×ファッション〉話題の異色展覧会がMETで進行中

「挑発的な女を描けないからプレイボーイを辞めた」筋肉×ヒール×エロのピンナップガールで挑む〈今日的ピンクなエロス〉

社会現象ワン・フォー・ワン(1つ買って1つ寄付)は本当にソーシャルグッドだったのか?キャッチーな言葉裏の落とし穴

—————
All images via Clare
Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

Share
Tweet
default
 
 
 
 
 

Latest

All articles loaded
No more articles to load